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2005/06/20

「ポイズン"ビ"ル」 をめぐる冒険

「流れるものと残るもの」 のつきっつさんが、「ポイズンピル」 の誤読/誤表記について嘆いておられる。(参照

敵対的買収抑止・防衛策として脚光を浴びた "poison pill" だが、インターネットには 「ポイズンビル (biru)」 という誤表記がとても多いらしく、おじさんもびっくりである。(参照

本来の意味が 「毒薬」 であることは案外知れ渡っているのだから、普通に考えれば、「こんなもの、どうしたら間違えるかなあ」 と思ってしまう。経口避妊薬の方は 「ビル (biru)」 なんて誰も言わないし。

とはいえ、間違いは起きている。この原因の一つは、インターネットにおける半濁音 (ぱぴぷぺぽ − pa pi pu pe po) の表示が、曖昧であることだと思うのだ。半濁音の小さな 「マル」 と、濁音を表す 「チョンチョン」 との区別がつきにくいのである。

右の画像は、HTML で書いたテキストを、IE で表示させてみたものである。上はポイント指定しなかった場合で、インターネット上でもっとも普通に表示される大きさだが、半濁音の 「マル」 が、どう見ても 「マル」 ではない。ブログの表示で一般的な、小さめの 12ポイントになると、もうお手上げだ。

実は、インターネットの表示では半濁音のシルシは、ポイントの大きなフォントを使わない限り、「マル」 ではなく 「チョンチョン」 で表示されているようなのだ。ずいぶん乱暴なお話だが、濁点と区別できないわけでは決してない。

「バ BA」 「パ PA」 − 左の二つを、目をこらして眺めれば、その微妙な違いがわかるはずだ。濁点の 「チョンチョン」 は縦に並んでいるが、半濁音の場合は斜めなのである。一応斜めなので、「マル」 には見えないまでも、「菱形」 には見えないこともない。しかし、この程度の違いでは、どうひいき目に言っても区別は難しい。

「ポイズンビル (biru)」 になってしまう原因のもう一つは、日本人のカタカナ言葉の使い方が、単に音の響き感覚優先で、元の単語の意味にはほとんど無頓着ということだろう。

だから、せっかく 「毒薬」 という意味とは理解しながら、それが "pill" という単語にストレートに結びつかない。もしかしたら、"pill" という単語のイメージは経口避妊薬という特定の薬とのリンクが強すぎて、錠剤一般を指すということを無意識的に避けて通るのかもしれない。

しかも、日本人の耳には 「ポイズンビル (biru)」 の方が、何となく自然に英語っぽく聞こえるらしい。何度もいうが、本来の意味とはまったく関係なしに。何となく、「ララバイ」  (参照)  や "Dreamweaver" の 「ドリームウェーバー」  (参照) を思い出してしまう。

ついでに思い出してしまったのだが、以前、某所のレストランの昼時のメニューに、「バーディランチ」 というのがあった。「バーディ」 というのは、"birdy" であり、「小鳥」 のことである。私は当然にも、 「小鳥さんでも食べられるぐらいに、量の少ないランチ」 ということだと理解して、当時幼稚園に通っていた娘のために、軽い気持ちでそれを注文した。

ところが、出てきたものを見てぶったまげた。それは、巨大なゴルフボールの形をした丼に入った、いかにもオヤジ好みの幕の内弁当だったのである。そうか、日本人は 「バーディ」 といえばゴルフしかないのだ。元の意味なんて全然無関心だったのだ。

この国では、言葉の意味をきちんと知っていることが、かえって理解の妨げになることすらあるのである。しかし、あれはどうみても 「バーディランチ」 というよりは 「アルバトロスランチ」 という風情だったなあ。ご存じと思うが、アルバトロスとはアホウドリのことである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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