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2005/05/09

ペンは剣より強いのに

今でこそ私は妻と娘たちから 「お父さん、もう少し痩せてね」 と言われる毎日だが、30歳代までの体重は 60キロ台前半で、紛れもない 「やせ形」 だったのである。

それが40歳を超えてから 70キロ台となり、今では必死に節制して、辛うじて 80キロにはならずに済んでいる。

40歳前後の体重が急増していた頃、久しぶりに会う人は、私に対して異口同音にこう言っていたものだ。

「近頃、ちょっと太ったんじゃない?」

そう言いたくなる気持ちはよくわかる。久しぶりに会う私の顔がちょっとふくよかになっていて、ウェストだってちょっと太くなっているようだ。つい口に出して確認したくなるのも人情というものだ。

確かによくわかる。それに、そう言う人にとっては、それはただ一度きりの話だし、ちょっと言ってみただけのことである。

しかし、言う人にとってはただ一度きりの軽い気持ちであっても、会う人ごとに同じ事を言われる私にとっては、軽い気持ちでは済まない。毎日毎日、同じ事を言われるのである。なまじ自分でも 「やばいな」 と思っているだけに、言われる度に、少なからず気分が滅入った。

「太ったんじゃない?」 程度では、気分が滅入る程度で済む。しかし、かなりの不祥事を起こし、自分でも相当堪えているのに、さらに周り中に口を極めて罵られたら、そのストレスはかなりなものだろう。

ここまで読んでいただいたら、私が何を言おうとしているか、ご理解いただけると思う。

JR 西日本の首脳は、十分に 「やばいな」 と思っているはずだ。それに対して、各マスメディアがそれぞれ独自に、口を極めて同じような罵倒を繰り返す。

罵倒する方は、腹に据えかねて、「一つ、言ってやらねば収まりがつかない」 とばかりに罵詈雑言を浴びせるのだろうが、言われる方は、「一つ」 では済まない。何百回、何千回となく繰り返されるのである。

過去に企業の不祥事が明るみに出ると、多くのケースで自殺者が出た。むべなるかなである。

言う方にとっては一度きりでも、言われる方にとっては袋叩きなのだ。

コンラート・ロレンツ著 「ソロモンの指輪」 は、動物行動学に関する興味深い話をまとめた本である。その中の 「モラルと武器」 という章はよく知られている。それは大体次のような話だ。

オオカミは争いになっても、相手が負けを認めて首筋を差し出せば、自然に抑制が働いて、それ以上攻撃することができなくなる。ところがかごに入れられたハトは、争いが起こると、相手をなぶり殺すまで攻撃に歯止めがかからない。

平和と正義を愛し、庶民的良心の代表のような顔をしたマスコミというのは、案外やっかいな存在だ。「ペンは剣より強し」 と言いながら、そこにはなぜか 「武士の情け」 が働かない。

どうも、持ち慣れないものを持ってしまったようなのである。

なお、INSOMNIA CAFE の 「JR西日本記者会見で暴言を吐く記者への抗議が殺到!」 にトラックバックさせていただきました。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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