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2010/01/02

『唯一郎句集』 レビュー #92

年明け初の 『唯一郎句集』 レビューである。正月休みというのは、のんびりできそうで全然のんびりできない。そんな中で俳句の鑑賞なぞをすると、ますます浮世離れしそうだ。

今日は 2句。どちらもおめでたい題材の俳句である。おめでたいと言えば正月らしいが、唯一郎の句は、あくまでクールだ。

一つめは妊娠、二つ目は結婚をテーマにしている。しかし、唯一郎にとってそうした事柄を手放しで祝賀するというのは、あまりにも気恥ずかしいことのようだ。それで、テーマとはおよそほど遠い情景描写となっている。そのほど遠い情景描写の中で、おずおずと喜びの意を表している。

ともかく、レビューである。

  挙児

八千草の花咲けり家ぬち秋空の見え

「挙児」 という言葉は初めて知った。Goo 辞書で調べてもそんな見出し語は見当たらないが、ウェブで調べると、どうやら妊娠し、出産を希望するということの意味らしい。

「八千草の花」 とあるが、「八千草」 という名の植物があるわけではなく、たくさんの草の花という意味である。秋の草が一斉に咲き始めたのだろう。

この時に妊娠した子が、私の母でないことは確かだ。私の母の誕生日は 10月 30日だから、妊娠がわかったのは多分春先のことだろう。季節が合わない。三人の伯父のうちの誰かなのだろう。

「家ぬち」 は 「家のうち」 の短縮形。家の中から秋空が見えるのである。さわやかな情景だ。

  祝成婚

花野菜の巻葉もある朝の畑

「成婚」 とあるので、もしかしたら皇族のご成婚かとも思ったが、昭和天皇のご成婚は大正 13年のことだし、どうも時期が合わない。また、皇族のお話なら 「御成婚」 と言うだろう。

というわけで、多分親族か知り合いの結婚を祝っての句だろうと結論づけることにした。

「花野菜」 とは、カリフラワーの和名。昭和初期にカリフラワーがあったのだろうかと思って調べると、カリフラワーが日本に入ってきたのは明治時代なのだという。ただし、本格的に普及したのは 1960年代。ほそぼそとカリフラワーが栽培されていたのだろうか。

いずれにしても、ちょっと珍しい西洋野菜のくるっと巻き気味の葉も見える朝の畑の情景描写で、若い新郎新婦の旅立ちを祝福しているのだろうか。

本日はこれまで。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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