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2008/04/20

「寒鱈汁」 と 「どんがら汁」

昨日、大急ぎで京都の神社仏閣巡りをして帰ってきたのだが、関西方面では高校生ぐらいの子たちが電車の中で、コテコテの関西弁でしゃべっている。うらやましいことである。

関西だから当たり前と言われそうだが、私の田舎の山形県酒田市に帰ると、若い子は皆、きれいな共通語なのである。

私はこれまでにも庄内弁が消えていきそうな現状を憂う記事 (例えば こちら) を書いている。関西では関西弁が脈々と伝わり、完全に現役で通用しているというのに、庄内では庄内弁を話せない子どもが増えているのである。

件の記事でも書いたのだが、酒田の子たちは学校からの帰り道、友達と別れるときに 「じゃあね」 なんて言うのである。私は初めてこれを聞いたときに、愕然としてしまった。「さかだの子だばさがだの子らしぐ、『へばの!』 ってそえ!!」 と言いたくなってしまったのである。

ちなみに、上記の庄内弁は、日本語では 「酒田の子なら酒田の子らしく 『へばの!』 と言え!!」 という意味である。「へばの」 は、「おしん」 が放送されていた頃は、全国的に認知されたが、庄内人の努力不足であっという間に忘れ去られた。

私が一つ不満に思っているのは、毎年 1月に酒田で開催される 「日本海寒鱈祭り」 である。太鼓などのイベントをしつつ、冬の庄内で一番おいしい 「寒鱈汁」 を商店街で振る舞うのだが、私の子どもの頃は、誰も 「寒鱈汁」 なんて言わなかった。

私の心の中では、あれは 「どんがら汁」 というものなのである。それがいつの間にか、日本全国共通の 「寒鱈汁」 になってしまった。私は庄内の人たちが 「どんがら汁」 という素晴らしい呼称を捨てたことを悲しむものである。

日本各地には 「それ何?」 と言いたくなるような食べ物がある。九州の 「おきゅうと」 とか、秋田の 「きりたんぽ」 とか、奄美大島の 「鶏飯 (けいはん)」 とか。

あれらは、「それ何?」 と聞いてもらえるからいいのである。「これはね……」 と説明する必要があるからこそ、ウンチク会話がスタートし、よそ者をその土地の土俵に自然に引きずり込める。

庄内の人たちがあのイベントを 「寒鱈祭り」 という名前にしてしまったのは、はっきり言って、庄内人のこの方面のセンスの悪さである。観光センスのある土地だったら、絶対に 「日本海どんがら祭り」 という名前にしていた。

「どんがら」 をフィーチャーする方が、第一、インパクトからして違う。「それ何?」 と聞いてもらえる。庄内人は人がよすぎて、周囲に合わせすぎるので、「それ何?」 と聞いてもらえないのである。

そうするうちに、庄内人自身が 「それ何?」 と聞かなければならなくなり、さらに聞くことすらなくなってしまうとしたら、あまりにも悲しすぎるのである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

電子器機の基板設計の仕事してるんですけど、みんな筐体、いれもののことを「どんがら」って言うんですよね。今、ふと調べてみたらどんがらとは胴殻、魚のアラのことなんですね。ここからきてたのかと妙に納得しました。ちなみに、手元の広辞苑第六版には「どんがら汁→庄内地方の郷土料理」と、しっかりのってました。

だれでもどんな料理かイメージできる寒鱈汁よりも、「それ何?」と思ってしまうどんがら汁の方がキャッチコピーとしては良い。言われてみると当たり前のようだけど、これってちょっとしたコロンブスの卵ですよね。普通はイメージしやすい方が良いと考えてしまいますもんね。敬服いたしました。

投稿: Adrienne | 2008/04/20 23:19

Adrienne さん:

「どんがら」 って、さほど局所的な方言ではないとは感じていましたが、広辞苑に載ってるとは知りませんでした。

それから、筐体のことも 「どんがら」 って言うんですねぇ。これも知りませんでした。

今まで 「ガワ」 なんて言ってましたが、これから 「どんがら」 と言おうかな。

ご教示、ありがとうございました。

投稿: tak | 2008/04/21 07:44

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