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2010/12/10

ウィキリークスをどう捉えるか

ウィキリークスというものについて、私はこれまで一度も書かなかった。書くほどの材料を持ち合わせていなかったことと、そしてもちろんそのためでもあるのだが、これをどう捉えればいいのか、判断できなかったからである。

で、今ようやくこのブログに 「ウィキリークス」 という言葉が登場したので、判断するだけの材料が調ったのかというと、決してそうではない。やはり、さっぱりわからないのである。ウィキリークスというのは、「どう判断していいかわからないもの」 と認識するのが、今のところは一番妥当なのではなかろうか。

オーストラリア生まれのジュリアン・アサーンジという人の始めたウィキリークスは、「情報公開こそが民主主義の基本」 という理念のもとに運営されているのだという。これに関しては、私も双手をあげて賛成する。秘密主義の民主主義なんてものはあり得ない。

この基本理念に関しては、民主主義を支持するほとんどの人が賛成するだろう。ただ、外交的な機密文書がバンバン漏れまくって公開されると、現実社会ではやはり軋轢が生じる。今回、米国の機密文書が一挙に公開された件に関しては、米政府の首脳は怒りまくっているという。そりゃそうだろうと思う。

問題は、基本理念と現実運用の 「さじ加減」 なのだ。

個人情報などに関しては、もちろん機密情報として公開されないような措置を講じるべきだが、公開されないことによって、社会が不利益を被るような情報、あるいは企業が反社会的なマネジメントをしていて、従業員が不利益を被っているというような情報などは、積極的に公開されるべきだろう。

私はウィキリークスというサイトの存在を初めて知ったとき、「内部告発者が不利益を被らないような配慮がなされた、良心的なシステム」 と、単純に考えていた。

義憤に駆られた内部告発者が、その後に周囲から有形無形の圧力を加えられて、かなりの不利益につながったというケースはよく耳にする。ウィキリークスを使えば、そうした理不尽なことはなくなるので、歓迎すべきじゃないかとさえ思っていた。

先日の 「尖閣ビデオ」 なども、YouTube なんかじゃなく、ウィキリークスを使えばよかったのにとまで思っていたのである。そりゃあ YouTube を使う方が、圧倒的に多くの人の目には触れるだろうが。

ただ、内部告発が行き過ぎると、やはり世の中の動きがスムーズに行かなくなることがある。どうしても 「さじ加減」 が必要なのだ。しかしこの 「さじ加減」 というのは、あらかじめ基準をもうけることが不可能で、ある程度の期間の経験によって、自ずと定まってくるというようなところがある。

今のところはその点で、初期の混乱段階にあるのだろう。とくにこのサイトの創設者が米国に対してかなりの反感を抱いているようで、そのメンタリティが先走った結果が、今回の機密文書の大量流出につながったんだろう。

私なんかは、中国共産党とか北朝鮮の機密文書の流出の方によほど期待するんだけれど、この両国はインターネットがキチキチの規制の元で運営されているから、情報も流出しにくい。

結局、自由な国の機密文書は流出しやすく、不自由な国のそれはいつまでも出てこないなんてことになる。これではアンフェアというものだ。下手すると、これまで自由だった国でさえ規制がかけられるなんてことにつながりかねない。

近頃は、反ウィキリークスを表明した企業のサイトに、ウィキリークス支持者からのハッキング攻撃が相次いでいるらしい。これもまた行き過ぎである。本当に不自由な国の企業は高みの見物をしていられるのに。

しかし私としては楽観的すぎるかもしれないが、そのうちに落ち着くべきところに落ち着くと期待している。新しいシステムというのは、一度エクストリームを経過しないとあるべきところに着地できないのだ。

大量流出した米国機密文書だって、本当に致命的なものというわけではない。大半は、「そうなんだろうな」 と思われていたことが 「やっぱりそうだったんだ」 と確認できるという程度のものだ。

これなら、外交筋が慣れてきたら逆利用だってできそうだ。そんなこんなで、ウィキリークスの情報は眉にたっぷりとつばつけて見なければならないという状況がすぐにくる。そうなると、サイトの信頼性とか重要性とかいうものも、すぐに色褪せる。まだまだ紆余曲折がある。

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コメント

今のところ、情報(漏洩?)源が米国ばかりという点が、物足りないというか、バランスが取れてないというか

おっしゃるように、中国や北朝鮮の最高機密が漏洩したら、これ以上、面白いことは無いんですが
金正日が余命半年とか、金正恩が射撃が下手だとか(笑)
そういえば、金正日、影武者説、消えてしまいましたね

日本の、特に戦後の情報など、機密性の少ないものばかりだと思いますから、漏洩して欲しい(笑)
鳩山が大バカだという情報は、世界中、みんなが知っているので、機密情報ではありません(笑)

投稿: alex99 | 2010/12/10 12:23

そもそも政府は、きちんと機密情報の管理をしなければならないし、また情報はいつか漏洩するという覚悟が必要だと思います。
前者に関しては、言うまでもありません。
後者に関しては、機密という盾の陰でとんでもない行動(アフガニスタンでのクラスター爆弾の容認の強要等)やしょうもないコメント(各国首脳の人物評)をして平気でいるからこうなるわけです。
こうした点は、おそらく今回の事件をきっかけに各国で改善が図られるのではないでしょうか。ま、わが国はあまり期待できませんが(笑)。

ウィキリークスという組織に関する本当の問題は、本当にヤバい機密(軍事作戦とかスパイのリストとか、核攻撃の承認コードとか)が得られてしまったときでしょう。このへんは自ら高い倫理規定を掲げ、自らの存在意義を訴えることによって、世間の支持を獲得し、自らを守るしかないでしょうね。あと、新聞等のメディアとどのような関係になっていくのかも興味深いところです。

投稿: きっしー | 2010/12/10 14:38

alex さん:

>日本の、特に戦後の情報など、機密性の少ないものばかりだと思いますから、漏洩して欲しい(笑)

大体、関係者はみんな薄々知っていることばっかりだと思いますから、いっそ大公開すればいいんですよね。

鳩山さんに関しては、「薄々」どころではないですが (^o^)

投稿: tak | 2010/12/10 15:35

きっしー さん:

>機密という盾の陰でとんでもない行動(アフガニスタンでのクラスター爆弾の容認の強要等)やしょうもないコメント(各国首脳の人物評)をして平気でいるからこうなるわけです。

このしょうもなさは、お笑いぐさですね。

>こうした点は、おそらく今回の事件をきっかけに各国で改善が図られるのではないでしょうか。ま、わが国はあまり期待できませんが(笑)。

あんまりしょうもないことは文書にするなとか (^o^)

本当に重要なことは直接会って小声で話すとか、文書化するときには暗号化するとかになっちゃいそうです。

>このへんは自ら高い倫理規定を掲げ、自らの存在意義を訴えることによって、世間の支持を獲得し、自らを守るしかないでしょうね。

そうしないと、「クソ扱い」になるのが時間の問題だと思います。

>あと、新聞等のメディアとどのような関係になっていくのかも興味深いところです。

この辺は、時間をかけて模索することになるんでしょうね。

投稿: tak | 2010/12/10 15:40

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