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2004/08/28

「御用達」 の読み方

お前らのためのHTML講座のようなもの」 という、サイトの日記に "私は最近まで 「ごようたつ」 と読んでいた。間違いではないらしいが、ちと恥ずかしい" という記述があった。

おいおい、待てよ、「御用達」 は 「ごようたつ」 でいいんではないか。

そもそも 「宮内庁御用達」 は、明治 24年から昭和 29年までの制度だそうで、今では消滅している。往時の御用達業者が今でも看板にそう掲げているのを、宮内庁は黙認しているというだけということらしい。

しかも、これは 「御皇室御用達」 ではなく、「宮内庁御用達」 なのであって、要するに、天皇陛下がお召しになっているというわけでは必ずしもなく、宮内庁の食堂などで食されていたものというのが、本当のところらしい。

さて、読み方に戻る。そもそも 「御用達」 の正式の読み方は 「ごようたつ」 である。それを 「ごようたし」 などと読むようになったのは、庶民の間の地口的言い習わしである。

「百人一首」 を 「ひゃくにんしゅ」 、「お師匠さん」 を 「おしょさん」 などと言うのが、さも 「粋」 であるということで、通ぶって言うようになったようなものと、私はにらんでいる。

昔の上品な家庭では 「便所に用足しに行くんじゃあるまいし、『ごようたし』 なんて、言うもんじゃない」 という風潮があったのである。また、「ごようだつ」 と、濁っていうこともあった。

例えば、「屋形船」 を、現在は 「やかたぶね」 と発音するが、歌舞伎の助六では、「鼻の穴に屋形船、蹴込むぞ」 という台詞を、明瞭に 「やかたぶねけこむぞ」 とは言わない。「やがたぶねけこむぞ」 (「が」 は鼻濁音) に近く聞こえる。江戸っ子の本来は、「やかたぶね」 と 「やがたぶね」 の中間ぐらいがいいらしい。

「御用達」 に戻るが、これもどうも、「ごようたつ」 と 「ごようだつ」 の中間ぐらいがもっとも望ましいところであるらしい。「ひゃくにんしゅ」 や 「おしょさん」 は趣があっていいが、「ごようたし」 は、個人的にはあまり好きではない。

甚だしくは 「ごようたち」 なんて読む向きもあるが、これは明らかに間違いである。

 

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

どうもこんにちは。

少し前に「的を得る」の欄にもお邪魔したのですが、
何の縁有ってか
「御用達」で調べ物をしていて、また辿りついてしまいました。

この言葉もやはり、今は「ごようたし」が
支配的な空気を醸し出しちゃってるみたいですねぇ。
google検索トップのサイトには、以下の様な文章が引用されていますが…

>「御用達」は「ごようたし」と読むべきで、「ごようたつ」は誤りと信じていましたが

…何ともはや、”べき”やら”信じて”やらと言われてしまうと、
もう、どう声をかけたものやら解りません。

統一された”正しさ”を求めてやまないこの姿勢、
もしかしたら、
政治(人種・宗教)の観点から言葉にイチャモンを付け辛い環境にある
日本版PC運動なのかもしれませんね。(ポリティカルの要素が有りませんけど)

依るものは何であれ、
何かを「正しいー!」と声高に叫ぶのって、きっと快感なんだろうと思います。

投稿: m2 | 2008/01/17 21:37

m2 さん:

我が意を得たりのコメント、ありがとうございます。

このエントリーを書いたのは、「ごようたし」 が正しくて 「ごようたつ」 は間違いとする風潮が広まっているのが、ちょっと不愉快だったからで、「両方ありだよ」 ということを言いたかったんですね。

で、個人的には、「ごようたし」 はあんまり好きじゃないということです。

投稿: tak | 2008/01/17 22:16

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