« 生鮮食料品のもったいない買い方 | トップページ | 京都旅情 »

2005/08/01

街の洋品店は、本当はよく潰れてる

私は見たことがないのだが、「世界一受けたい授業」 というテレビ番組があるらしく、その番組で、今年の 5月頃 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』 の著者・山田真哉氏が、講師として登場したらしい。

その中で彼は、「街の洋品店はなぜ潰れないのか?」 という質問にも答えたという。

いつ見ても誰一人として客の入っていないような街の洋品店が潰れないのはなぜかという質問に、彼は、「彼らは地元の金持ち夫人を相手にしたダイレクトセールスで生計を立てているのです。つまりは外商ですね」 というような答え方をしていたらしい。(詳細は、こちらのブログ

つまり、彼らは街のお金持ちマダムを固定客としてがっちりと抱えていて、いわば 「ソフトな押しつけ販売」 をすることで商売を維持しているのである。そういえば、私の母なんかも、たいしてお金持ちというわけでもないのに、お友達のブティックのおばさんが持ってくる洋服を、言われるままに毎シーズン買っていた。

その代わり、そのブティックのおばさんも、うちの実家の商売物をしょっちゅう買っていたので、狭いサークル内でお金が行ったり来たりしているだけである。「そんなことなら、毎月の売った買ったの差額だけ、月末にどちらかが請求すればいいんじゃないの?」 と言ったことがある。多分、1万円以内の請求額で済むだろう。

しかし、すべての洋品店がそうして商売を維持しているわけではない。

これは、kumi, the Partygirl のブログのコメントにも書いたのだが、自分のブログでもきっちりと書かせて頂こう。

街の洋品店は、実はよく潰れる。本当によく潰れる。この方面に特化した資料は経済産業省にもないので、だれも正確にはわからないが、実感としては多分、毎年、全体の 2割以上の店が潰れている。私は以前、アパレル関係の団体に勤務していたので、その辺は詳しいのだ。

昭和 40年代のアパレル発展期に開店した街の洋品店のオーナーの多くは、既に 60歳を越え、70歳に近づいた。このあたりの店は今、バタバタと店を閉めている。ただでさえ物が売れない時代なのだから。息子や娘が後を継ぐというのは稀だ。

ところが、世の中には、頭は悪いけど、お金と暇だけは余ってるというオバサンがいくらでもいて、「あたくしも、ブティック経営なんか、してみたいわぁ」 というおばかな夢を持っていたりする。

アパレル団体に勤務してた時、「あたくし、子どもの手も離れたので、昔からの夢の、ブティックを開きたいんですけど、さしあたり、商品はどこから仕入れたらよろしいんですの?」 なんて、ノー天気な問合せ電話が、しょっちゅうあった。

普通の感覚なら、「どこから仕入れたらいいかも知らずに、よく商売始める気になるなぁ」 と思うところだが、何しろ、「ファッション」 のお話である。そんな生臭いことより、夢の方がずっと大切ということのようだ。

「あたくし、世の中の流行よりも、自分のセンスで、本当にいいと思ったお洋服だけを取りそろえて、自分の好きな人たちに売りたいと思ってるんですの」 なんてことを、いともあっさりと言う。「武士の商法」 も真っ青なのが、「ファッション・オバサンの商法」 だ。

こうした金持ちのオバサンの好きそうな一流ブランドは、昨日や今日オープンしたばかりの店になんか、絶対に品物を卸さない。だから、本当に気に入った商品を仕入れるには、自分の足で探し廻らなければならない。電話一本で済まそうなんて、了見違いも甚だしい。

こちらとしては、「失っても諦めのつくお金がどっさりあるのでなければ、止めときなさい」 というような意味の返事を、失礼のないように、遠回しに言うのだが、ほぼ 100%のケースで、こちらの真意は通じなかった。

というわけで、この市場の実体は、頭の悪い小金持ちのおばさんが次から次に参入して、次から次に挫折し、撤退していくのである。撤退しないまでも、赤字をこきながら見栄と体裁で続けていたりするのである。

このようにして、亭主、あるいはどこやらの 「悪いパパ」 の稼いだ尋常ならざる額の金の一部は、世間に還元されるのである。世間に還元されるならまだいい。多くの場合は、仕入れ先のアパレル・メーカーへの支払いが滞ってしまうので、メーカーは大迷惑なのである。

店は潰れても、別のオーナーが引き継いだりするので、潰れたとは気付かれない場合も多い。よく見ると、店の名前が変わっていたりする。

この分野では、「おしゃれの店 絵留座」 とか 「モード 真美衣奈」 とか、「族」上がりかと思うような名前の多いのも大きな特徴だ。(これらの名前は、思いつきで挙げただけで、同じ名前の店があったとしても、他意はないので、そのあたり、夜露死苦)

いずれにしても、全体としては街の洋品店は急激に減少しつつあるのである。これで、こちらのブログ の管理人さんの疑問にも答えられたと思う。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

|

« 生鮮食料品のもったいない買い方 | トップページ | 京都旅情 »

ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事

コメント

こうした話をずばりと言っていただくと爽快です。

リンク先のブログを眺めていたら、翌日「キャッチーなエントリーにしたかったので……普通に潰れてます……」みたいな説明がなされていましたが、ちょっとひどいと思いました。

世間じゃよくある話なので、ブログの主だけを責めるつもりはありませんが、こういう読者をミスリードする記事には常々疑問を感じます。

投稿: Reiko Kato | 2005/08/01 15:04

> リンク先のブログを眺めていたら、翌日「キャッチーなエントリーにしたかったので……普通に潰れてます……」みたいな説明がなされていましたが、ちょっとひどいと思いました。

あ、本当だ。
(記事中で 「詳細はこちらのブログ」 で紹介したものの翌日のログ)
ちょっと、ギョーカイ人間ぽいノリが行きすぎっちゅうか・・・

投稿: tak | 2005/08/01 16:04

(詳細はこちら)のリンク先は、
単純に、竿竹屋の本のアフィリエイトをがんばりたかっただけのように思っていました。
AMAZONの読者評価も「あまりの中身のなさにビックリ・・・」ってなってますけど。キャッチだけうますぎるのも考えもんですね。
後味悪いです。

投稿: まる | 2005/08/07 14:27

>AMAZONの読者評価も「あまりの中身のなさにビックリ・・・」ってなってますけど。

「読みやすい」 みたいな評価もありますね。
ただ、この評価は 「中身がない」 と両立し得ますね。

リンク先は、まあ、商売上手ということになるのかな。
あるいはならないのかな?

投稿: tak | 2005/08/07 18:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/5260222

この記事へのトラックバック一覧です: 街の洋品店は、本当はよく潰れてる:

« 生鮮食料品のもったいない買い方 | トップページ | 京都旅情 »