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2006/04/14

羽越線脱線事故・外伝

これまでにも、田舎自慢はさんざんしているので、あまり度重なると嫌味になるかなと、ちょっと保留状態にしていたのだが、やっぱり止むに止まれず書くことにする。

昨年暮れの羽越線特急脱線事故の際の、JR 東日本社員の奮闘ぶりである。4月 8日付の毎日新聞夕刊 (参照) に掲載されている。

事故現場に急行した警察、消防隊が目にしたのは、猛烈な地吹雪の中、自ら重傷を負いながら、献身的に、そして文字通り懸命に乗客救助に奔走する乗務員 (運転士、車掌)、そして、たまたまその特急に乗車していた非番の JR 東日本社員 6人の姿だった。

6人の JR 東日本社員は、休暇で帰省し、新潟の勤務先に戻るところだったという。だから、運転士と車掌を加えた 8人は、おそらく全員、新潟から秋田にかけての日本海側の生まれだ。そのど真ん中が、私の田舎、庄内である。

そして、この 8人のうち、7人は現在も通院中だという。

運転士は血を流しながら、救助隊に 「私は大丈夫。早くお客さんを!」 と叫んだということが、警察内部の雑誌には記されている。他の社員も、腰の骨を折るなどの重傷を負いつつも、必死の救助作業にあたっていた。

私は事故直後のエントリーで、「中越地震の際にも触れたことなのだが (参照)、北陸・東北の日本海側の人たちの、不運な災害、事故に遭っても、決して恨み言を言わずにただ静かに耐えている姿には、頭が下がる」 と書いた。(参照

犠牲者の家族が、決して恨み言を言わなかったのは、人間の誠 (まこと) を信じているからである。乗務員たちが献身的に救助作業にあたってくれたことを、誰に聞かなくても知っていたからである。

なぜなら、この地域の人たちは、そうした人たちだからだ。自らを犠牲にしてでも、他に尽くすということを、実際に、しかも当然のごとくやってしまう人たちなのだ。私は、こうした地域に生まれたことを誇りに思う。

一応、毎日新聞の該当ページにリンクをはったが、新聞社のサイトでは、古くなった記事はどんどん削除されてしまう。だから、多分この記事もいずれ削除されてしまうだろう。

しかし、削除されるには惜しい渾身の記事である。これを書いた斎藤記者の感動が伝わってくる。その意味で、このコラムでは異例のことだが、敬意を表して以下に全文引用させていただく。

羽越線脱線事故:JR非番社員、傷負いながらの救出劇

 「私は大丈夫。早くお客さんを」と叫ぶ運転士、自ら大けがをしながら雪の中から手だけ出ていた女性客を救出した社員……。37人が死傷した昨年12月の山形県庄内町のJR羽越線特急「いなほ」脱線転覆事故で、乗務員2人と帰省などで同乗していたJR東日本新潟支社員6人の事故直後の行動が、JR東日本の調査で分かった。猛烈な地吹雪の中、それぞれが負傷者の救出や避難誘導に奔走する様子が浮き彫りになる。8人のうち7人は現在も通院中だ。【斎藤正利】

 事故当日は日曜日で、支社員6人は帰省後、勤務先に戻る途中、事故に遭遇した。今回明らかになったのは、JRが事故直後に、収容された病院などで聞き取ったものだ。

 運転士(29)は、運転室の搭載機器が顔を直撃して右まぶたを切った。真っ暗になった運転室で非常用スイッチを操作。業務用携帯電話で新潟支社輸送指令に「列車が脱線した」と緊急連絡を入れ、運行中の列車の停止や救急車の手配などを要請した。

 車掌(26)は二重衝突を防ぐための無線スイッチを即座に作動させ、携帯電話で「激しい揺れで緊急停止」と指令に報告した。2人は手分けして乗客の安否確認に走り回り、転覆車両内の乗客に毛布や車内カーテンを引きちぎって配布するなどした。

 最初に現場に到着した山形県警の警察官は、6号車で救出作業中の運転士の様子を、「頭から出血しており、声をかけると『私は大丈夫です。早くお客さんを助けてあげてください!』と言っていた」などと警察内部の雑誌に記した。

 支社の6人のうち5人は小屋に激突し「く」の字に曲がった先頭の6号車に乗車しており、いずれも「一瞬、体が宙に浮き、強い衝撃で座席や床にたたきつけられた」と語っている。

 腕や太ももを強打するなどして3カ月入院する重傷だった新幹線保線センター員(49)は、雪の中から手だけが出ている女性客を発見。腰の骨を折るなどした信号通信課員(48)と協力し、窓ガラスの破片が散乱する雪を血で赤く染めながら救出した。

 腰を強打するなどし3カ月入院した保線課員(50)も輸送課員(29)とともに、雪に埋もれた女性客を助け出した。顔を強く打つなどして重傷を負った保線技術センター員(47)は気を失った。意識回復後も動くことはできなかったが、周辺の乗客に声をかけるなどした。

 昨年4月のJR福知山線脱線転覆事故では、JR西日本の運転士2人が負傷者を救助せずに立ち去り、厳しい批判を浴びている。

毎日新聞 2006年4月8日 15時00分

改めて、犠牲者の冥福を祈る。奇しくも、この記事の掲載された日は、花祭り、お釈迦様の誕生日だった。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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