« 『唯一郎句集』 レビュー #65 | トップページ | Thunderbird から iPhone へのメール転送 »

2009/09/28

「デリニエーター」 というものを廻る冒険

この年になって初めて知った英単語がある。"Delineate" という言葉だ。「輪郭を描く、描写する」 という意味がある (参照)。

"Line" (線) という単語に 「完全」 といった意味を付加する "de" という接頭語と 「~する」 という意味にするための接尾辞 "ate" が付いたんだろう。

"~ ate" で動詞化されるのは、"active" (活発な)、"activate" (活性化する) などの例でもお馴染みだろう。

ところで、なんでこんな単語を初めて知ったのかというと、道路脇などに取り付けられている反射板 (リフレクター) に興味を持ってしまったからである。あれ、専門用語で 「デリニエーター」 というのだそうだ。で、調べてみたら英語の "delineator" (「輪郭描き装置」 とでもいえばいいのかなあ) というのが元々の言葉なんだそうだ。

日本語では 「視線誘導施設」 というのだそうだ。日本語の方がより具体的なような気がしてしまうが、じゃあ要するに一体何なんだと言われると、いきなりそう言われただけではわからない。実際は五十歩百歩である。百聞は一見にしかずで、Wikipedia に飛んで見ればすぐにわかる (参照)。

真っ暗な夜道を運転していると、道路がこの先真っ直ぐなのかカーブしているのか、あるいは道路の端っこがどこなんだか、全然わからなくなってしまうことがある。そんな時、このデリニエーターがあると、反射光で道路の幅と曲り具合がわかるので、安心感がある。

そして、そのありがたみが実際にわかっていると、日本語で 「視線誘導施設」 と言われても、英語で 「輪郭描き装置」 と言われても、両方 「なるほどね」 としっくりくる。

こんなものは日本中の道路で見ることができるので、珍しくもなんともないのだが、私がちょっと感心してしまったのは、水戸街道 (国道 6号線) の取手駅付近で見つけたデリニエーターだ。風車が付いているのである。

Crack_090928 リフレクターの表面に風車がついて、車が通りすぎる時の風圧でくるくる回るのは、ここだけでなく日本中で見られるが、私はこれの意義がわかっていなかった。単に 「目立たせるための酔狂」 と思っていたのである。ところが、よくみると決して酔狂ではなかったのだった。

風車のように回る 3本のアームには、ブラシが付いていたのである。しかもそれぞれ、外側、中程、内側と、別の位置にブラシが付いていて、3本が回ることでリフレクターの全面がブラシで掃除されるという仕掛けなのだ。セルフクリーニング方式である。

粉塵の多い道路では、あっという間にリフレクターの表面が汚れて、反射効果が低下してしまうだろうから、こんな仕掛けで自動的に、しかも電気などのエネルギーを使わずに掃除されるというのは、なかなかのアイデアである。これを考えた人は偉い。

ところで、案外知られていないのだが、リフレクターというのは、光を当てるとどこからでも光って見えるというわけじゃない。自動車のヘッドライトなどで照らすと、その自動車の方向にだけ光って見える。他の方向からは、リフレクターの反射光は見えないのだ。

一見すると、入射角と反射角という理屈を無視しているのである。普通は光を当てた方向とは反対側の方向に反射光が行ってしまうのだが、リフレクターは、どうして光を当てた方向にのみ反射して見えるのか。正面からならまだわかるが、かなり斜めから光を当てても、光の来た方向にのみ反射光が返る。これが不思議でなくてなんだろう。

その原理を知ったのは、私が 30歳を過ぎてからのことである。まだご存じない方は、こちら をご覧いただきたい。感動するほどわかりやすく図解してある。文系の私としては、「世の中には頭のいい人がいるものだなあ」 と、ひたすら感心するばかりである。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

|

« 『唯一郎句集』 レビュー #65 | トップページ | Thunderbird から iPhone へのメール転送 »

ちょっといい話」カテゴリの記事

コメント

道路のセンターラインなんかに立ってるポールのヒラヒラ、あれも最初は酔狂なものだなぁ、と思ってたんですけど、あれも実は、ポールに巻きつけてある反射板の汚れを落とすためについてるらしいですね。

投稿: もりけん | 2009/09/28 10:50

この単語はもちろん (笑) 知りませんでした

以前、ある外国で家の門に、どこで手に入れたのか?この反射板が取りつけてあるのを見つけました
その家の住人は、魔女のようにうるさくて疑り深い、人嫌いの老女でした

訪問者の姿をいち早く知ろうとして設置した最新兵器 (笑) なんでしょうけれど

ただ、彼女が想定していなかったのは、まさに入射角と反射角が同じというところで、
彼女が進入者?を認めると同時に、進入者も彼女が監視している姿を認めるという点です (笑)

投稿: alex99 | 2009/09/28 11:18

delineateを辞書で引いた序にdelineableという単語も知ってしまいました。
言葉で描写できるという意味だそうです。

Her beauty was not delineable.
彼女の美しさは筆舌に尽くしがたかった。

今日はいい単語を知ってしまった。感謝。

投稿: ハマッコー | 2009/09/28 11:50

「デリニエーター」の名前は知っていました。
昨年うちの会社の車が接触しちゃって、その処理をしたときに、道路を管理している役所からの請求書に「デリニエーター」の文字が、、、
「反射板」しか壊していないと聞いていたのに何これ?
と不安に思って調べたところ、ほぼ同意語なんだーと安心した経緯があります。
ポール取付型なんで以外と高かったような。

リフレクターの話、takさんに言われなければ疑問にも思いませんでした。
仕組みを知ってなお納得しました。
自転車の後ろについている奴程度の認識でしたが、すごい技術なんですねぇ。

投稿: 雪山男 | 2009/09/29 12:26

もりけん さん:

>道路のセンターラインなんかに立ってるポールのヒラヒラ、あれも最初は酔狂なものだなぁ、と思ってたんですけど、あれも実は、ポールに巻きつけてある反射板の汚れを落とすためについてるらしいですね。

ん~、それ、見たことありません。
あるいは見ていても意識していないから、記憶に残ってないのか。

こんど、意識して見るようにします。

ご教示ありがとうございました。

投稿: tak | 2009/09/30 17:29

alex さん:

>以前、ある外国で家の門に、どこで手に入れたのか?この反射板が取りつけてあるのを見つけました

>ただ、彼女が想定していなかったのは、まさに入射角と反射角が同じというところで、
彼女が進入者?を認めると同時に、進入者も彼女が監視している姿を認めるという点です (笑)

えぇと、すみません。よくわかりません。

リフレクターの原理による鏡だと、自分で自分の姿が見えちゃうんじゃないかという気がしますが。

投稿: tak | 2009/09/30 17:32

ハマッコー さん:

>Her beauty was not delineable.
>彼女の美しさは筆舌に尽くしがたかった。

絵にも描けない美しさってことにも通じるんでしょうかね。

英語も結構奥が深い。

投稿: tak | 2009/09/30 17:35

雪山男 さん:

>ポール取付型なんで以外と高かったような。

道路関係のものって、意外に高いんですよね。
単なる標識一本でもかなり高いと聞きました。

お役所だから、業者の言い値で設置してるのかなあなんて思ってしまいます。
(勘ぐりすぎでしょうか ?)

投稿: tak | 2009/09/30 17:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/46327339

この記事へのトラックバック一覧です: 「デリニエーター」 というものを廻る冒険:

« 『唯一郎句集』 レビュー #65 | トップページ | Thunderbird から iPhone へのメール転送 »