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2010/06/12

オルセー美術館展での長女の反応

六本木国立心美術館で開かれている 「オルセー美術館展」 はやたらと前評判が高かったので、初めのうちは行っても人の頭しか見えないだろうから、もう少しほとぼりが冷めてから行こうと思っていた。ところが昨日、ひょんなことから行ってしまった。それなりに混んではいたが、まあ、ゆったりと観ることができた。

なんでまた急に行くことになったのかというと、いきさつを説明するとちょっとややこしいのだが、こんなことだった。

今週に入ってから、東京で一人暮らしをしている長女と連絡が取れなくなっていた。ケータイに電話してもつながらないし、メールしても反応がない。どうしたのかと心配していると、木曜日になって連絡が入った。なんと、オランダ旅行から帰ってきたばかりだという。そんなところに行くなんて、一言も言ってなかったじゃないか。まったくもう。

ウチの長女は風来坊だからそこまでは考えなかったが、フツーの親なら捜索願を出すところである。まあ、そんなこんなで、オランダの土産話でも聞かせておくれとメールしといたら、昨日夕方に待ち合わせて会うことになった。向こうが私の仕事先の秋葉原まで来てくれるという。

ところが、約束の 5時半になっても長女は現れない。ケータイに電話してみると、「ゴメン、寝てた!」 なんてことを言う。時差ぼけで寝落ちしちゃったらしい。仕方がないので、こちらが向こうのアパート寄りの方まで移動して、中間点の六本木で会おうということになった。

予定より 30分遅れで六本木で会い、そこで急に思い出したのが、例のオルセー美術館展である。ということで、急遽見に行こうということになったというわけだ。

「私が寝落ちしたおかげで、オルセー展が観られることになって、よかったね」 などと、長女は気楽なことを言う。まあ、こんなだから捜索願も出さないのである。

今回のオルセー展は、印象派以後の代表作を集めたものだ。元々オルセー美術館といえば、ルーブル本館では手薄な印象派以後のコレクションで知られている。

で、長女と 2人で入場したところ、彼女はあまり感激した風情がない。「ふぅん」 なんて、やたら冷静に眺めている。こっちがかなり感動しながら観ているというのに。

聞いてみて初めて知ったのだが、ウチの長女は、美術では古典と現代美術の人で、その中間の印象派には全然ピンと来ないんだそうだ。コローダリが好きなんだという。そんな極端な趣味とはちっとも知らなかった。

「日本人は 10人のうち 8人は印象派が好きだと思うけどねえ」 と言うと、「だって、印象派って、あまりにも "絵っぽい" じゃん」 なんてことを言う。絵なんだもの、絵っぽくて当たり前だろうが、彼女は基本的には、古典的で写実っぽい現代離れした感覚の絵が好みなんだそうだ。へぇ。

それで、今回のオランダ旅行でも、レンブラントだのフェルメールだので感激して帰ってきたというのだが、どうも印象派とその近辺は 「ふぅん」 という程度なのだね。モネなら 「きれい!」 と言うが、ゴッホでもゴーギャンでも、あまり心の琴線に響かないようなのだ。いやはや、身内にこんな人間がいるとは知らなかった。

私も妻も、美術では基本的には印象派以後の趣味の人である。だから、ニューヨークに行っても、印象派以前のやたらともったいぶったコレクションを誇る メトロポリタン美術館 (The Met) よりは、印象派以後のコレクションが豊富な 近代美術館 (MoMA) の方に行きたいタイプなのだ。

ちなみにマンハッタンの MoMA はずっと工事中の期間が続いていたので、私がちょくちょく ニューヨークに出張していた頃はクィーンズに移転していて、時間がなくて行けなかった。そして工事が終わり、マンハッタンに戻ったとたんにニューヨークに行く用事がなくなってしまったのが残念である。

それにしても、印象派以後の親から 16世紀頃の趣味の娘が生まれるとは、人間の趣味とはなかなかわからないものである。

最後に、これはあまり教えたくないのだが、オルセー展は土日はやたらと混むので、ウィークデイに仕事のある人は、金曜日の夕方過ぎに行くといい。金曜日は 8時まで開館しているので、ねらい目なのだ。とくに雨が降ったり台風が近づいたりしているときは、ゆったりと観られると思う。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

日本人の8割は印象派好き…といわれてもあまりぴんとこないのは私だけでしょうか? あれ?


私の周囲では娘さんのように写実派か現代美術派が多数を占めているようです。
そして私はミュシャを筆頭に新古典主義が好きです。現代美術も好きなので、やはり娘さん寄りでしょうか。


芸術の趣味というのは人間の数ある嗜好の中でも環境や所属する集団、そして世代(これは一概に言えないまでも、結構重要な要因な気がしています)によってかなり左右されるのでしょうね。
統計学的観点で見てみたら、ちょっと面白そう*

投稿: 抹茶 | 2010/06/12 19:33

抹茶 さん:

>私の周囲では娘さんのように写実派か現代美術派が多数を占めているようです。

ありゃ、そうですか。
やっぱり世代的な違いがあるのかなあ。

ふぅむ。

投稿: tak | 2010/06/12 20:31

私は、このなかでは幻想的なルソーが、わくわくするほど好きですね
あの熱帯樹林が好きで、むかしは自分のマンションの中を,ちょっと、ちょっとだけですが(笑)、あんな風にしていました
虎やライオンや蛇やジプシーはいませんでしたが(笑)

他の画家からは,想像力をかきたてられません

あと、ゴッホの夜景を描いた絵には,よく言われる情熱よりも、むしろ夜の静けさの中の哀しみのようなものを感じます


写実派では,アメリカのアンドリュー・ワイエス
ヘルガのヌードはあまり見ていませんが(笑)

投稿: alex99 | 2010/06/13 13:20

alex さん:

>あの熱帯樹林が好きで、むかしは自分のマンションの中を,ちょっと、ちょっとだけですが(笑)、あんな風にしていました

それはまた、エキサイティングなマンションですね。帰るのが楽しみになりそうです。

>あと、ゴッホの夜景を描いた絵には,よく言われる情熱よりも、むしろ夜の静けさの中の哀しみのようなものを感じます

「星降る夜」ですか。
あれは、今回初めて実物をみて、「情熱」というのがわかりました。
あれは実物と印刷の落差、ありすぎです。

>写実派では,アメリカのアンドリュー・ワイエス

ワイエスは私も惹かれます。
大学時代にどこだか忘れましたが、企画展をみて、そのときに買った分厚い画集があります。

投稿: tak | 2010/06/13 18:45

tak-shonai さん

>「星降る夜」ですか。
あれは、今回初めて実物をみて、「情熱」というのがわかりました。
あれは実物と印刷の落差、ありすぎです。

そうですか?
実物は情熱的なんですか?

夜景は,このほかにも
「夜のカフェテラス」とか
題名は忘れましたが,杉の樹とかがありますが、印刷紙か見ていませんもので,情熱はくみとれません

投稿: alex99 | 2010/06/13 19:22

alex さん:

「星降る夜」は、全面を覆うブルーの光沢がすごいんですよ。
なんというか、キラキラ感があふれ出してますね。
印刷ではそこまではわかりませんでした。

「夜のカフェテラス」も、もしかしたら、そんな感じなのかもしれません。本物を見てないんでわかりませんが。

やっぱり、本物をみるって大切だと思いました。
しみじみと。

投稿: tak | 2010/06/14 10:29

tak-shonai さん

とても参考になることを教えていただきました
やはり絵画というものは,本当は,本物を見ないといけませんね

ありがとうございました

と言うことなら、美術展には,みんな、行かなければならないじゃないですか(笑)

そう言えば、私が感激したのは、ボッティチェリの「春」と「ヴィーナスの誕生」の本物を見た時でした
予想しなかったほど、非常に大きな絵なのです
特別室の壁面いっぱいの大きさで
それにその時、テンペラだったかな?を洗って,描かれてあった様々な植物が鮮やかに現れて,話題になった時でした
ボッティチェリも好きです


投稿: alex99 | 2010/06/14 10:49

alex さん:

>と言うことなら、美術展には,みんな、行かなければならないじゃないですか(笑)

金がいくらあっても足りませんね (^o^)

>そう言えば、私が感激したのは、ボッティチェリの「春」と「ヴィーナスの誕生」の本物を見た時でした
>予想しなかったほど、非常に大きな絵なのです

そんな大きな絵とは知りませんでした。
そんな話を聞くと、やっぱり本物を見たくなりますね。

投稿: tak | 2010/06/14 16:55

遅ればせながら…

こちらでtakさんの紹介記事を見たおかげでその気になり、友人と行くことにしました。
普段ほとんど行かないものですから、こういうことでもなければ行かないままだったでしょう。
良いきっかけをありがとうございました。

投稿: キセ | 2010/06/17 09:24

キセ さん:

楽しんで来てください。
ただ、あまり混まない時を狙ってくださいね。
そうでないと、人の頭しか見えないなんてこともあると思いますから。

投稿: tak | 2010/06/17 22:01

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