芸能ジャーナリズムの治外法権
川内康範というじいさんは、相当のがんこ者のようだ。私なんぞは、「いい年をして何もそこまで…」 と呆れてしまうのだが、芸能ジャーナリズムの世界では、そうはいかないらしい。
ウェブ上の記事をみても、どれもみな森進一に批判的だ。それどころじゃない。森の人格攻撃にまで発展している。
ごくごくフツーに考えれば、森進一が 「おふくろさん」 を歌う前に、妙な前フリを付けたのが気に入らないということに過ぎないのだが、それを 30年もうやむやにしていて、今になって急に大問題にし始めたのは、やはり、何か裏の事情があるとみるしかないだろう。
悪名高い JASRAC までが、「長いものには巻かれろ」 とばかり、、「(森氏が歌っていた歌詞の追加バージョンは) 川内氏が保有する同一性保持権を侵害して作成されたものであるとの疑義が生じている」 とのコメントをしている (参照)。
その JASRAC にしてさえ、「あらかじめ改変されたバージョンを利用することが判明した場合、利用許諾はできない」 が、「オリジナルバージョンの 『おふくろさん』 は従来通り利用できる」 としている。
「疑義が生じている」 程度のレベルで、セリフ入りの 「利用許諾はできない」 と言い切っているのは、ちょっとどうかと思うが、セリフ無しなら問題なく 「従来通り利用できる」 というのは、法的に当然の見解である。
ましてや、「おふくろさん」 以外の、他の曲まで歌わせないなんていうのは、フツーの娑婆の論理で考えたら横暴すぎる話で、もし、森側がそれをして 「営業妨害」 と訴えたら、多分勝訴できる。
いや、あるいは 「歌わせない」 ということ自体が何の法的根拠もないので、「営業妨害」 にすらならず、単なる 「嫌がらせ」 のレベルかもしれない。だったら、しれっと歌って、著作権料を納めちゃえばいいだけの話だ。
しかし、芸能ジャーナリズムでは、そのように書く者は誰もいない。もし本当に森がしれっと歌っちゃったりしたら、轟々の非難記事を書くだろう。よっぽど誰かさんににらまれるのがコワイのだね。芸能界というのは、法律の及ばない治外法権の世界のようなのである。
しがらみのない立場で言えば、「おふくろさん」 があれだけ売れたのは、森進一が歌ったからこそである。森進一がどんなに嫌なヤツだろうが、こっちは知ったことじゃない。そのレベルの話は、内輪でやってもらいたいものである。
ただ、改めて歌詞とセリフを眺めてみてわかったのだが、確かに、あのセリフは、オリジナルの歌詞に全然そぐわない、取って付けたような悪趣味バージョンではあるな。元々 「くっさいセリフだな」 とは思ってたけど。
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