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2004/07/25

人魚の数え方

小学館から 「数え方の辞典」 というのが出ている。紹介文によると、箪笥は 「1棹(ひとさお)」、鱈子は 「1腹(ひとはら)」、蚊帳は 「1張(ひとは)り」、蔵は 「1戸前(いっとまえ)」 と数えるそうだ。

遺憾ながら、蔵を 「1戸前」 と数えるとは知らなかった。お蔵が建たないわけだ。

先週か先々週か忘れたが、朝のラジオで詩人の荒川洋治氏がこの本の紹介をしていて、ちょっと興味をもってしまったが、まだ買ってはいない。買ってもいいなと思うが、書店に行く度に忘れてしまっていた。欲しいと思うが、なかなか購入に至らない本や、観たいと思うが、なかなか観られない映画というのがあるが、そんな中の一つになりそうだ。

荒川洋治氏の紹介で印象に残ったのは、鬼や悪魔の数え方である。鬼や悪魔は、「一匹、二匹」 と数えるのだそうだ。しかし、さしもの鬼や悪魔も、改心して人間世界に受容されると、「一人、二人」 と数えるのだそうである。

一匹、二匹と数えられるような状態は 「仮の姿」 であり、本心に立ち返れば、人間と区別せずに扱ってもらえるのである。このあたり、日本文化の根本は 「性善説」 なのだと窺わせるに十分である。

しかし、「人魚」 には数え方の定説は存在しないのだそうだ。もともと日本文化の文脈にはなかった存在なので、数え方を決めるには、あまりにも漠然としているのかも知れない。

しかも、鬼や悪魔と違って、初めからそれほど邪悪な存在というわけではない。だったら、「一人、二人」 でいいではないかとなりそうだが、そうは行かない。脚が二本ついていないことには、なかなか人間扱いもしてもらえないのだ。難しいところである。
(このあたり、差別意識は微塵もございませんので、誤解のないように)

文化というのは、意表をつかれるとなかなか態度を決定できないもののようだ。

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