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2008/10/21

歌舞伎座を建て替えるなら

建て替えのため取り壊されることになった歌舞伎座で、来年 1月から 16ヶ月間ぶっ通しで 「さよなら公演」 が行われるんだそうだ。

再来年 4月の公演が終わったら、取り壊して新しい歌舞伎座を建て始め、平成 25年に完成予定だという。建て替え中の 3年間は、新橋演舞場を中心に公演が行われるらしい。

今の歌舞伎座は、めちゃくちゃ大きな銭湯みたいな正面といい、なかなかの風情があって、6年前に国の登録有形文化財になっている。それだけに、日本建築学会が一昨年に 「歌舞伎座の保存に関する要望書」 を提出するなど、観客からも保存を求める声が上がっている。

建て替え後はビルと劇場の複合施設になるというので、今のような風情のある外観は望めないだろう。ちょっと残念な気もするが、耐震構造やバリアフリーの問題もあるので、いずれにしても今のまま使い続けるのは無理がある。

何しろ、今の歌舞伎座はお客に優しくないのだ。歌舞伎座に行ったことのない人には信じられないだろうが、客席は三階席まであるのに、エスカレーターもエレベーターもない。階段を昇るしかないのだ。いくら若い観客が増えつつあるなんていっても、歌舞伎座はやっぱり年寄りが多いから、三階席まで辿り着くのにふうふう言っている。

それに座席が狭く、その間隔も狭い。あれは、戦前の日本人の体格に合わせて作られている。私なんか図体がでかいので、前の座席の背にぶつかる膝を窮屈に折りたたんでいなければならない。半日あそこに押し込められるのは、かなりの苦痛なのである。

どう考えても、もう少し観客に優しい構造に造り替えてもらわないことには、歌舞伎座の未来はないのである。

それと、もう一つ希望がある。

歌舞伎座の公演は 1日 2交替制で、昼の部は午前 11時、夜の部は午後 4時半開演というのが基本になっている。だがはっきり言って、夜の部が 4時半開演というのは、勤め人にはあんまりではないか。せめて 6時開演、9時半終了みたいなスケジュールにできないのか。

今月の公演を例に取れば、夜の部は 4時半から 「本朝廿四孝」。それが終わると 35分の幕間があり、6時半から 「雪暮夜入谷畦道」。そして 15分の幕間を挟んで、7時 53分から舞踊の 「英執着獅子」 があって、8時 24分に閉幕となる。

これを 6時開演に繰り下げて、一幕目の後の 35分の幕間を 15分に短縮すれば、計算上、9時34分に終われる。これだと年寄りにきついというなら、5時半開演にして、9時 4分にはねるのも可能だ。

初日から三日目ぐらいまではどうしても時間が押せ押せになる (注 参照) が、それでも、10時頃には終われるだろう。早く帰りたい向きは、4~5日目以降に足を運べば、芝居もこなれていてちょうどいい。

こうしたスケジュールにできないのは、ひとえに、劇場内の食堂が、外に出られない客に高い昼食と夕食を食わせたいからである。歌舞伎座 2階の吉兆の弁当なんか、6,000円以上するのもある。あれって、えらい既得権益だ。決して失いたくないだろう。

しかし、考えてみれば、6,000円もする弁当を、たった 35分の幕間に食わせるというのもずいぶん乱暴な話だ。食ってる時間は正味 20分もなかろう。そんなことなら、開演前とか後に、劇場の外でゆっくり食わしてくれる方がずっとありがたいではないか。

劇場内の食事は、ほんのスナック程度でいいだろう。そうすれば、食事のための 35分の幕間を短縮できるので、時間の節約にもなる。観劇ついでに贅沢な食事をしたければ、幕がはねてからビル内のレストランでゆったりと食えばいい。

建て替え後は、劇場と商業施設の複合ビルになるというから、是非そんな形にしてもらいたいと思うんだがなあ。そうでないと、歌舞伎は暇人と年寄りのものでしかなくなってしまう。

注 「三日定法」

初日から三日目ぐらいまでは、役者にセリフが入っていない場合があるので、黒衣が陰に隠れてプロンプターになる。そのため、どうしても間が延びて時間もかかる。それを称して 「三日定法」 なんていう。

(時々、結構離れた席まで黒衣のセリフを付ける声が聞こえて、しらけちゃうこともある)

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

takさん、こんばんは。いつも「一撃」楽しませてもらっています。毎回コメントたくさん付くのに、歌舞伎座の話題にコメント付かないのはちょっと寂しいので、私から。

ファンの間では現状保存の声も強いようですし、確かにあのレトロな雰囲気は捨てがたいものがありますが、私個人としては老朽化したことだし・まあ仕方ないかという感じです。私も三階席で芝居をずいぶん見ましたが、花道が見えない三階席が良いと思ったことは一度もないし・どうせ壊すならばこの点を改善しないで・これからの歌舞伎ファンは育たないと思ってます。それから仰る通り昼夜二部制も限界に来てますね。芝居は9時にははねないと・これからの生活パターンにはまらないと思います。

投稿: 吉之助 | 2008/10/23 23:10

吉之助 さん:

コメント、ありがとうございます。

>私も三階席で芝居をずいぶん見ましたが、花道が見えない三階席が良いと思ったことは一度もないし・どうせ壊すならばこの点を改善しないで・これからの歌舞伎ファンは育たないと思ってます。

あ、これ一番大事なことなのに、書き落としてしまいました。本当に、弁慶の飛び六法の最初の 1~2歩しか見えないんでは、しょうがないですね。

どうしても物理的に死角にはいるなら、野球場の「オーロラビジョン」 みたいなのを付けてもらいたいです。

三階席からの視線だと、踊りがきれいに見えないのは仕方ないのですが、これも解決できそう。

>それから仰る通り昼夜二部制も限界に来てますね。

二部制でないと、松竹の収入が減るんでしょうけど、なんとか改善してもらいたいですね。

投稿: tak | 2008/10/24 07:47

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