« 住所録による故人の追悼 | トップページ | 「正しい餅」 は、丸餅でなきゃ »

2006/01/04

男のファッションと 「私の中の乙女」

「煩悩即道場」 の ululun さんが、「男がファッションの事を (あまり) 考えたくない理由」 というエントリーを書いておられる。(参照

彼はその中で 「メンズファッションを否定する男性の中身は乙女である」 という大胆な推論を述べておられるのだが、これは、かなりの慧眼ではないかと思うのだ。

この、かなり直観的な、しかもメタファー要素たっぷりのレトリックに何事かと思う方も、彼の "所謂マニュアル本に書かれた 「こうすれば、こうなる」 を試しても自分の中の乙女が満足出来ないからと言って諦めてはいないだろうか" という言辞を吟味すれば、感じるところがあるかもしれない。

かくいう私も、最近妻から 「もう少し、着るものに気を遣ってもいいんじゃない」 と意見される日々である。「昔は、もう少しちゃんとした格好してたじゃないの」

そう。今や、ファッションに気を遣わないオジサンの典型 (?) と化した私も、昔はそれなりに、ファッション人間の端くれだったのだ。なにしろ、繊維関係の業界紙の記者として、アパレル関係を担当していたのだから、少なくとも知識だけは人後に落ちない。

1980年代前半からのほぼ 10年は、毎年の東京コレクションを最前列のプレス席で取材して、レポートを書いていたぐらいのものである。凄いだろ! カタカナのファッション用語なんて、その辺の今どきの女の子よりずっと詳しいのだ。

それに、コレクション会場に出入りしても、それなりに恥ずかしくないような格好はしていたのだ。今とはエライ違いだ。

年間にデザイナー・コレクションを何十本も取材していた頃は、見たばかりのショーを、頭の中でさながらビデオのごとく再生しながら、レポート記事を書けた。その脳内ビデオは、2日後ぐらいにはフェイドアウトして、要所要所しか残らないのだが、それでも、我ながら大したものだった。

その私が、妻 (彼女も元はファッション・デザイナーの端くれである) にもっとファッションに気を遣えと苦言を呈されるまでに零落してしまったのは、ululun さんのいうところの 「自分の中の乙女」 によるところが大きいのではないかと、忽然と気付いたのだ。

私はある意味、ファッションにはお腹一杯になってしまったのである。それに、ファッション業界でそれなりに 「我こそはファッション人間である」 みたいなことを言う男のほとんどが、実はチンケなオッサンにしか見えないことに、「私の中の乙女」 は絶望してしまっているのである。

「ファッションに気を遣いまくっているチンケなオッサン」 より、「ファッションに気を遣わないように見えるいっぱしのオッサン」 でいる方が、「私の中の乙女」 は安心していられるのである。これは、形を変えたナルシシズムかもしれないのだが。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

|

« 住所録による故人の追悼 | トップページ | 「正しい餅」 は、丸餅でなきゃ »

ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事

コメント

東京コレクションを最前列で見る・・・

ファッション雑誌は好きだけど、一流ブランド
ショップには怖くて入れない私にしてみれば
「おおーtakさん、すごい」って感じ。

しかし、私のtakさんのイメージは、質実とか、
博学とか、克己とか、幕末の貧乏浪人とか
そんな水墨画なイメージだったんで、なんか
違う~(笑)
と、このエントリーの主張と違うところで反応してみる。

チンケなおっさんといえば、ドン・小西。
他人のファッションあれこれ言う前に、あのマフィアのようなスーツと変な髪型、どうにかしろと思います。綾小路きみまろと大差ない。

投稿: kumi | 2006/01/04 15:10

>しかし、私のtakさんのイメージは、質実とか、
>博学とか、克己とか、幕末の貧乏浪人とか

ば、幕末の貧乏浪人???

入谷の蕎麦屋で股火鉢するイメージなんかなあ?

と言っても、歌舞伎を知らないと、通じないかな?
(通じない場合は、下を参照)

http://www.gauche.co.jp/column/shibaizaru/bn%20shibaizaru/shibaizaru040204.html

まあ、吉原の花魁、三千歳(みちとせ) といい仲になるぐらいだから、いいか。

投稿: tak | 2006/01/04 17:42

私も、私の男性ファッション?について書こうと思っています。

投稿: alex99 | 2006/01/05 18:14

alex さん:

>私も、私の男性ファッション?について書こうと思っています。

おぉ、期待しています!

投稿: tak | 2006/01/05 22:11

すみません、takさん。
幕末の貧乏w浪人というのは・・・
藤沢周平の小説にでてくるような克己的な
イメージがあると言いたかったのです。
山形の話が多いからかな。
全然、違いました?(笑)

で、alexさんはヘミングウェイかな。
海外の激動の様子を書かれた日記が多い
から。ダンディだし。
alexさんのお話、私も楽しみです。

投稿: kumi | 2006/01/06 02:45

>幕末の貧乏w浪人というのは・・・
>藤沢周平の小説にでてくるような克己的な

ありゃ、『たそがれ清兵衛』 のイメージだったのか。
それも悪くないけど、よ、吉原の三千歳は・・・
あ、宮沢りえちゃんがいるから、いいか。

alex さんは、私のイメージでは、フィリップ・マーロウです。
レイモンド・チャンドラーの小説の主人公で、
ハードボイルドだけどセンチメンタルなところもある探偵さん。

投稿: tak | 2006/01/06 11:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/7987957

この記事へのトラックバック一覧です: 男のファッションと 「私の中の乙女」:

« 住所録による故人の追悼 | トップページ | 「正しい餅」 は、丸餅でなきゃ »