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2008/11/17

津軽と南部

八戸への出張を終えて、東北新幹線 「はやて」 に乗った。日はとっくの間に暮れ、窓の外の明かりがまばらなので、トンネルだかなんだか、区別がつけにくい。

八戸は青森県とはいえ、津軽ではなく南部である。南部の人は、津軽人との違いをかなり意識している。

どうやら、青森県は西の日本海側と東の太平洋側とでは、別の国らしい。津軽と南部は仲が悪いなんてことはよく言われるが、仲が悪いとまではいかなくても、少なくとも南部の人は津軽人に対してある種の違和感をもっているようだ。

「距離的には青森市の方がずっと近いけど、盛岡市に行く方がずっと気楽な気がする」 という。県は青森県と岩手県に分かれていても、南部同士の方がずっと親近感があるようなのだ。

八戸の人は一様に、「津軽弁は、何を言ってるんだかわからない。半分しか理解できない」 「津軽弁でまくしたてられると、喧嘩腰に聞こえる」 などと言う。確かに、おっとりした南部弁と機関銃のような津軽弁は、かなりの違いである。

「津軽人と口喧嘩をしたら勝てない。何を言われてるんだかわからないけど、とにかくこっちが負ける」 「八戸の人が津軽で三年暮らしたら津軽弁に染まってしまい、帰ってきても津軽弁が取れないけど、津軽の人は何年こっちで暮らしても、津軽に帰ればすぐ津軽弁に戻る」

八戸にも 「三社大祭」 という重要無形文化財に指定されるほどの見事な祭りがあるのだが、青森県の祭りといえば、津軽のねぶた祭りばかりが有名になっている。南部は観光宣伝では完全に津軽の後塵を拝しているようだ。

どうも、南部の人は津軽に対して、「あいつらにはかなわん」 というような思いを含む錯綜した感情を抱いているらしい。そこには歴史的ないきさつもあるというのだが、どうやら、実際に接した上での実感でもあるようだ。

で、申し訳ないのだが、山形県庄内地方生まれの私は、津軽弁がけっこうよくわかるのである。ちょっと似てないこともないし。もしかしたら、津軽弁ヒアリングは南部の人よりずっと上手かもしれない。

そして、関東で 40年近く暮らしても、庄内に帰ればすぐに庄内弁に戻るのは、津軽の人と同様である。庄内弁、とくに北庄内の言葉は津軽弁に迫るぐらいの色の濃さを持っているのかもしれない。

ということは、私も周囲の人間に 「あいつにはかなわん、何を言ってるんだかわからんけど」 なんて感慨を持たれないように、あまり傍若無人なマイペースを貫きすぎないよう、注意しなければならないかもしれない。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

言葉の壁、実感いたします。

岐阜県東美濃地方という括りでも、違う言葉が使われる場合があります。

ほんの5キロメートル離れた隣町の友人とも、未だにニュアンスや言葉そのものの違いを…、楽しんでおります。

飲みながら「た〜けた。何ゆっとりゃぁす?」、「そんなこと、知らんわ!」、「知れ〜!」という応酬が、そこはかとなくメートル上げてます。(ってゆーか、また酒飲みの話だわぁ)

投稿: 乙痴庵 | 2008/11/17 19:11

乙痴庵 さん:

>ほんの5キロメートル離れた隣町の友人とも、未だにニュアンスや言葉そのものの違いを…、楽しんでおります。

確かに、かなり近くても言葉のニュアンスの違うところはありますね。

庄内平野には、酒田と鶴岡の二つの都市がありますが、南部と津軽ほどじゃないけど、かなり違います。

ウチの酒田の方が津軽的ですけどね ^^;)

投稿: tak | 2008/11/17 19:36

ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく と石川啄木がうたったそうですが、言葉が通じないと、その地域(国)の事が大嫌いになってしまったりして・・・。学生時代、九州は福岡の人間と下宿が同じになってしまい、そいつがまた気に入らないやつで、一時期、福岡県が大嫌いになってしまった事があります。今は、好きですがね。

津軽弁、今、勉強中でした。youtubeにupされてる「いいでば英語塾」で、ゲラゲラ笑いながらレッスン中。
http://jp.youtube.com/watch?v=7NZ8s79Mp2E

投稿: やっ | 2008/11/18 01:39

>どうも、南部の人は津軽に対して、「あいつらにはかなわん」 というような思いを含む錯綜した
感情を抱いているらしい。

まさしくその通りなんでしょうね。
私の友達に、八戸の者がいるのですが、彼曰く、「インフラも津軽の方が整備されている。」とい
うことらしいです。
彼らのイメージとしては、岩手に近い感じなんですよね。
都道府県のくくりって、つくづく実態に合っていないかなと思ってしまいます。(まあ戊辰戦争の
報復的措置の意味もあるんでしょうが、と勘ぐる会津人(笑))

八戸もとても良いところなんですがね、祭りの時にはいけませんでしたが、漁港で食べ物がおいし
くって。
でも、やっぱり県外の人から見ると青森のイメージは津軽なんですよね。演歌とかもそうですが。
青森に行ったとき、友達には悪くて口に出せなかったんですが、弘前に行って岩木山や津軽平野
のリンゴ畑をみたときに「ああイメージ通りの青森だ。」と感じました。

投稿: 雪山男 | 2008/11/18 09:06

やっ さん:

東北生まれの人間にとっては、上野駅はちょっと特別な駅なんですよね。

今は東北・上越新幹線も東京駅まで乗り入れていますから、山の手とか多摩地区に住んでいる東北出身者も、東京駅で乗り降りするんでしょうけど、なんだか、割り切れない。

いいでば英語塾、なかなかですね。
でも、この程度の津軽弁なら、私、ほとんどわかるみたいです。
さすがに、自分では 「まいね」 とは言いませんけど。

投稿: tak | 2008/11/18 13:13

雪山男 さん:

>私の友達に、八戸の者がいるのですが、彼曰く、「インフラも津軽の方が整備されている。」ということらしいです。

青森県は、太平洋側より日本海側の方が開けている、日本でも珍しい地域なんですね ^^;)

>都道府県のくくりって、つくづく実態に合っていないかなと思ってしまいます。(まあ戊辰戦争の報復的措置の意味もあるんでしょうが、と勘ぐる会津人(笑))

いや、多分、勘ぐりというより、事実だと思いますよ。
実際の中心都市よりずっと小さい町を県庁所在地にして、その町の名前を県名として押しつけられたり、あるいは、ほかに県庁所在地にふさわしい町がない場合は、県庁所在地の市名と県名が一致しないようにされたり。
(茨城県なんか、後者の典型例だと思います)

>でも、やっぱり県外の人から見ると青森のイメージは津軽なんですよね。演歌とかもそうですが。

津軽は、かなり 「濃い」 ですね ^^;)

投稿: tak | 2008/11/18 13:23

takさん

私の娘が弘前大学にいるのですが、「津軽弁って分からないだろう」ときくと「そんなことないよ、大体分かる」と言ってました。
そう言えば、私が仙台に住んでいた頃、友人の中に青森県弘前市(津軽藩)出身者と青森県十和田市(南部藩)出身者がいて、南部人は共通語を話すのに津軽人はほとんど津軽弁のまま通していました。周りの友人(宮城県人や岩手県人)は「お前は何を言ってるのかわからん」と言ってましたが、私はほとんど分かったなぁ。
(^^)

投稿: 伊藤 | 2008/11/19 15:29

伊藤 さん:

>私の娘が弘前大学にいるのですが、「津軽弁って分からないだろう」ときくと「そんなことないよ、大体分かる」と言ってました。

そうでしょ。そうでしょ!

>南部人は共通語を話すのに津軽人はほとんど津軽弁のまま通していました。周りの友人(宮城県人や岩手県人)は「お前は何を言ってるのかわからん」と言ってましたが、私はほとんど分かったなぁ。

そうでしょ~~~!
庄内人の DNA は、津軽人の方に近い気がします。

投稿: tak | 2008/11/19 16:32

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