日本一シュールな法律条文
昨日の当ブログに書いた 「公選法 第141条の3」 だが、やっぱり、これって日本一変な法律条文じゃないかと思う。
「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」 という条文を考えたお役人のおつむの中身は、一体どうなっていたんだろうか?
法律というのは、いろいろな条文のつぎはぎで全体が構成されている上に、時々部分的に改正されたりするので、ところどころ整合性がとれなくなる部分が多々あるらしい。いわば、法律の 「バグ」 である。
Windows でいえば、いろいろなプログラムで共用される DLL が、バージョンアップが繰り返された結果、あっちのプログラムにはうまく使えるが、こっちのプログラムでは使えなくなったとか、そんな感じのことがあるようなのである。
ところが、法律というのは Windows のパッチみたいに、不都合が見つかり次第さっさと修正プログラムが提供されるというようなわけにいかず、なにしろ、法改正は議会を通過しなければならないだけに、なかなか面倒で、あちこちで変なことになっているというのは、法律の世界では常識のようなのだ。
だから、「変な条文」 というキーワードでググると、そんなようなお話がずいぶんひっかかってくる。ただ、かなり専門的なお話が多いので、エンタテインメントとしてはあまり楽しめない。
そんななかで、いくつかの条文同士の整合性とかいうのではなく、たったのワンセンテンスでこれだけずっこけそうになってしまう条文というのは、やっぱりこれにトドメを刺すだろうと思うのだ。
繰り返すが、「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」 である。もしかしたら、法律って、かなりシュールレアリズムの世界なんだろうか。そうだとしたら、かなりの傑作だと思うが。(以下、条文の該当部分全文引用)
(車上の選挙運動の禁止)
第141条の3 何人も、第141条 (自動車、船舶及び拡声機の使用) の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第140条の2第1項 (連呼行為の禁止) ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
「飯を炊くために使用される釜の中では、飯を炊くことができない」 とか、「計算のために使用される電卓では、計算することができない」 とかいうのと同じ論理的矛盾である。私しゃ、読んでるだけで恥ずかしい。
何しろ、私はかなり法律音痴だということが立証されている (参照) ので、条文とか何とかには全然詳しくないのだが、詳しい人には、これよりシュールな条文というのがあったら教えて頂きたいぐらいのものである。
選挙関係では、私はもう一つおかしな点を見つけているので、興味がある方は こちら を参照されたい。
【H19.08.25 追記、H20.01.11 さらに追記】
当ブログの、この問題の関連記事 (だんだん核心に迫っているかも)
選挙カーの連呼は、やはり無意味だろう (平成 19年 4月 17日)
「連呼」 って、やっぱり迷信だと思う (同年 4月 20日)
日本一シュールな法律条文 (同年 4月 21日 = 当記事)
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コメント
おじゃまします。がんなむぅです。
僭越ながら、私(一応肩書きは)法学士です。
法律の条文等を読むことは、そこいらの方々よりも得意としております。(の、はずです…)
しかしながら、『お役人のおつむの中身は、一体どうなっていたんだろうか?』という一文のほうに、大きな頷きを覚えます。
条文ではありませんが、ナンカの経済事件の裁判で、『~と判断できないとは言えない訳ではない。』という判決文を耳にしたことがあります。
ストレートに触れてはいけないなにかが、そこにあるのでしょうねぇ…。
投稿 がんなむぅ | 2007/04/21 13:50
はじめまして。RRailと申します。いつも楽しく拝見させていただいております。
さて、件の条文ですが、ひょっとして「車の中」は人間の移動とか資材の運搬とかに自由に使っていいけど、「車の上」は使っちゃダメよ、という意味であるという解釈は成り立ちませんでしょうか?
投稿 RRail | 2007/04/21 15:32
がんなむぅ さん:
おぉ、法律音痴の私とは対極ですね。
それにしても、法律も言葉で成り立っている以上、言葉を大切にしてもらいたいですね。
投稿 tak | 2007/04/21 19:09
RRailさん:
>ひょっとして「車の中」は人間の移動とか資材の運搬とかに自由に使っていいけど、「車の上」は使っちゃダメよ、という意味であるという解釈は成り立ちませんでしょうか?
私もそれ、ちょっとだけ脳裏をかすめました ^^;)
試しに、車の中から大声で演説してみるのも一興かもしれませんね。
(多分、スピーカーを使うのは、「車の上」とやらでダメで、車の窓から拡声器を使うのも、なんやかんやで引っ掛かるでしょうから)
投稿 tak | 2007/04/21 19:12
第141条の3のポイントは「自動車の上」と言う言葉ではないでしょうか?
1番目と3番目の「自動車の上」と2番目の「自動車の上」は意味が違うと思います。
2番目の「自動車の上」は「停止した自動車の上」と言葉通りの意味を示してると思いますが。
1番目と3番目の「自動車の上」は2番目の「自動車の上」に対しての「走行中」と言う意味ではないでしょうか。
説明がややこしくなりましたが、言い換えると
何人も、第141条 (自動車、船舶及び拡声機の使用) の規定により選挙運動のために使用される自動車の走行中においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第140条の2第1項 (連呼行為の禁止) ただし書の規定により自動車の走行中において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
投稿 コテハン | 2007/04/22 00:29
コテハン さん:
>何人も、第141条 (自動車、船舶及び拡声機の使用)の規定により選挙運動のために使用される自動車の走行中においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第140条の2第1項 (連呼行為の禁止)ただし書の規定により自動車の走行中において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
だいぶすっきりしましたね。
ただ、選挙カーを走行させること自体が選挙運動であるということが、まだ解決されてないと思います。あれだけでっかい看板を掲げて街中を流すんですから、これが選挙運動でなくてなんでありましょう。
それから、「自動車の上」 だけと規定しているということならば、「中」 でやればいいということで、スピーカーを車の中に設置して、窓を開け放して演説をして走行すれば、違反ではないことになります。
改めて条文を見直すと、スピーカーを取り付けるのは、車の上でなければならないという既定はないようですし。(単に想定外なだけなんでしょうけど)
投稿 tak | 2007/04/22 06:18
考えれば考えるほど混乱するのですが、私なりの解釈をば。
「選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」とは、選挙運動のために移動する手段としての自動車の使用のみを認めるものであり、自動車に乗った状態で選挙運動をすることは、停車中、走行中を問わず、原則としてこれを認めない旨の規定のように思われます。
上記はあくまで原則であり、但書以下がポイントになってきます。
「停止した自動車の上(以下略)」については、問題ないかと思います。
「自動車の走行中において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない」についてですが、これを逆解釈(?)すると、連呼行為さえしていれば、自動車を走行させながら選挙運動をすることが許されている、となります。
実際、選挙カーの存在そのものは選挙運動に当たります。選挙運動が許されている期間以外の選挙カーの看板は白い布で覆われており、公職選挙法に違反しないように、各候補者は対応していますから。
看板なしの純粋な移動手段としての自動車の使用であれば、何の問題もありません。ところが、看板を掲げた選挙カーの走行は、選挙運動に当たります。これは、原則論にて禁じられている行為です。看板を隠して走行すれば別ですが(笑)
ここで、但書の逆解釈がでてきます。連呼行為さえしていれば、選挙カーの走行は公職選挙法に違反する行為には該当しない、となる訳です。
長々と講釈を垂れましたが、矛盾あればご指摘下さい^^
投稿 しれとこ | 2007/04/23 19:08
しれとこ さん:
あはは (^o^)
連呼は選挙カーの免罪符という理屈ですね。
それでも、ちょっと苦しいような気もしますが。
連呼と看板は別物ですし。
いずれにしても、「迷信」は迷信として、実際は運用で取り繕っているという感じですね。
投稿 tak | 2007/04/23 20:54
自己レス失礼
よ~く読んでみると、連呼行為が許されているのは、第141条の3 の「自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない」 という文言によります。
しかし、実際はみんな 「自動車の上」 じゃなくて、「自動車の中」 でやってるから、軒並み選挙違反になると思うがなあ。
それにしても、走行中の 「自動車の上」 での連呼行為なんて、危なくてできないだろうに。
公選法って、よくよくエキセントリックな文言が多いです。
投稿 tak | 2007/08/26 22:58