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2009/02/20

絶好調のユニクロ

「フォーブス」 の発表した 2009年の「日本の富豪 40人」 によると、ユニクロの柳井正会長兼社長が 1位になったんだそうだ。

前年の 6位 (47億ドル、約 4,416億円) から、一気に 14億ドル(約 1,316億円) も資産を増やしてトップに躍り出たという。こういう渋い世の中になると、ユニクロ、強いなあ。

この躍進の要因は、資産のかなりの部分を占めるファーストリテイリングの株価が、1年前に比べ 2割ほど上昇したことが大きいという。別に給料が上がったとか、土地を売ったとかで現ナマがどさっと手に入ったわけではなく、言わば名目上の財産が自動的に増えてしまったのである。

それにしても、創業社長 (あるいはオーナー社長) というのは、一発当てるとすごい大金持ちになってしまうものである。

今、アパレル業界では 「ユニクロの一人勝ち」 なんて言われている。ほとんどの人の収入が目減りして、高い服を買えなくなったところにもってきて、ユニクロの服というのは値段の割に、私に言わせれば 「慇懃無礼なほど」 の高品質なので、売れて当たり前である。

それに、秋冬シーズンでは 「ヒートテック」 というフリースをしのぐほどのヒット商品が出現し、利益率が高まったので、業績は過去最高になっている。近頃ユニクロの閉店後を狙った強盗事件が 2件連続した (犯人は逮捕されている) というのも、なるほどといいたくなる。でも、よい子の皆さんは真似しないでね。

私の若い頃といえば、服は百貨店とか街の洋品店で買うものだった。ところが、百貨店は無闇に高級化してしまうし、街の洋品店は地盤沈下で、しばらくはフツーの人がフツーに服を買う店が少なくなっていた。

百貨店については、私は以前に 「終わりかけた業態」 と書いていて (参照)、街の洋品店に関しては 「本当はよく潰れている」 と書いている (参照)。

そこに登場したのが、「しまむら」 と 「ユニクロ」 である。しまむらは銀座の真ん中に店を開いてもしょうがないだろうが、ユニクロはそれができる力をもってしまった。これからしばらくは、絶好調が続くだろう。

ただ,ユニクロは拡大し続けないとビジネスが継続できないという体質になってしまった。京都の老舗みたいに、少しだけ作って 「売り切り御免」 では会社が維持できないのだ。だから、今後もリスクを背負いながら成長し続けなければならない。

今のマーケットではすぐに飽和状態になるから、成長し続けるためには、別のマーケットを開拓しなければならない。これがうまくできれば、さらにとんでもない大企業になってしまうかもしれないが、それは一般論で言うと、案外難しい話なのである。

それに、ある状況に最適化したビジネスモデルで大成功してしまうと、その状況が変わった時に対応しきれないという危険性もある。例えば百貨店市場で大成功して我が世の春だったオンワード樫山が、今期は大ブレーキがかかっている。今の市場に合わせてビジネスを再構築するのは時間がかかるだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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マーケティング・仕事」カテゴリの記事

コメント


私にとっては、どの製品にも「XL」サイズがある、しかも安くて品質のいいユニクロは実にありがたい会社です
案外海外で成功していないのが不思議です

柳井氏が日本一の大金持ちということですが、実際には創価学会名誉会長が日本一あるいは世界一の富豪だそうです
ユニクロは営利会社ですから利益を出していいのですが、慈悲の心の宗教団体のトップがどうしてそんな収入があるのでしょうか?
tak-shonai さん、わかりますか?
それにカルトのトップは決まって大富豪

漢字検定協会も財団法人なのに巨額の利益
宗教法人に課税しないと、もうかる産業は宗教だけということになりますね
もうなってるか (笑)

投稿: alex99 | 2009/02/20 15:29

>ただ,ユニクロは拡大し続けないとビジネスが継続できないという体質になってしまった。

この部分についてご教授頂ければ有難いのですが、
具体的にはどういう事なのですか?

投稿: 夜の指揮者 | 2009/02/20 18:57

alex99 さん:

>案外海外で成功していないのが不思議です

海外で成功するには、過剰品質だったりして ^^;)

>宗教法人に課税しないと、もうかる産業は宗教だけということになりますね

宗教法人でも、格差があるんじゃないでしょうか。
貧乏寺はいつでも貧乏寺です ^^;)

儲かってるのは、宗教をビジネス化してるところじゃないでしょうかね。

投稿: tak | 2009/02/20 19:12

夜の指揮者 さん:

借入金も拡大を前提としてるでしょうから、縮小すると返済にも事欠くし、株価が下がるとえらいことになるし ……

投稿: tak | 2009/02/20 19:15

ユニクロが流行る理由は判りますが、悲しいですね。業界の人間だったひとりとしても、ユニクロの氾濫には目を覆うものがあります。個性のあるおしゃれができない人達が余計に個性を失っている感じ。おしゃれも人生の一つの楽しみだと思ってるのですが。
しかし、メンズのコットン・パンツ(スラックス)は型紙が悪いですね。何回か履いたら、もう酷いので嫌になりました。ああいうパターンに馴染んだらスタイルも悪くなるというものです。

投稿: jeienne | 2009/02/20 21:03

jeienne さん:

>個性のあるおしゃれができない人達が余計に個性を失っている感じ。

「個性あるおしゃれができない」 というより、そもそも、ファッションは個性を表現するメディアじゃなくなりつつあるのかもしれません。

ユニクロの服は、「ファッションで個性なんて表現しないよ」 というメッセージを発しているんだと思います。

>メンズのコットン・パンツ(スラックス)は型紙が悪いですね。何回か履いたら、もう酷いので嫌になりました。

私は、素材のハリがないことからくるんだと思ってますが。

くたっとしたコットンなんですが、買ったばかりの段階では、多分仕上げ剤かなんかの効果でパリっとしてるんじゃないかと。
(そのあたりも、「慇懃無礼」という理由の一つだったりします)

投稿: tak | 2009/02/21 00:01

回答ありがとうございます。
スタバの店舗拡大によるブランド力低下の話しを思い出して、
企業の経営拡大に向かわざるを得ない心理が気になったのです。

投稿: 夜の指揮者 | 2009/02/21 07:31

コメント有り難うございます。

>ユニクロの服は、「ファッションで個性なんて表現しないよ」 というメッセージを発しているんだと思います。

そのせいなのでしょうか、私のまわりには三十路を過ぎても家庭を持てない人が山ほど。少なくともファッションで個性を表現できれば、相手は見つけられると、考えたくなります。

そうですね。仕上げ材とか、パッキングの見た目よさは有りあとで騙された感じです。安くても良いものを作っていると思ってましたが。値段はやはりクオリティーを代弁するのでしょうね。

しかし、MUJIとかユニクロとか世界に進出してくれるのは嬉しい部分もありますが。これらのブランドで日本を意識させるのは残念です。コムデとかギャルソンのような日本とか、アップルのような会社が日本に欲しいですね。中国が直ぐに真似されないビジネス

投稿: jeienne | 2009/02/21 07:37


外面的な、例えば衣料で、個性を表現したいという意欲が私には無いので、ある意味で目からウロコでした

私は今まで、英国的な、制服的な衣料で個性を殺すようなものを身につけてきました
そういう意味でユニクロが好ましかったのですが

私はブログや言論を通じての意見の表明で個性、自分を主張したい人間ですが、他にも主張のしかたがあるのだと思い知りました


投稿: alex99 | 2009/02/21 08:36

jeienne さん:

>そのせいなのでしょうか、私のまわりには三十路を過ぎても家庭を持てない人が山ほど。少なくともファッションで個性を表現できれば、相手は見つけられると、考えたくなります。

うぅむ、個性と結婚は別の問題と考える方が無難ではないでしょうか。

>そうですね。仕上げ材とか、パッキングの見た目よさは有りあとで騙された感じです。安くても良いものを作っていると思ってましたが。値段はやはりクオリティーを代弁するのでしょうね。

ユニクロのチノパンにおける値段とクォリティについての私の見解はちょっと違っていて、次の通りです。

チノパンごときにエクストラ・ファイン・コットンなんていう過剰品質の素材を使うから、チノパンに求められる本来のハードさがなくて、すぐにクタクタになる。

それを隠すために、出荷段階では過剰な仕上げ、プレスをしている。こんなところじゃないかと思います。

本当のファッションより、スペックを追うからこうなります。

投稿: tak | 2009/02/21 19:54

alex さん:

>私は今まで、英国的な、制服的な衣料で個性を殺すようなものを身につけてきました
>そういう意味でユニクロが好ましかったのですが

なるほど。
ユニクロも、そういう点では 「制服的」 ではありますね。

1960年代後半から 70年代頃まで、ファッションは個性表現のメディアとして、とても使い道のある時代でした。

しかし今、ファッションは個性表現のメディアとしての可能性を食いつぶしかけているというところがあると思います。

言い換えれば、どんな格好をしてみせても、それほど新鮮ではないという時代になったというか、新鮮さを追いすぎると、お笑いと紙一重になってしまうというか。
お笑いが進化したのかもしれませんが。

シリアスなメッセージを発するには、無個性なファッションの方が無難ということがあるような気がします。

投稿: tak | 2009/02/21 20:03

夜の指揮者 さん:

>スタバの店舗拡大によるブランド力低下の話しを思い出して、企業の経営拡大に向かわざるを得ない心理が気になったのです。

ユニクロの場合は、そもそも 「マス・ファッション」 で、拡大によってブランド力が低下するという類のものではありませんから、キャパぎりぎりまで店舗を増やすべきものなんでしょうね。

問題は、既にキャパぎりぎりに近付いているので、次はどのマーケットを攻めるかでしょう。
もういろいろなブランド買収をしているみたいですが、まだこれといったヒットはありませんね。

投稿: tak | 2009/02/21 20:08

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