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2010/12/09

「大黒様の歳夜」 と 「恵比須講」 の不思議な関係

昨年の今頃 「でっごぐさんのとしや (大黒様の歳夜)」 について 3日連続で真面目に考察してみた。大黒様の歳夜というのは、日本のあちこちに伝わる伝統行事で、とりわけ私の故郷である庄内地方にとても色濃く残っている。これについて、きっちりと論じてみたのである。

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ところが、今年になってからこの関連で、新しい事実を知ることとなったので付け足してみたい。というのは、「恵比須講」 という儀礼も、大黒様の歳夜に関連しているようだということがわかったのだ。

先日、「12月 9日になると、うちの田舎では 『大黒様の年夜』 ってのを、まっか大根供えて祝うんですよね」 と言ったら、近所のじいさん (茨城県日立市出身) が、「茨城でもそれと似たので、『恵比須講』 ってのをやったもんだよ」 と言い出したのである。それは 12月 8日なんだそうだ。

それを聞いて私は、「そりゃ、おかしいですよ。恵比須講ってのは、10月 20日でしょう」 と言うと、そのじいさんは、「いや、確かに 12月 8日にまっか大根を供えて祝ったもんだ」 と言い張る。決してウソをいうような人ではないので、ありがたくうけたまわって帰り、改めてググってみたら、なるほど、関係ありそうだということがわかった。

恵比須講というのは 10月 20日に祝われるところが多いが、どうやらそうとばかりもいえないようで、Wikipedia には次のように記されている (参照)。

地方や社寺によっては、旧暦の10月20日であったり、秋と春 (1月20日) の2回開催したり、十日えびすとして1月10日や1月15日とその前後などに行うこともある。

恵比須講のスケジューリングは、たいそう自由度が高いようなのだ。また、「Key 雑学辞典」 というサイトには、次のような記述もある (参照)。

地域によって、1月10日や12月8日に行うところがあり、また10月20日を 「商人えびす」、12月8日を 「百姓えびす」 と呼ぶこともある。古くは数多くの各家庭や社寺で行われていた年中行事であった。

「商人えびす」 と 「百姓えびす」 の日付に関しては、この他にも諸説あるようで、これもまた一概には言えないのだが、いずれにしても、「大黒様の歳夜」 の 12月 9日の前日である 12月 8日が 「百姓えびす」 と言われることがあるというのは、私にとってはちょっとした発見だった。

というのは、「大黒様の歳夜」 が 12月 9日であるというのは、ちょうどこの頃が一年で一番日没の早い時期なので (冬至の頃より日没は早い) 、屋外で労働する農耕民には実感的に年越しの夜という感覚があったのではないかと、昨年の考察で結論づけているからだ。

それに、この時期は旧暦で言えば神無月の月末に近く、日本中の神様が出雲に集まるというので、出雲大社の主神であり、農業神の総元締めみたいな神様である大国主命=大黒様の歳夜と、自然に呼び習わされてきたのではないかとも考察している。

そして恵比須講との関連で言えば、日本中の神様が出雲に集まる神無月において、恵比寿様は留守番をあずかる神ということになっているようなのである。それに、恵比寿様も商売繁盛の神としてばかりでなく、地方においては大黒様と同様に農業神、かまど神と考えられている。大黒様と恵比寿様は、こんなように、七福神の中でも案外縁が深い。

あるいは、古代からの農業神の復活という意味合いの儀礼が、七福神が伝わって後、地域によって 「大黒様の歳夜」 になったり 「百姓えびす」 の 「恵比須講」 になったりしたのかもしれない。

そして、「大黒様の歳夜」 でも 「恵比須講」 でも、まっか大根を供えることが大きな意味を持つというのはとてもおもしろい。まっか大根 (又割れ大根) の形状から連想されるところの子孫繁栄、五穀豊穣を願う儀礼というのが、元々の意味合いなのだろう。

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コメント

大黒様
戎様
大国主命

この関係は、興味深いですね
いろんなものが、混じり合って入っているようで

投稿: alex99 | 2010/12/10 08:15

alex さん:

元々は、大国主命イコール大黒天というわけじゃなかったわけですから、その辺からして元々の民俗信仰とごちゃごちゃになって、複雑ですね。

さらに、大黒様と恵比寿様はかなりごっちゃになっているようでもあるし。

投稿: tak | 2010/12/10 10:00

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