« 庄内では雪が降ったらしい | トップページ | 小沢氏の 「地方から反乱」 発言 »

2010/11/29

「ふからはらぎ」 という庄内弁の超難解単語

庄内弁はもろにネイティブ同士で話したら、庄内以外の人たちにはまるで外国語のように聞こえる。前に飛行機で鹿児島空港に向かうとき、隣に鹿児島県民らしいじいさん 2人 (雰囲気からすると、どうやら兄弟であるらしい) が座り、もろに鹿児島弁でしゃべり出したが、ほとんど一言も理解できなかった。あんなようなものなのだろう。

20年近く前に妻の実家 (仙台) を訪問した時、夜のテレビ番組で方言クイズがあった。ちょうどその日は庄内弁のクイズにあたっていて、平田町 (現在は酒田市) のばあさん 2人がものすごくディープな庄内弁で話している映像が映し出された。

「でって、まんず、おらいのまごだばべんきょさねぐで、でぎわりぐで、こまたもんだなだでば」
「あいや~、いもんだぁ、おらいんなぁて、あんだなで、でがぐさはらっだなだもんだし」

なんてなことを話している。日本語に翻訳すると、次のようになる。

「ところで、まず我が家の孫ときたら、勉強しなくて、できが悪くて、困ったものなのよ」
「まあ、いいわよ。うちのだって、あの程度で大学に入れたんだから」

てなことなのだが、私にはすらすらと理解できるこのやりとりを、妻の家族は全然理解できず、目が点になっている。「外国語よりわからない。どうして同じ東北なのに、こんなにわからないんだ?」 という。同じ東北で、しかも緯度も大体同じぐらいなのに、日本海側と太平洋側とでは、かくまで文化圏が違うのだ。

そうするうちに、平田町のばあさんは大きな声で次のように頼んだ。

「おとちゃん、ふからはらぎ」

要するに、奥の間にいるじいさんに、「ふからはらぎ」 なるものをもってきてくれと頼んだのである。奥の間からはじいさんの 「あいよ~」 という声が聞こえ、ここで画面はストップした。さて、問題である。庄内弁の 「ふからはらぎ」 とは一体何なのか。

ここで私はあせった。庄内弁バリバリのこの私も、「ふからはらぎ」 なる言葉は聞いたことがなかったのである。こんな難解すぎる庄内弁の単語をクイズにするなんて、この番組のスタッフ、意地が悪すぎる。

そこで急遽、酒田に電話してみると、今は亡き母が出た。そこで、「のうのう、『ふからはらぎ』 って、何だがわがっが?」 (ねえねえ、「ふからはらぎ」 って、何だかわかる?) と聞くと、母はあっさりと、「わがる~、灰皿だんでろ~」 (わかるよ、はいざらでしょ) という。

果たして、クイズの答えは 「灰皿」 で正解だった。さすが庄内弁のディープさでは、私はまったく母に敵う者ではなかった。

「ふからはらぎ」 とは、多分 「吸い殻払い」 あるいは 「吸い殻はたき」 の訛りだろう。庄内弁では掃除に使う 「はたき」 を 「はらぎ」 という。私はこうして、30歳をとっくに過ぎた頃に 「ふからはらぎ」 という超ディープな庄内弁の単語を知ったのであった。

後で父に聞いたら 「ふからはらぎ」 には 「すからはらぎ」 というバージョンもあるらしい。こちらの方が 「吸い殻はたき」 というオリジナルに近い。平田町のばあさんの方が、ずっとディープだということである。

|

« 庄内では雪が降ったらしい | トップページ | 小沢氏の 「地方から反乱」 発言 »

庄内の話題」カテゴリの記事

コメント

>「でって、まんず、おらいのまごだばべんきょさねぐで、でぎわりぐで、こまたもんだなだでば」

文字では、ほぼ意味は取れましたが、聞いたら多分わかんないでしょうね。

ところで、学校の先生はやっぱり庄内弁なんでしょうか。私が中学生の頃、生徒手帳には「方言をしゃべるな(上州弁をしゃべるな)」と書いてあり、先生はほぼ共通語をしゃべっていました。

投稿: ハマッコー | 2010/11/30 00:33

ハマッコー さん

>文字では、ほぼ意味は取れましたが、聞いたら多分わかんないでしょうね。

文字をじっくり読めばいいというなら、沖縄の島言葉だって、一定の法則さえ理解していれば、半分ぐらいは 「解読」 できたりします。

ただ方言は基本的に「話し言葉」 ですから、耳で聞いて分からなければならないというのが、大変なことです ^^;)

>ところで、学校の先生はやっぱり庄内弁なんでしょうか。私が中学生の頃、生徒手帳には「方言をしゃべるな(上州弁をしゃべるな)」と書いてあり、先生はほぼ共通語をしゃべっていました。

最近の学校の様子を知らないので、断言はできませんが、多分共通語なんだと思いますよ。

というのは、最近の庄内の子どもたちは、びっくりするほどきれいな共通語でしゃべってますから、庄内弁だと通じないんじゃないかと思ってしまいます。

多分、高校を卒業して東京などに出た連中が U ターンして戻ると、共通語をそのまま使い続けるケースが多いのだと思います。

とくに、庄内以外の土地で生まれた人と結婚して庄内に戻ったら、家の中では庄内弁は生き残れません。

そこで生まれた子供は共通語で育ってしまうということなんじゃなかろうかと。

私の頃は庄内弁で授業する先生もかなりいて、そういう先生ほど人気がありましたけどね。

投稿: tak | 2010/11/30 10:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/50164230

この記事へのトラックバック一覧です: 「ふからはらぎ」 という庄内弁の超難解単語:

« 庄内では雪が降ったらしい | トップページ | 小沢氏の 「地方から反乱」 発言 »