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2008/06/08

幻の銀玉水

環境省はこのほど 「平成の名水百選」 を選定、発表した。これは 1985年に選定した 「名水百選」 に加え、7月の 「洞爺湖サミット」 に合わせ、特に水環境の保全活動が行われている点を主眼に選んだという。(参照

このニュースに惹かれた私は、詳しい情報を見ようと、環境省のサイトに飛んだ。

まず、環境省公式サイトのトップページの一番上にある検索欄で、「名水百選」 をキーワードにすると、政府関係の検索サイト 「電子政府の総合窓口 - ホームページ検索」 という機能で 「環境省 名水百選」 というページがトップに表示された。

ところが、さっそくそこに行ってみると、あろうことか、いきなり、「名水百選は移転しました。http://mizu.nies.go.jp/meisui/ (水環境総合情報サイト内)」 と表示される。

そこで、リンクをクリックして指定されたページに行ってみると、今度は 「2008年4月1日より、本サイトはサーバ移転しました。新しいページはhttp://www2.env.go.jp/water/mizu-site/ です」 ときた。

その新しいページへは 5秒以内に自動的に飛ぶように JavaScropt か何かで設定されているからいいけど、だったら、初めから一番新しいページにリンクしてくれよと言いたくもなろうものである。ぷんぷん。

で、やっと表示されたページは 「水環境総合情報サイト」 というページで、実はまだ、目指す 「名水百選」 のページではない。まったくもう、疲れるなあ。ここで左側のメニューから 「名水百選」 のボタンをクリックすると、ようやく 「環境省選定 名水百選」 というページに辿り着く。

しかし、なんだかおかしい。よくみると、そこはまだ 1985年に選定された 「昭和の名水百選」 のページなのであった。

で、改めて検索してみると、環境省のサイトには、平成の名水百選関連のページは、「新・名水百選の選定」 で表示される選定経過を広報するページしかないようなのだ。つまり、このほど賑々しく発表された 「平成の名水百選」 の最終結果のページは、本日現在、まだないということなのである。

おいおい、段取り悪いなあ。さすが、お役所仕事である。だが、それはまあいい。どうせそのうち (忘れた頃に)、新しいページが作られるだろうから、それまで待てばいい。くさるものでもあるまいし。

で、ようやく本題に入ろう。

私がこれまでで一番おいしいと思った水は、昭和の名水百選にも平成の名水百選にも見当たらない。それも仕方のないところである。それは、一日かけて辿り着いた登山口を早朝に出発し、夕方頃、へとへとになって辿り着く山の稜線にあるのだ。

誰もが簡単にありつけるというものではないから、お役所の 「名水百選」 なんてものには、極めて選ばれにくいのである。

それは山形県の秘境、朝日連峰の稜線に湧く 「銀玉水」 (「ぎんぎょくすい」 と読む) という水である。私はこの水を 20代の半ばに口に含んだ。それはそれはもう、とろけるほどの甘露だった。あんな極楽浄土に遊ぶような心地になる水を飲んだのは、後にも先にも一度きりである。

登山者が列をなして昇るようなポピュラーな山ではない。ただでさえ山懐の深い東北の、熊とカモシカの住処でしかない難所中の難所である。稜線の途中のコブも、脇をまいたりせずに、いちいち忠実にピークを越えて進む、とにかく人をへとへとにさせるためだけにあるようなコースである。

20代半ばの私は、合気道という武道をきっちりとやっていたから、体力にはかなり自信があった。普通の登山コースなら、その辺のにいちゃんが 5時間かかって歩くコースを 2時間半でぶっとばす脚力があった。その私が、「もう勘弁してくれ」 と弱音を吐くほどの難コースなのであった。

その難コースの夕方近く、もう目眩がするほどへとへとになったあたりに、かの 「銀玉水」 はある。もともと甘露なのか、体がめちゃくちゃに水を求めているから、どんな水でも甘露に感じられるのか、多分、その両方なのだと思うが、とにかく五臓六腑にしみわたる旨さなのである。

こんな旨い水を大量に持って帰りたいと思うのだが、そんな大量に持ち運んだら、途中でばてて遭難してしまう。だから、しかたなく水筒に一杯で我慢するのである。

ちなみに、もう少し進んで、大朝日岳直下の小屋付近にテントを張ったが、付近に水場はない。そこから歩いてしばらく行ったところに、今度は 「金玉水」 (くれぐれも 「きんぎょくすい」 と読んでもらいたい) という湧き水がある。

金玉水も旨いが、圧倒的に銀玉水の方が旨い。しかし、もう遅い。テントを張って思い切り飲めるのは、金玉水でしかない。銀玉水はかくして、幻の水と化すのである。

そして、50代半ばを過ぎた今、あの銀玉水を飲むために、もう一度死ぬ思いをする覚悟があるかといえば、残念ながら私にはないのである。悲しいことである。ああ、あの水筒一杯の銀玉水が、今そばにあったら、どんなに幸せなことだろうと思う。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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