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2007/12/21

UFO の 「確認」 を巡る冒険

今月 7日に "「確認する」 という動詞を確認してみる" なんて記事を書いたので、今回の 「未確認飛行物体 (UFO) の存在を確認していない」 という政府答弁を、もうちょっと深く 「確認」 してみたくなった。

純粋に 「言葉」 としての見地から見ると、この答弁、かなりビミョーだよね。

文字通りに読み解くと、「未だ確認されていない飛行物体の存在を、確認していない」 ということになるから、言葉としてナンセンスである。それは既に、あちこちでのブログでも指摘されている。

しかし、私の 7日の記事でも指摘したとおり、日本語の 「確認」 というのは、イメージとは裏腹に、意味的にはとてもあいまいな言葉である。だから、きちんと解釈するには、深読みが必要になる。

"UFO = Unidentified Flying Object" の 「未確認飛行物体」 という訳語にしてもかなりあいまいで、本来なら、「未特定飛行物体」 の方が正確だ。UFO というのは、「正体が特定されていない (つまり、正体不明の) 飛行物体」 のことである。

だから、政府は 「正体不明の飛行物体 (UFO) の存在は、確認していない」 といえばよかったのかもしれない。これがより正確な言い方だ。しかし、「未確認飛行物体」 というのは、不正確とはいえ、既に定着した訳語なのでしょうがないといえばしょうがないし、「正体不明」 と言い換えても、突き詰めてみると、やはりおかしいところはおかしい。

これには、2通りの解釈があるだろう。まず一つ目は、「正体不明の飛行物体が存在するかどうか (つまり、「ある」 のか 「ない」 のか) を、確かめていない」 ということである。7日の私の記事でいえば、"verfy" してないということだ。もし本当にそういう意味だったら、政府答弁としてはかなりずさんだ。これが揚げ足取りでないことを望むばかりである。

2つめの解釈は、「正体不明の飛行物体が本当に存在するとは、確認 (confirm) していない」 ということだ。より明確に言えば、「確認できる範囲では、UFO は存在しない」 ということになる。この解釈だと、政府はすべての飛行物体の正体を特定しているようなのである。すごいじゃないか。

しかしそこには、「特定できるもの以外は見逃してるだけだろう」 という疑念がつきまとうのが、論理的必然というものである。あくまでも言葉の論理としてであって、私は別に UFO の存在に固執してるわけじゃないのだが。

さらにより詳しく文脈を読み取ると、「地球外から飛来してきたと思われる正体不明の飛行物体は、確認できる範囲では存在しない」 ということのようなのだが、「地球外から飛来してきたと思われる」 かどうかは、どんな理屈でもつくから、思う方の勝手だしね。

要するに、今回の政府答弁は、まともなことは何も言ってないのと同じなのである。それだけに、町村官房長官が 「私個人はあると思う」 なんて発言するとか、いろんな人がいろんなことを言う余地がいくらでも残されていて、面白い。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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言葉」カテゴリの記事

コメント

言葉というものは、国民性そのものですから、あいまいな言語を持つ日本人は、思考があいまいな国民である・・・と言ってもいいと思います。

UFO/ITの存在の可能性については別に述べることにしたいですが、今ごろ、なにも差し迫った事態でも無いのに、なぜこういう話題を政府は持ち出したのか?

目くらましだと思います。


投稿: alex99 | 2007/12/21 10:28

alex さん:

>言葉というものは、国民性そのものですから、あいまいな言語を持つ日本人は、思考があいまいな国民である・・・と言ってもいいと思います。

国民性というか、日本の中でもずいぶん違います。

私は英語は訥々ですが、日本語の共通語と庄内弁は、ばっちりバイリンガルで、この能力は、例えば、スペイン語とイタリア語のバイリンガルなんかよりは、ずっと高度なものだと思ってます。

で、私自身の経験では、共通語では理屈っぽいことを考えられても、庄内弁ではそれができないんですよ。

多分、明治維新以後、共通語は曲がりなりにも、西欧的論理に対応してきたとしても、庄内弁 (に限らず、多くの方言) は、その点で取り残されてるんだと思います。

その代わり、庄内弁でものを考えると、「俺って、なんていいやつなんだ」 と、自分で思うほどです。邪心を抱きにくい言葉です。

邪心というのは、多分に屁理屈で成り立ちますので、多くの方言は、屁理屈 (というか、複雑で論理的な思考) を言語化して意識化しにくいんだと思います。

てことは、日本人は西欧的論理でものを考えるときに、明治以降の 「付け焼刃的」 な言語体系を使うので、どうしても遅れをとるんでしょうね。

英語の達者な外交官なんかは、政府首脳が日本語で考えた方針なんかには、イライラしちゃうと思います。
「そんなこと、英語に訳したらナンセンスに陥るだけじゃん!」 なんてね。

投稿: tak | 2007/12/21 11:16

前のレスを書いて急に思いついたんですが、最近の日本人の、とくに若い連中の、「キレる」 という現象が、ちょっと説明つくと思います。

日本語はそもそも論理対応の苦手な言葉なので、複雑化した社会に適応するには、けっこう意識的な学習による言語訓練が必要なんじゃないかという仮説です。

これができないと、言語による整理がつかなくなって、自分でも説明できない過激な行動 (つまり 「ブチ切れ」) に走りやすくなるんじゃなかろうかということです。

投稿: tak | 2007/12/21 11:20

はーい。いい加減な思いつきでぇす!

 『アメリカ産』UFOでも、持ち込んだんですかねぇ?文部科学省じゃなくて防衛省あたりが随意契約で…。

 あぁ、そうすると、未確認じゃなくなっちゃうなぁ…。

 そういえば、そんな政党がありましたなぁ。

投稿: オッチャン | 2007/12/21 12:26

オッチャン:

まぁた、そんなこと言うから、話がややこしくなる ^^;)

投稿: tak | 2007/12/21 16:46

はじめまして。
NHKテレビのニュースでも町村さんと石破さんのそれぞれのコメントをけっこうな時間を割いてまじめ風味に報道してました。
なんで今突然UFOについて閣議決定がされたのか、またそれをまともに報道しているのか、その裏の本当の意図が気になります。
最近航空機パイロットによるUFO目撃報告が多くて安全運行に支障があるおそれがある…なんてニュースは聞いた覚えはないんですが。

投稿: 柿右衛門 | 2007/12/21 17:44

単語や構造的な面を含め、印欧語と日本語の距離は、極めて大きいそうです。

逆に、日本語と朝鮮語は、構造的に近似(らしい)。
印欧語、特にラテン語群・北欧語群・スラブ語群同士は、おおげさにに言えば、方言レベルのちがいです。

ところで、英語は、最も分析的構造を持つ言語だと思います。
だから、英語でしゃべると、論理的・分析的な思考に半ば自動的になっている。
いいか逢えれば、脳を分析的・論理的モードにしておかないと、英語がしゃべりにくい。
日本語で考えていては、英語が、英語らしい英語が出てこない。

・・・という事を考えました。

投稿: alex99 | 2007/12/21 17:45

柿右衛門 さん:

>なんで今突然UFOについて閣議決定がされたのか、またそれをまともに報道しているのか、その裏の本当の意図が気になります。

同じようなことを、実は私も考えました。

自称 「UFO 研究家」 の方々は、少なからぬプロのパイロットは UFO を目撃しているけれど口止めされてるのだとか、自衛隊には多くの目撃ケースに関する資料があるのだとか、NHK には UFO の目撃映像が一杯プールされてるだとか、まあ、いろいろなことを言う人がいます。

まあ、いずれにしても、「もし本当だったら、少しは情報が漏れちゃってても不思議じゃないよなあ」 と感じさせてしまうだけで、トンデモ系と決めつけていいみたいな気がしますけどね。

もし、とても高度な文明を持つ異星人がいて、地球みたいな惑星に目を付けてるんだとしたら、彼らの星は地球以上に環境汚染されちゃって、住みにくくなってるんだろうと思います ^^;)

投稿: tak | 2007/12/21 20:53

alex さん:

>日本語で考えていては、英語が、英語らしい英語が出てこない。

和文英訳で書かれた英文は、一目でわかりますね。日本語の原文までありありと浮かんできます。

(そういうのって、必要以上に手間暇かけた greeting で、意味のあることは何も言ってないということが多いです)

投稿: tak | 2007/12/21 21:01

「キレる」について反応してみます。
本題からずれるようで申し訳ありません。
「今の若者」より「昔の若者」のほうがよく「キレた」と思います。
「少年犯罪データベース」とか「犯罪白書」なんかでも60年~70年あたりの未成年の凶悪犯罪は今とは比較にならないくらい多い。
明治よりも江戸、江戸よりも……。
時代を遡れば遡るほど「キレていた」ような気がするのですが。
言語についていえば、方言のほうがキレるのに都合がいいような気もします。

新聞報道を裏から読む癖があるので、なんかありそうですが、ちょっと気になるのは、UFOはなんで地球外からやってくると考えなくちゃいけないんでしょうね。
ぼくはなにか空気中の光のいたずらみたいに思える。

投稿: osa | 2007/12/21 23:00

osa さん:

>「今の若者」より「昔の若者」のほうがよく「キレた」と思います。

うぅむ、「キレる」 の定義から始めなきゃいけないかもしれません。私は、最近の若者に見られる傾向を称して 「キレる」 と言ってます。

といっても、逃げかもしれませんけど、ちょっと質的に違うような気がしてるんですよね。

>「少年犯罪データベース」とか「犯罪白書」なんかでも60年~70年あたりの未成年の凶悪犯罪は今とは比較にならないくらい多い。

それは、統計として明確に言えてますよね。ただ、「衣食足りて云々」 という図式からちょっと当てはまらない傾向に注目してみたいと思うのです。

>言語についていえば、方言のほうがキレるのに都合がいいような気もします。

これは、見方を変えると、元々の日本語が論理思考に適さないということの裏返しでもありますね。

投稿: tak | 2007/12/22 00:35

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