「醤油さし」 のグッドデザイン
グッドデザイン賞が今年で 50周年を迎えるのだそうで、日本産業デザイン振興会と Yahoo が共同企画サイトを展開している。
過去を振り返れば、「何でこれが?」 的なものもいくらでもあった気がするが、「時代を作ったグッドデザイン 100選」 ともなると、さすがに納得できるものが多い。
中でも、私が感心したのは 「キッコーマンしょうゆ (特選) 卓上 150ml びん」 である。場末の定食屋、一人暮らしの学生の台所にいたるまで、まさにどこにでもある、定番中の定番の醤油さしだ。1993年にグッドデザイン賞を受賞している。
私はそのずっと以前から 「これこそ、最高の工業デザイン」 と主張していたのだが、わずか 13年前に受賞とは、遅すぎるぐらいではないか。
我が家では、この形の醤油さしを使い初めて、既に 20年ほどになると思うが、それ以前は、妻がいろいろな形の醤油さしを買ってきてトライしていた時代があった。白山陶器の これ も、もちろん使ったことがある。
しかし、使ってみて初めてわかることなのだが、日常の暮らしにおいては、キッコーマンの卓上びんの方が、断然便利なのだ。
まず、完成された形状である。この形状のおかげで、持ちやすく、倒れにくい。そして、液垂れしない。それに、中の醤油の量が見えるので、自然に最適の傾け方ができるし、詰め替えのタイミングも一目でわかる。さらに、かなり丈夫で、ちょっとぶつけたぐらいでは割れない。
一方、白山陶器のしょうゆさしは、見た目は洒落ているけれど、案外持ちにくい。それに、中身の量が外から見えないので、傾け方に気を使う。蓋の小穴を指先で押さえて出る量を調節できるなんていうが、ただでさえ持ちにくいのに、そんなデリケートなことはしたくない。
さらに、現在はかなり改良されているようだが、以前は口の先から液垂れしやすかった。最後に、陶器の宿命として、欠けたり割れたりしやすい。陶器の醤油さしなんて、その意味でも、子どものいる家庭で使うもんじゃないと思う。
私がいくら 「キッコーマンの卓上びん、最高!」 と主張しても、妻はなお、見た目のお洒落さ加減を追い求め、いろいろな陶器の醤油さしを取っ替え引っ替え買ってくる時代が続いた。
それらがことごとく、蓋が割れたり、口が欠けたりして長持ちせず、ようやく諦めて、キッコーマンの工業デザインとしての優秀性を認めるまでには、一緒に暮らし始めて、10年近くかかったのである。
妻は今でも、「この "萬" 印のロゴさえなければ、確かに最高かもしれないけど」 などと往生際の悪いことを言っているが、私に言わせれば、このロゴがなければ、画竜点睛を欠くというものである。こればかりは、私は自分の価値観を押しつけてしまっている。
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