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2006/06/23

葬式に着る服は面倒くさい

アパレル・メーカーには、消費者からのクレームや問い合わせの電話が、案外頻繁にかかってくる。某月某日、あるメーカーに、こんな電話がかかってきた。

「おタクのレースのジャケット付きのスリーピースのブラック・フォーマル・スーツ、買ったんだけど、葬式に着てって大丈夫かしら?」

品番を聞いて照合すると、黒の半袖ブラウスに黒のスカート、その上に、黒の総レースのジャケットというデザインだ。その消費者は、お店で 「結婚式にも、葬式にも着ていけます」 と言われて買ったのだが、いざ、葬式の前日になって、「総レースのジャケットは、ちょっと派手過ぎないか」 と、不安になったらしい。

問い合わせを受けたアパレル・メーカーの担当者は、自信満々答えた。「大丈夫です。葬式にでも着て行けます。黒のレース使いは、元々そういうものです。むしろ、葬式の場には、それこそが正式な着こなしなんです」

うぅむ、立派な教科書通りの回答だ。文句なしである。ただ、教科書通りということなら、これでいいのだけれど、私はそれを聞いて、少しだけ取り越し苦労をしてしまったのである。

というのは、葬式に集まる一族郎党の中には、決まって口うるさいバアサンがいるものなのである。そして、そうしたバアサンに限って、ファッションの教科書なんて知ったこっちゃないのだ。

「まあ、あそこんちのヨメは、葬式にあんな派手なレースの服なんか着てきちゃって!」 と言い出すに決まっているのである。「半袖ブラウスの上にレースの服なんか着たら、腕が透けて見えちゃってるじゃないの!」

その日一日で済めばいいが、何年経ってもくどくどと同じことを言われるのである。たかが、レースの服で葬式に出たというだけで。

もし、そんな雑音をシャットアウトできるだけの自信と威厳を持って、堂々と着こなしていけるなら、何の問題もない。しかし、わざわざメーカーに電話をかけて聞いて来るという自信のなさで、そんな格好をしていったら、いびりのネタになりかねない。

ファッションによっぽどのポリシーがあるのでなかったら、葬式に着ていく服なんていうのは、思いっきり当たり前の地味なブラック・スーツにしておくのが、一番間違いないのである。

電話をかけてきた消費者は、店員のセールス・トークに、まんまと乗せられてしまっただけとしか思われない。

その葬式に集まる一族郎党に、意地悪で口うるさいオバサンがいないことを祈るのみである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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