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2006/11/06

わさびの辛さを、英語で言うと?

前々からとても気になっていることに、「"わさびの辛さ" を英語でどう言うんだろう ?」 というのがある。普通は 「辛い」 は "hot" というのだが、唐辛子の辛さは "hot" でも、わさびの辛さは違うだろうと思うのだ。

結局、答えは今でも謎のままで、なんともモヤモヤしている。

思うに、英語というのは味覚の表現がとても大ざっぱで、とてもじゃないが、繊細な味を言い表すには充分な言語ではない。これは、英語の本家本元である英国人が、味音痴であることによるものと、勝手に思っている。

英国人の多くは、せっかくおいしいと評判のレストランに連れて行っても、ほとんど甲斐がない。「どう? おいしいでしょ」 とたずねても、「そうだね」 程度の、木で鼻をくくったような返事しかないのだ。本当は、あんまりわかってないようなのである。

逆に、彼らの方からすると、「日本人てのは、なんで食い物ごときに、そんなに熱狂的にならなければならないんだ?」 なんてことを思っているようなフシがあるのである。「別に、大した問題じゃないじゃないか」 ってな感じだ。

だから、味覚をあらわす英単語も、わりとぞんざいだ。「甘い: sweet」 「しょっぱい (塩辛い): salty」 「酸っぱい:sour」 「苦い: bitter」 が、日本語とほぼ対応する言葉で、 「えぐい」 とか 「うま味」 なんてのは、英語では到底表現しきれない。

「辛い」 もそうだ。"hot" (熱い) なんていうのは、即物的すぎてまったく無粋な表現である。カレーの辛さみたいなのは、"hot and spicy" なんて言うが、これまた即物的だ。"Pungent" なんていう表現もあるが、これも、刺激的な味なら 「辛さ」 に限らず、何でも使える。

元々、唐辛子や胡椒は東洋から渡ったものだから、ネイティブ欧米人の味覚の文脈にはないのかもしれない。

で、日本原産スパイスである 「わさび」 の辛さも、"hot" と言うしかないようなのだが、英米人に 「でも、わさびと唐辛子の違いは、同じ "hot" では、表現できないでしょ」 と言うと、「確かにそうだ」 と言う。しかし、それで終わってしまう。

まあ、それを言ってしまえば、日本語も同じ 「辛い」 でくくってしまうので、偉そうなことは言えないのだが、英語で "hot" と言ってしまうと、エライ違和感なのだ。ちっとも "hot" じゃないじゃないか。ありゃ、むしろ "cool" だろうよと。

一説によると、"wasaby" という新語があるなどという話もあるが、これは未確認情報である。この言葉でググルと、多くのページがヒットするが、かなり混沌としている。ただ、なかなかうまい言い方だという気はする。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

日本語も言葉としては辛酸甘苦渋で、わさびもからしも塩からい(中国で言う鹹)も辛いで表していたりしますけどね。ごめんなさい。茶々です。

日本でも辛いと火を吹いたりしていますから(カラムーチョのコマーシャルとか)、hotも一応許容範囲かなあ、とは思っておりました。とはいえ英語の不自由な日本人としてはとっさにはピーカントなんて「難しい」単語は出ないので、「からから」といいたいのに「あちあち」と取られちゃったら若干不本意ではありますな。聞く側は特に区別もしないんでしょうが。

wasabyで検索しても、http://www.urbandictionary.com/define.php?term=Wasaby
のような、「Another term for, whats up? or, sup?」という用法がヒットしてきますね。
面白い言い方ではありますが、どの程度市民権を得ているのでしょうか。

投稿: mobanama | 2006/11/06 15:07

mobanama さん:

>面白い言い方ではありますが、どの程度市民権を得ているのでしょうか。

市民権は、全然得ていないと思います。
意味すらも固定されていないみたいだし。

投稿: tak | 2006/11/06 21:27

着眼がいいですね。

似たような動機で,
「おととい」と「あさって」
この2語を英語で,と考える度に不器用だな,と。
The day before yesterday
The day after tomorow
なんとまわりくどいのでしょう。

もちろん,その逆もあるようですけどね。

「さきおととい」「しあさって」
に至ってはもう,,,。

投稿: かっこいいお兄さん | 2006/11/17 22:22

かっこいいお兄さん:

「一昨日」、「明後日」 は、つまり、英語圏ではそんなに大事な日じゃないんでしょう。

逆に、"yesterday" や "tomorrow" は、日本語圏より大切みたいです。
日本ではそういう発想はないのですが、"yesterday" や "tomorrow" は、時として複数形で使われます。

Yesterday は、既に歴史の一部なのかもしれません。

日本では、自分の身体性の及ぶ 「近い過去」 は、歴史とは分離して細分化して捉えてますが、ずっと遠くなると、今度は 「水に流して」 しまいます。

「しあさって」 「さきおととい」 は、英語では "three days after" "three days before" ですから、論理的にはかえって明確ですよ。

日本では、自分の身体性の及ぶ 「近い過去」 「近い将来」 は、論理的明確さよりも、身体性に密着した言い方を好むのでしょうね。

投稿: tak | 2006/11/18 11:27

山葵の辛さは、sharpって言うって聞いたことがあります。
確かに、刺すような辛さってことなんだろうな、と納得していました。
でも、みんなが言っているのか、たまたま一人の英語を母語とする人がそう表現しただけなのか、わかりません。

投稿: ひよこ | 2010/11/08 22:25

ひよこ さん:

>山葵の辛さは、sharpって言うって聞いたことがあります。
>確かに、刺すような辛さってことなんだろうな、と納得していました。

Sharp は確かに言えてますね。

でも、フィックスした表現というより、むしろ個人的なレトリックに近いような気がします。

投稿: tak | 2010/11/08 23:42

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