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2010/02/17

国母選手の 「腰パン」 について

冬季オリンピックに行ったスノーボード、国母選手の 「腰パン」 ~ 「反省してま~す」 事件が、思いの外に大きな話題となっていて、びっくりした。敬愛する先輩 alex さんも久しぶりにブログを復活させ、この問題に関する持論を述べておられるぐらいだ (参照)。

ブリティッシュ・トラッドを旨とする alex さんが国母擁護論を展開しておられるのは、ちょっと意外かも知れないが、実際のところは、JOC の役員に代表されるこっちんこっちんの石頭連中に対する反感の方が優先した論の展開のようで、納得した。

私個人としては、alex さんのブログに 「どっちも如何なものか」 とコメントして、「中途半端すぎる」 というレスをもらっているように、まさにどっちつかずのスタンスである。体育会系の石頭は嫌いだが、だからといって、国母選手を擁護するほどの義理もないので、どっちにもつきたくないというのが本音だ。

実は、この問題に関しては、私はニュースが流れてから間もない 13日に tweet している。こんなふうなものだ。

スノボの何とかいう選手のユニフォーム腰パンが問題になったというニュースをみた。スノボってフツーの体育会系と全然違う風土があるのね。もしかしたら、モーグルもかなあ。 (

検索したら、国母って選手らしい。あのニュースのおかげで、こんなにも名前が売れたんだとしたら、パブリシティ効果抜群。(

とまあ、最初に tweet したときからこんな具合に徹底的に無責任な傍観者で、旗幟鮮明な姿勢なんて全然見せていない。

むしろちょっとだけ関心があるのは、スノボとモーグルって、他の体育会系競技と文化が全然違うみたいだなあということの方である。ウェアだって、他のアルペン競技やスピードスケートなどは機能追求でパッツンパッツンなのに対し、スノボとモーグルって、ダボダボで、競技スポーツのくせに機能よりファッション優先にみえるし。

国母選手としては、あんなことになったものだから、開会式に参加できなかった上に、あちこちから非難されてしまって大変だなあと思っていたが、今度は alex さんばかりでなく、自民党の河野太郎氏まで擁護し始めたりして (参照)、ちょっと風向きが変わってきているような気もする。

この辺で問題を整理してみよう。ことの起こりは、国母選手の成田空港におけるチャラチャラした腰パン姿がニュースで流れ、それに対して、一般視聴者から抗議の電話がガンガンかかったということのようだ。

ということは、成田空港の段階では少なくとも 「おとがめなし」 だったということだ。同行した指導者たちは、全然気にせず見過ごしていたか、「しょうがねぇなあ」 と苦々しく思いながらも、なんとなく言い出せないでいたというところだろう。

ところが、テレビでそれをみた視聴者からガンガンと非難のコールが来た。視聴者って、体育会系役員よりもこっちんこっちんなのかと驚いたが、多分、電話した人のかなり多くは日本全国のスポーツ関係者だろうと思う。少年野球の指導者とか。あの手の人たちって、細かいことにものすごくうるさいところがあるから。

で、例の 「反省会見」 でますます反感を買い、朝青龍問題までリンクされて、「そもそも指導が悪い」 なんて言う論調まで出てきた。二十歳を過ぎた一流のアスリートに 「服装の指導」 ってのも、なんだかなあと思うが。まあ、彼は高校の制服もずっとあんな感じで着てたんだろう。

というわけで今度は、擁護発言もちらほら出てきたというところである。ただ、擁護発言の多くも、あの 「腰パン」 に諸手をあげて賛成ってわけではなく、「自分もあの格好は好きじゃないけど、そんなに寄ってたかって叩くほどのことか」 という論調が多い。

私はこの問題に関しては、初めに述べたとおり 「どっちつかず」 なのだが、問題の根っこにあるのは、「腰パンがいいか悪いか」 ではなく、体育会系の主流を占める 「こっちんこっちん派」 と、スノボ、モーグルの世界の 「ゆるゆる派」 との間のギャップというのが大きいんだと思う。

選手を見ていても、競技風景を見ていても、同じスポーツと思われないほどに 「空気」 が違うのだもの。このことに関しては、私は結構関心がある。いや、スノボに関心があるってわけじゃなく、スノボの世界の 「空気」 にだ。

そして、スノボ、モーグルの 「ゆるゆる派」 が、スポーツの世界ではまだまだ少数派なので、風当たりが大きいのだ。この世界にも上村愛子 (彼女のブログが、ネットの世界でやたら評判がいい) のような優等生がいないわけじゃないみたいなのだが、やはり全体としては 「異質な連中」 と見られがちなんだろうなあと思う。

異質な要素を過度に排除したがる心的傾向というのは、私も嫌いである。ただ、いくらなんでも TPO をわきまえろよなということぐらいは、私も言いたいという気はする。だから、alex さんのブログに、 「どっちも如何なものか」 と書いてしまったわけなのだ。

ちなみに、東スポにビートたけしが 「国母は 『そんなこと言うんなら、もう帰る』 って帰ってくればかっこよかったのに」 と書いていた。なるほど、とても魅力的な選択肢だ。

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コメント

拙文をご紹介いただき深謝

河野太郎氏のブログ、読みましたが同感ですね
要するに、価値観として受容できなくても、ルール違反でない限り処分はできないはずということで
(小沢問題にも同様の事が言えるかと)

伝統を重んじるということは良い事ですが、変化や異文化に対する理解も同様に必須だと思います

私が敢えて国母選手擁護の立場をとったのも、ご指摘の通り、JOC の石頭憎しの一心で(笑)
それにあの sagging スタイル
私はこの頃、あれはあれで、なかなか面白いとも感じ始めたのです


私が今 JOC 役員以上に憎んでいるのが(笑)、かの「やくみつる」と「内館牧子」両先生です
彼ら、いったい自分を何様のつもりでしょう?
「品格!品格!」と、朝青龍をいじめているうちに、世間から評論家扱いを受け出して、至福の時かもしれません

もともと大相撲などちょっと昔は、やくざなどの闇社会にサポートされて地方巡業をしていた、単なる「興業」でした
それが今は、大出世して、品格を誇ったり、神事だと称したり、国技と勝手に決めたり
日本の行事なんて、みんな元は神事でしょう
国技という規定はどこにもありません

それに外国力士が上位を占める現状を無視して、異文化への一片の理解・受容の姿勢も無いまま、わけのわからない鎖国的「日本文化」を強制する
相撲の世界なんて、日本人にとってさえも「異様」なものなのに、私にはフンドシ一丁の姿になりながらそれに耐えている?外国人力士が健気に見えます

長くなりましたので、このへんで失礼します(笑)


投稿: alex99 | 2010/02/17 15:02

alex さん:

うぅむ、私としては、河野太郎さんほどに正面切って国母擁護をするのも、なんだか気恥ずかしくって ^^;)

それにしても、スポーツ界はヤンキー界とヒップホップ界からの侵略にどう対処するのでしょうか。

やがて表面化するであろう、そのせめぎ合いの方に、私は興味があります。
(高みの見物という意味で ^^;)

投稿: tak | 2010/02/17 18:53

ことの起りは成田空港ではなくて、ことの起りは4年前のトリノなんだと思いますよ。あの時は器物損壊までやらかしたので、単なる行儀が悪いでは済みませんでした。一時はスノボという競技に対する補助金打ち切りの話も出ましたが、それをまぁまぁ……ということでやってきたところに今回の「事件」があったもんで、沸騰したんだと思います。

投稿: CHARADE | 2010/02/17 22:50

CHARADE さん:

>ことの起りは4年前のトリノなんだと思いますよ。あの時は器物損壊までやらかしたので、単なる行儀が悪いでは済みませんでした。

それは知りませんでした。

そう言われてみれば、前回のトリノでは、日本スノボ・チームは、なんだかいろいろカッコ悪いニュースがあったんでしたね。

投稿: tak | 2010/02/18 00:08

自分もブログに河野太郎氏を引用しましたが、気になるのは腰パンや緩めたネクタイだけなら、夏季のオリンピックでも同様な選手がいたってことです。
その後の記者会見は兎も角、ドレッドヘアやサングラスや全体の雰囲気を含めて心理的に気に食わないという部分で非難されてるように思えてなりません。

それと、新聞報道によればJOCに寄せられた電話苦情は約50件とのこと(メールはその十倍以上のようですが)。
結局、全体からすればほんの数人だった苦情がメディアによって拡大されてハウリングを起こしてるのだと思います。
朝青龍の場合もまず最初から外国人横綱は気に入らないとする人が多かったのは事実だし、品格をネタに不満の捌け口を求めるのが昨今の風潮なのでしょうか。

投稿: clark0226 | 2010/02/18 00:30

clark0226 さん:

>自分もブログに河野太郎氏を引用しましたが、気になるのは腰パンや緩めたネクタイだけなら、夏季のオリンピックでも同様な選手がいたってことです。

実は私、オリンピックって、東京オリンピックを学校の教室で息を飲んで見まくって以来、まともに見たことがないんです。

東京オリンピックの時は、小学校 6年生でしたが、オリンピック直前になって、中古テレビが全教室に設置されたんです。それで、授業もせずに一日中テレビ見てました。あれでおなか一杯になったのかも ^^;)

というわけで、過去に同様の選手がいたかどうかについては、clark0226 さんのコメントを信じる以外にないです。いたんでしょうね。あまり目立つこともなく。

>その後の記者会見は兎も角、ドレッドヘアやサングラスや全体の雰囲気を含めて心理的に気に食わないという部分で非難されてるように思えてなりません。

「出る杭は打たれる」 文化ですね。
道路のスピード違反の摘発と同じで、少々なら当たり前に許されるけど、目に余ると捕まる。

>それと、新聞報道によればJOCに寄せられた電話苦情は約50件とのこと(メールはその十倍以上のようですが)。

JOC のような性格の団体で、電話苦情 50件というのは、結構多い数字だと思いますよ。
仮に、8時間で 50件とすると、平均すれば 1時間で 6件以上、10分弱に 1件のペースです。

思いあまっての電話だけに、1本の電話は、大体 1分以上かかるでしょう。しつこい人だと、3分以上かかるかもしれません。

そして実際には、ニュースの流れた直後あたりで電話が集中したでしょうから、文字通り「ひっきりなし」 という印象だったでしょう。

JOCは、苦情受付専門スタッフがいるような性格の団体ではないので、事務局としてはひっきりなしの対応で、「なんで、あいつのせいで俺らが怒られなきゃいけないんだ!」 と、切れかかったというのは、容易に想像がつきます。

JOC 内部の人間としては、元々 「あいつ、ちょっと困ったもんだ」 という意識があったでしょうし、メディアが尾ひれを付ける以前に、内部で既に沸騰気味だったんじゃないかと想像します。

朝青龍問題にしても、相撲協会内部でマグマが沸騰寸前という下地があったんだと思いますよ。

投稿: tak | 2010/02/18 11:37

仰る通り、JOCの側に立ってみれば、確かに大変な状況だったでしょうね。
世間的な加熱振りに目を向けてましたが、各々協会にも選手にも表立って来ない不満や事情が多々あったのだろうというのも納得です。

自分も「スノボ世界の空気」といった方に関心があったので元コーチのブログというのを読んでみました(元記事が消えてるみたいですが)
http://izushin.blogspot.com/2010/02/blog-post_5812.html
国母選手も言ってますが、理想とするトリックを表現するのが目的で順位は二の次というの共通した意識で、
外国との比較だと、JOCのアマチュア規制の弊害とかもあるみたいですね。
ダボダボのウェアに関しては、内側にプロテクタを着ける都合もあるそうです。
(外側にプロテクタだと服に引っ張られるので)

投稿: clark0226 | 2010/02/18 12:19

clark0226 さん:

元コーチのブログ記事、興味深く拝見しました。

この方は、トリノには行ってらっしゃらないみたいで、その前のオリンピックまでのエピソードが語られてますね。

スノーボード、とくにハーフパイプの世界はかなり特殊で、全日本スキー連盟の中では鬼っ子扱いみたいな感じになっているのがうかがわれます。

そもそも、スノボの選手が全日本スキー連盟に所属すること自体が不思議な感じですが、それはひたすら、国際的にスノボが国際スキー連盟 (FIS) の管轄下にあって、そのために FIS の下部組織の全日本スキー連盟に所属していないと、国際大会に出られないというだけのことのようですね。

そして、日本の組織がかなりかっちんかっちんで、かなりやりにくそう。

じゃあ、「スノボも FIS から分離独立して、自分の独自組織もてばいいじゃん」 と思うのですが、どうやら、スノボの世界というのはかなりカジュアルで、本場アメリカでは非公認の賞金大会の方が幅をきかせていて、今さら自前の統一組織を作るなんて、「意味ないじゃ~ん」 という感じのようです。

それで、日本のようなところではスキー連盟の軒下三寸借り受けなければいけない悲哀を味わってるというところなんでしょうね。

あの世界もいろんなしがらみで、大変なんだなあと思いました。

投稿: tak | 2010/02/18 22:13

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