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2011/01/25

「じゃによって」 という言葉

@kmiyazawa さんの tweet によって、「じゃによって」 という IBM 用語があると知ってびっくりした。なかなか時代がかっている。「子供が狂言の稽古を始めたもんでリアル 『じゃによって』 を目にするようになったのが可笑しい」 と書かれているように、古典芸能ではお馴染みの言葉である。

意味は 「~であるから」 というようなことだ。「~じゃ (である)」 という断定を受ける言い方で、「左様なことぢやによって、かやうにあい成るのぢやわいなあ」 みたいに言う。歌舞伎、とくに丸本物 (文楽からきた演目) ではフツーに使われる。ということは、上方で一般的に使われていた言い回しなのだろうか。

IBM というハイテク企業に、こんなような古い言い回しが生き残っているというのはおもしろい。もしかしたら、IBM の企業文化って、外資系と上方系の合わせ技なのかしらん。日本法人が発足した当初のエライ人の中に、古典芸能好きの大阪人が多かったとか。あるいは文楽の太夫の息子がいたとか。

それにしても、「じゃによって」 はどちらかと言えば口語的な言い回しなのだが、IBM ではドキュメント・テキストの中に 「じゃによって」 を使うのだろうか? そうだとしたら、ちょっと異様な感じがする。

「IBM 用語辞典」 というサイトには、「じゃによって」 の別名に 「よってもって」 があると書いてある (参照)。もしかしたら、会議などでは 「じゃによって」 と言い、その議事録では 「よってもって」 に翻訳されるのだろうか。

そう言えば、IBM 用語には 「ディスケット」 というのもあると聞いた。今ではほとんど見かけることもなくなったが、フロッピーディスクのことである。

私が昔よく顔を出していたオフィスの長老格、某氏は、フロッピーディスクのことを 「ビスケット」 と言っていた。もちろん 「ディスケット」 を聞き違えて覚えてしまったのである。その間の事情については、私の過去記事 「フロッピーディスクとビスケットを巡る冒険」 に書いてある。

IBM という会社は、ずいぶんいろいろユニークなものの言い方を好むようなのだ。私の知ってる IBM 社員は、とくに妙な日本語を使うという印象はないのだが、実は社に帰ったら 「じゃによって」 なんて言いまくっているのだろうか。

「じゃによって」 は順接の接続詞みたいな使い方だが、話の筋道がそうすんなり行かない場合は、「じゃと言うて (ゆうて)」 になる。歌舞伎などでは 「忠ぢやと言ふて孝を捨つるもならず」 みたいな言い方で、悶々とする美学に突入する。

ちなみに、一部では 「じゃによっては」 という言い回しが 「悪い方向に転んでしまった場合は…」 という意味合いで使われているらしい (参照)。これなんか、「邪に寄っては」 と書くしかないんだろうなあ。いわゆる 「じゃによって」 から派生したのかもしれないが、意味合いは全く別の特殊な言い回しになってしまっている。

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コメント

IBM出身の人が周囲にいるので身をもって実感できる話ですが、まさかtakさんが取り上げてくださるとは。
私は初めて聞いた場所が広島だったので、てっきり広島弁だと思い込んでいました。(それっぽいでしょ?)
「よってもって」という言葉もよく耳にします。

投稿: HIRO | 2011/01/26 23:46

HIRO さん:

へへえ、「じゃによって」 「よってもって」 は、今でもしっかり息づいてるんですね。

広島弁っぽくもありますが、まあ、上方の古い言い回しなんでしょうね。

投稿: tak | 2011/01/26 23:55

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