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2004/06/18

人名漢字拡大の怪

今回の人名漢字拡大案に関して 「パブリックコメント」 が募集されていて (こちら)、7月 9日までに寄せられた意見を踏まえて、最終案がとりまとめられるらしい。

新聞の論調では 「論議を呼んでいる」 ということになっているのだが、実際は 「論議に値しない」 という方が適切だ。

言うまでもなく、「糞」 だの 「淫」 だのという字が、見境もなく盛り込まれている点である。以前、「悪魔くん」 の戸籍登録を認めなかった地方自治体の役所の総元締めとも思われない所業ではないか。

この拡大案は こちら から PDF でダウンロードできる。文字をソートするなどして、よく検討してみたいというニーズには、単純なテキストファイルの方がずっと便利なのだが、わざわざ手間をかけて、不便な PDF にしている。しかも、PDF の作りが悪いのか、テキストでのコピーも不完全にしかできない。

さらに、ダウンロードのページには、取って付けたように、以下の但し書きがある。

当該漢字が専ら 「常用平易」 と認められるか否かの観点から選定を行った。漢字の意味 (人名にふさわしいか否か) については一切考慮しなかった。

人名にふさわしいか否かを一切考慮しなかったというのでは、この案を作った 「法制審議会人名用漢字部会」 という部会の名に値しないのではないかと思うのだが、議事録 を見る限り、以下のような不毛な見解がベースになっているようだということが知られる。

あれでも上に 「不」 をつけたら 「不淫」 ですよね。私は淫せずの生き方をやりますというようなことは,理屈の上ではつくのです。

確かにここに挙げられている好ましくない文字は,(中略) 自分の子供には決して使わない漢字ではありますが、かつて使われているケースは恐らくあるだろうと思います。

事務当局が提起させていただいているのは、あくまでふやす方のベクトルでございます。

諮問の趣旨は、見直し(拡大)」 と書いてあるのです。ですから基本的には増やすということを考えているわけです。

大した意気込みである。無意味な規制撤廃にも、このくらいの意気込みで臨んでもらいたいものである。ただ、委員の中には、人名にふさわしくない漢字に関して、

この紙の 2枚目の人名用漢字許容字体表,これはもう人名のために我々が選んでいるものだということだから,(中略) 削れないですかということを申しているのです。

と、まっとうな発言された委員もおいでである。しかし、その意見は、なぜかついに反映されず、結果的に 「ガキの使い」 みたいな案が出てきたわけだ。

この案をシレッと公開して、「アリバイ工作」 みたいな 「パブリックコメント」 を募り、「国民のご意見を取り入れて、人名にふさわしくない漢字は外しました」 なんてことになるのは見え見えである。

一般常識で、どうみても人名にはふさわしくないような漢字でも、「法律的に難しい」 などといった馬鹿馬鹿しいことを言い出して、役所の 「自己責任」 で削ることができず、「パブリックコメント」 のフィルターをかけて、ようやく責任逃れをしようとしているとしか思われない。お役所仕事って、こういうものなのだなぁ。

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