押尾薬物事件は、よくよく因果なお話みたいなのだ
MSN 産経ニュースが、「押尾薬物事件」 の裁判を詳細にレポートしている (参照: 最初のページ)。私としては詳細にこだわらずどんどん読み飛ばしてみただけなのだが、よくよく因果な事件だったということはよくわかった。
弁護側としては、「被害者だって相当ヤバイ女だったんだもんね」 ということを印象付けるために、暴力団の親分と親密な交際があったとか、背中に入れ墨してたとか、自分でも薬物に手を染めていたとか、いろいろなことを言ったあげく、「彼女は自分で手配したドラッグを飲み過ぎて勝手に死んだのだ」 と主張する戦術のようだ。
そして死にかかった彼女に、押尾被告は心臓マッサージを施したり、できるかぎりの救命措置を取ったのだから、遺棄致死とドラッグ譲渡の 2罪については無罪なのだというストーリーで臨んでいる。うん、押尾サイドにとってはこれ以上ないほど魅力的なストーリーである。
しかし裁判の過程においては、押尾被告が元マネジャーを身代わりに仕立てて罪を押しつけようとするなど、あきれ果てるほどの幼稚で身勝手な画策をしていたことが明らかにされるなど、まあ、「救いようのないバカ男」 というイメージが確立されてしまった。
被害者が 「自分で手配したドラッグを飲み過ぎて勝手に死んだ」 というのは、そりゃ、可能性としてはあり得ない話ではないが、もし、そのストーリーがでたらめということを示す新たな証拠が出されてしまったら、裁判官の心証を決定的に悪くしてしまうことになる。
それだけに、「ずいぶんリスクをとった戦略に出たな」 という印象だ。まあそれも、被告の性格的なところから来るのかもしれない。そもそも、できる限りの救命措置をとったにしては、救急車を呼ぶという一番肝心な措置は、「自分もクスリをやってるのがバレるのは困る」 という、とても身勝手な理由で最後まで避けたわけだし。
それにしてもまあ、この裁判はやたら怪しげな登場人物満載で、「因果ここに極まれり」 という感じがする。何しろ、元国会議員まで登場しているのだから、びっくりだ。この元国会議員は、ちょっとググれば実名がすぐにわかるが、ここではまあ、触れないでおこう。
押尾被告みたいな人物は、私なら、まず親しく付き合う気になれないタイプなのだが、世の中には逆に、このようなバカ男と親密に付き合ってしまう種族がいるみたいなのである。そこがまさに世の中の世の中たるところなのだが、本当に因果なことである。
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コメント
こんな事件に半月も付き合わされる裁判員や、裁判費用だけで数千万、捜査・訴訟費用、拘留費用、執行費用など合算すれば億単位にもなろうかという税金を支払わせられる国民も、よくよく因果なものですね。
刑事事件の経済性を見直す上での典型例の一つだと思います。
投稿: clark | 2010/09/08 11:40
裁判なんてこんなものなんでしょうけど…。
気に入らないのは、「起訴内容とは食い違いがあるから無罪」ということを淡々としゃべらせる弁護人の姿勢ですね。
どんな境遇であれ、目の前で亡くなった人に対する思いやりが、一切感じられません。
情けない。
投稿: 乙痴庵 | 2010/09/08 12:38
clark さん:
裁判員としては、最初は下世話ながら注目事件ですから、「お、おもしろ!」 なんて思った人もいるかも知れませんが、最初の三日間でうんざりしちゃったでしょうね。
まさに、因果なことです。
投稿: tak | 2010/09/08 14:57
乙痴庵 さん:
>気に入らないのは、「起訴内容とは食い違いがあるから無罪」ということを淡々としゃべらせる弁護人の姿勢ですね。
ものすごくアメリカ的というか、超ドライな弁護方針ですね。
もし無罪になったとしても、押尾某にとっていいことなのかは、はなはだ疑問。
有罪になって刑に服す方が、後々の彼の人生のためにはいいような気がしますが。
投稿: tak | 2010/09/08 15:01