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2009/09/06

『唯一郎句集』 レビュー #59

いよいよ秋の気配が濃厚になってきた。風は爽やかになり、田では稲刈りが始まり、虫の声がきれいに響き始めた。

今日レビューする 3句は、長い。字数だけを比べれば、三十一文字の短歌よりも長い。それにかなりシュールレアリスティックだ。いくら自由律俳句でも、ちょっと型破りだったのではなかろうか。

前にレビューした句と照らし合わせると、「前後誌」 時代から 「酒田俳壇」 時代にかなり長い俳句を作っている。この頃の作風だろう。これを越えると、また少し短くなる。当人としてもかなり実験的なつもりで作っていたのではなかろうかと思う。

早速レビューにはいろう。

群盲らが秋夜の底で唄ってる我行く道にも温かい落葉する也

秋の更けた夜道を歩くと、その夜のそこで群盲が唄っているように思えるというのは、のっけからたまげるほどのシュールな表現だ。

その秋の底には落葉が温かいという。意外な対比で締められている。

鶏肉屋の青い娘が鶏を縊ってはみぞれの中で俺も淋しい

鶏肉屋の 「青い娘」 とは、まだ若い娘ということだろう。その娘が手慣れた様子で鶏を縊る。ちょっと刺激的な光景である。

それを見てしまった唯一郎は、みぞれの降る淋しい町の中で、自分もさらに悲しいと思った。

秋別荘に一人住む男よ毎日海へ向つて犬を吠えさせたく

「秋別荘に一人住む男」 とは自分のことではなかろうか。決して本当の別荘というわけではないが、同じ家にいても自分だけ別荘にいるような気がしている唯一郎。

毎日海に向って吠えさせたい犬を、心のうちに飼っている。

今日はこれぎり。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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