「二人前」 の正しい読み方
「二人組の強盗」 の正しい読みは、「ふたりぐみのごうとう」 ではなく、「ににんぐみのごうとう」 である。少なくとも、NHK のアナウンサーなら、そのように読むことになっている。
ただ、この場合、「ふたりぐみ」 でも間違いとは言えない。しかし、「二人前」 を 「ふたりまえ」 と読むのは、明らかに間違いだ。
「二人組」 が 「ににんぐみ」 となるのが自然であるという根拠は、「三人組」 が 「みたりぐみ」 ではなく 「さんにんぐみ」 だからである。「一人組」 (ひとりぐみ) というのは理論上あり得ないから、「三人組」 に引きずられて 「ににんぐみ」 になる。
「二人」 (ふたり) で組になるという考えから、「ふたりぐみ」 もないではないが、公式には 「ににんぐみ」 である。「二人」 を 「ににん」 と読むのは決して特殊なことではない。「二人三脚」 「二人称」 「二人羽織」 など、みな 「ににん」 である。
「二人前」 が 「ふたりまえ」 でないのは、より明確である。「一人前」 が 「いちにんまえ」 であって 「ひとりまえ」 ではないからだ。
しかし、近頃テレビやラジオで 「二人前」 を 「ふたりまえ」 と言ってはばからない風潮がある。中には、アナウンサーまで 「ふたりまえ」 と言っているケースまである。嘆かわしいことだ。
以前にも書いたが、「一段落」 を 「ひと段落」 と誤読するケースも、近頃増加している。これは 「いちだんらく」 が正しいので、MS-IME では、「ひとだんらく」 では 「一段落」 に変換されない。それで、「ひと段落」 が正しいと思いこんでいる人がワープロで入力変換すると、「ひと段落」 という表記になってしまうのである。
「一段落」 ならば 「いちだんらく」 と正しく読む人もあれば 「ひとだんらく」 と誤読する人もある。しかし、はなから 「ひと段落」 と表記してあれば、「ひとだんらく」 が正しいと思いこむ人が増えてしまって当然である。
ATOKなどは、「ひとだんらく」 でも 「一段落」 と変換するようになってしまった。「ら抜き言葉」 には厳しいくせに、妙なところで妥協してしまったものである。MS-IME も ATOK に倣えば、「ひとだんらく」 の入力で 「一段落」 に変換され、結果、「ひとだんらく」 の誤読は逆に減るかもしれない。
しかし、「二人前」 を 「ふたりまえ」 と誤読するのは、今後増え続けるだろうと思われる。
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コメント
あなたも今日から一人前ね。
を、ひとりまえね・・・と読む人もいたりして。
ところで、前というのはどういう意味?
当たり前とか言うけど。
投稿: kumi | 2005/10/12 04:22
まず、「当たり前」 から。
これは、「当然」 からの変化と言われています。
「当然」 の 「然」 の字を 「前」 という字にしてしまう誤用が、江戸時代に流行り、それを 「あたりまえ」 と読むようになったと言われています。
もう一つの説は、「当然の分け前」 から来たというんですが、私は前者を支持してます。
(実際に古文書には 「当前」 という表記が散見されるので。「前」 という字は、草書体だとひょろひょろっと、あっという間に書けるので、ややこしい 「然」 の代用にしちゃったんだろうなあ)
そのほかのいろんな 「前」 (上記の 「分け前」 を含む) は、なかなか奥が深いです。
「江戸前」 が 「江戸の前の東京湾で取れた魚を使った寿司」 と言われますが、それは、多分間違いです。
それが正しかったら、練馬大根を使った江戸名物 「べったら漬け」 は、「江戸後ろ」 にならなけりゃならない。
辞書を見るといろいろな個別の説明が載ってますが、「統一理論」 とまではいかなくても、元になるコンセプトがあるような気がしています。
投稿: tak | 2005/10/12 11:23
二人前の読み方において展開されている論理の中で一部誤認があると思いますので確認させていただきます。「ににん」の読みの例で「二人称」が出ていますが「二人称」は「二人」「称」ではなく「二」「人称」だと理解しています。人称で考えた場合当事者は一番目、相方は二番目、取り巻きは三番目という考え方ではないかと思います。なお、「ふたりまえ」という読み方は最近の話ではなく、かなり古典的な読み方だと思っています。人数を数えるときは「いちにん」「ににん」「さんにん」ではなく、「ひとり」「ふたり」「さんにん」ですから。日本語に限らず、数を数えるときには表現に不連続が発生することはあると思います。英語でも序数は1st,2nd,3rd,4th,5thですから。
投稿: | 2005/11/29 21:52
>「二人称」は「二人」「称」ではなく「二」「人称」だと理解しています。
確かに、そうですね。私の勇み足だったようです。
2番目の人称と考えた方がよさそうです。
>数を数えるときは「いちにん」「ににん」「さんにん」ではなく、「ひとり」「ふたり」「さんにん」ですから。
古くは、「いちにん」 「ににん」 「さんにん」 「よにん」・・・と、「ひとり」 「ふたり」 「みたり」 「よたり」 ・・・ とが、併存していたようです。
後世になって混用され、「ひとり」 「ふたり」 「さんにん」・・・ になったようです。不連続には、不連続なりの理由があると見る方が自然でしょう。
投稿: tak | 2005/11/29 22:37
「二人前」 が 「ふたりまえ」 でないのは、より明確である。「一人前」 が 「いちにんまえ」 であって 「ひとりまえ」 ではないからだ。
と仰っていますが、「一人前」は「いちにんまえ」とも「ひとりまえ」ともどちらでも読みます。
断言する前に辞書や広辞苑を引いてからにしたほうが良いのでは無いでしょうか?
投稿: naia | 2009/06/08 22:30
naia さん:
>「二人前」 が 「ふたりまえ」 でないのは、より明確である。「一人前」 が 「いちにんまえ」 であって 「ひとりまえ」 ではないからだ。
>と仰っていますが、「一人前」は「いちにんまえ」とも「ひとりまえ」ともどちらでも読みます。
>断言する前に辞書や広辞苑を引いてからにしたほうが良いのでは無いでしょうか?
ありゃ、本当ですね。ご指摘感謝。
とはいえ、「ひとりまえ」 は変則ですね。
「エラソーな理系が注意すべきこと」 で、「耳触りがいい」 について、"「大辞林も堕落したなあ」 なんて言ったら、負け惜しみに聞こえるでしょうか ^^;)" と書きましたが、同じ事を書きたい気持ちになっています ^^;)
投稿: tak | 2009/06/08 23:35