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2007/11/06

ディマンド・アーティキュレーションって何?

新しい術語が気になってしまっている。このほど参加することになった業界関連の調査委員会の基礎資料に、「ディマンド・アーティキュレーション」 という言葉があるのだ。

一体、こりゃ何だ? "Articulation" は辞書を引けば、「関節、音節、連結、滑舌」 などということだ。「需要の関節」 って何だ?

もう、本当に、こうしたマーケティングとかソシオロジーとかいう話になると、時としてわけのわからない新語を偉そうに使いたがる人がいて、私なんか戸惑ってしまったりする。

さらに、それがしばらくすると通俗マーケッターたちの間で広まっちゃって、知ったかぶりで使いまくるやつなんかが出てきて、それでもよく聞いてみると、よくわからないまま、雰囲気だけで使ってるのがばれちゃったりして、そういうのって、あんまり好きじゃないんだよなあ。

というわけで私としては、新語が出てきたら、そのきちんとした意味合いはおさえておきたいと思ってしまうのだ。どこやらの通俗マーケッターと一緒にはされたくないからね。

この言葉は、芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科長の児玉文雄さんが提唱されたのだそうだ。彼の専門分野は、「新産業創出過程と技術開発過程との複雑多岐にわたる相互作用の関係構造を科学的に解明するための分析」 なんだそうだ (参照)。

ふぅむ、ずいぶんややこしいが、新しい産業と技術開発との関係を、複雑系の視点をも援用して分析するというようなことなんだろうな。それで、「アーティキュレーション」 なんていう、漠然とした意味でも使える便利な単語をもってきたんだろう。

元々、"articulation" というのは、解剖学では 「関節」、音声学では 「音節」 を意味していて、そこから広がって、滑舌をはっきり発音して、理路整然たる表現をするというような意味合いをももつ。まあ、そんなようなイメージと思っていればいいだろう。

で、「ディマンド・アーティキュレーション」 ということになると、中小企業基盤整備機構の資料 (参照) では、次のように説明されている。

「ディマンド・アーティキュレーション(需要表現)」 とは
児玉文雄によって提唱されたモデルで、アーティキュレーションとは、分析と統合という相反する 2つの意味を内包している。
ディマンド・アーティキュレーションとは、「潜在需要を統合し製品概念を形成する行為」 と 「製品概念を要素技術の開発項目へ分解する行為」 との2つの行為の 「動学的相互作用」 を指す。

ほほう、この場合は、「製品概念を要素技術の開発項目に分解する」 という分析的行為と、「潜在需要を統合し製品概念を形成する」 という統合的行為を、うまく絡み合わせて行うってことなのだね。

といっても、抽象的でよくわからんから、具体化するには、何か一つのキーワードを設定し、それを呼び水的に活用して、分析と統合をうまい具合に転がしていくということになりそうだ。

もんのすご~く単純な例でいえば、「お伊勢参りのおみやげ物」 っていう需要がありそうだぜってなことに着目する。おみやげ物だから、なんてったって、手軽でうまいものがいいだろう。

そして、伊勢参りってのは、村の中から毎年交代で代参する (江戸時代では、そういうことだったのだよ) のだから、帰ったら、自分の属する共同体に簡単に分配できるものがいいよねってなことになる。だったら、まんじゅうとか餅がいい。煎餅は雰囲気じゃないよね。

これがまず 「製品概念の形成」だ。

よし、それらしい姿と味の餅っぽいのを作っちゃえということで、原料の選定とか、洗練された作り方、そして何よりも 「伊勢神宮」 らしい雰囲気を醸し出す販売手法などをつきつめるということになる。これが 「要素技術の開発項目に分解」 ってなことだろう。

これらがうまく動的に転がって一体化すると、ヒット商品になる。

で、「赤福」 というのは、なかなかの成功をおさめたというわけだ。しかし、「動学的相互作用」 の過程で、「余り物の再利用」 なんていう、一見効率的な要素技術まで採用しちゃったがために、コンプライアンスの重視という新しい需要に反してしまい、その成功もおじゃんになってしまった。

うむ、あまりにも単純化が過ぎるとは思うが、とりあえずはディマンド・アーティキュレーション理解の、最初の糸口が見えてきたような気がするぞ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

「創意工夫」と言ってはイカンのでしょうか?

投稿: あ~る。 | 2007/11/06 21:59

あ~る。さん:

>「創意工夫」と言ってはイカンのでしょうか?

あはは (^o^)
マーケティング業界としても、新しいブランドで目先を変えないと儲からないんで。

投稿: tak | 2007/11/07 00:12

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