« バカたる者の日本地図 | トップページ | 「判官贔屓」 の正しい読み方 »

2005/03/05

「いらっしゃいませ、こんにちは」 を巡る冒険 

先月 21日の当コラムで、「こんにちは」 という挨拶について述べた。ここで少し付け足しをしておきたい。

「おはよう」 には 「おはようございます」 という丁寧形があるが、「こんにちはございます」 とは言わない。「今日はいい陽気ですね」 などと言うのが、本来だからである。

私が以前  「知の関節技」 というサブサイトに、"「いらっしゃいませこんにちはぁ」 の怪" というコラムを書いたのは、まさにこのことと関係がある。

このコラムで書いたことというのは、だいぶ前からコンビニやファーストフード店で妙に流行している 「いらっしゃいませ、こんにちは」 という挨拶を聞くと、ムズムズするような違和感で不愉快になってしまうということである。

考えてもみるがいい。「いらっしゃいませ、おはようございます」 なら、違和感はない。しかし、「いらっしゃいませ、おはよう」 では、ちょっとムッとくるだろう。「いらっしゃいませ、こんにちは」 は、この 「いらっしゃいませ、おはよう」 に相当するのである。

本来ならば、「いらっしゃいませ、今日はいい陽気ですね」 まで、丁寧に言わなければならないのだが、いちいちそんなことを言っていては、舌と唇がひきつってしまうから、言わないだけである。だからといって、「いらっしゃいませ、こんにちは」 では、困るのだ。

「いらっしゃいませ」 で持ち上げておいて、次に続く 「こんにちは」 というタメ口で、どさっと落っことしてしまうことになるからだ。繰り返すが、これは 「いらっしゃいませ、おはよう」 という妙な言い方と同じ構造なのだ。

客としては、最初に持ち上げられて次の瞬間に落っことされるのだから、居心地が悪いのも当然である。車井戸のつるべじゃあるまいし、そんなに気安く上げたり下げたりしないでもらいたい。これで違和感を感じないとしたら、日本語に相当鈍感になっている証拠である。

店員に 「いらっしゃいませ、こんにちは」 と言うようにマニュアルで指導しているような店は、「私どもは、日本語が不自由です」 と広言しているようなものなのだ。それを助長している接客コンサルタントは、もう一度小学校から国語を勉強して出直すがいい。

「いらっしゃいませ」 ときちんと言えば、それで十分ではないか。その後にタメ口で落っことしてしまっては、実は失礼千万なお話で、論理的には明確に気付かなくても、何となく不愉快に思う客は非常に多いのだ。

このことを、改めて日本中のサービス業界の常識にしなければならない。そのためにも、これを読まれた方は、どうぞ、あちこちで吹聴して頂きたい。さらに、ご自分のサイトをお持ちなら、書いても頂きたいぐらいのものだ。

何しろ、この国のサービス業の日本語は、この他にも 「○○円からお預かりします」 だの 「レシートのお返しです」 だの、めちゃくちゃだから、何を言っても無駄かもしれないが、多少なりともまともになってもらわないと、買い物や外食するたびに違和感にさいなまされてしまうのである。

なお、「いらっしゃいませ、こんにちは」 について、さらに激烈に論じておられるブログがある。参照頂きたい。(このブログから、当サイトの"「いらっしゃいませこんにちはぁ」 の怪" にリンクされている)

tak-shonai の本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

|

« バカたる者の日本地図 | トップページ | 「判官贔屓」 の正しい読み方 »

言葉」カテゴリの記事

コメント

語順が逆という気もします。
丁寧には、「今日は、ようこそいらっしゃいました。」
と言えますし。それでもやはり省略が行き過ぎると言うことでしょうね。

投稿: kant | 2005/03/05 09:14

>「今日は、ようこそいらっしゃいました。」

あ、それならギリギリ OK ですね!
「きょうは、お越し頂き、ありがとうございます」という意味になるし。
気付きませんでした。
ご指摘ありがとうございます。

でも、今どきのバイト店員には重荷かな?

投稿: tak | 2005/03/05 09:50

違和感があったのですがその理由がよく分かりました。
ありがとうございます。

コンビニで買い物する客にそんなにへりくだる必要はないのかもしれませんね。
「まいどっ」とか「ちわ~」くらいで十分なのかも。

米国のマックでサンキューベリーマッチと言われたことないし。
「俺は客だぞ」ってのも日本の特徴なのかな?

投稿: 店長 | 2011/10/17 16:05

店長 さん:

>米国のマックでサンキューベリーマッチと言われたことないし。

あちらでは、店も客もどちらも "Thank you" と言ったりしてますね。

>「俺は客だぞ」ってのも日本の特徴なのかな?

地域のつながりが密接なところは、「俺は客だぞ」 なんて態度に出ません。

お互いに客同士だったりするから (^o^)

「俺は客だぞ」 は、日本の都会の特徴なのかもしれません。

投稿: tak | 2011/10/17 19:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/3172346

この記事へのトラックバック一覧です: 「いらっしゃいませ、こんにちは」 を巡る冒険 :

« バカたる者の日本地図 | トップページ | 「判官贔屓」 の正しい読み方 »