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2010/02/27

『唯一郎句集』 レビュー #107

今日は、「昭和二年湯澤の海紅大会にて 三句」 と記された句をレビューする。同じ時に作った句なのだが、なぜか 1ページに 1句という、贅沢な所載のしかたをしている。このあたり、どういう編集方針なんだかわからない。

わからないついでだが、「湯澤」 というのも、秋田県の湯沢市だか新潟県の湯沢町 (上越新幹線の 「越後湯沢」 のある町) だかわからない。

とりあえず、順にレビューする。

冬海の岩ひきあぐるをとこをんなの声す

秋田県の湯沢も新潟県の湯沢も山の中だから、この句はその土地の情景を目の前にしてつくったものではなかろう。酒田の海岸の情景だろうと思う。

冬の海で岩を引き上げるというのは、どういうことなのかわからない。もしかしたら、荒波で削られて海に落ちてしまった岩を、船の安全のためにどかす作業なのかなと思ったりもする。

いずれにしても、大変な作業だろう。綱をかけて岩を引き上げる時に、力を合わせるためにかけ声がいる。老若男女の大きなかけ声が、波の音に混じって聞こえる。

空はどこまでも鉛色。

あられは鶴のあたまを打つ枯芝の上に

昔は酒田のあたりにも鶴が飛来したのだろうか。「あられが鶴のあたまを打つ」 というのは、ずいぶん荒涼とした光景である。

海岸には自然の芝地が広がっているところがある。風が強くて、芝以外の草木が生えないのだろう。

その枯芝の上に佇む鶴の群れにあられが降り注ぐ。あられを避けるために隠れる場所がない。あの華奢な鶴の頭が、あられに耐える。

霜夜厨房のいもかさなりあへり

霜の降る静かな夜というのは、実は酒田では珍しい。冬はいつも風が強いからだ。

そんな静かな夜、台所にはいもがどっさりとかさなりあっている。暗い中でいもの山をみると、そこに別の世界があるようにみえる。

本日はこれにて

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