« よく学びよく遊べ | トップページ | たいやきくんは、幸いなのか、不憫なのか »

2011/01/13

若者文化って、画一性が高い

今年の成人の日は終わったばかりだが、ニュースで毎年のように 「今年の新成人は、過去最少」 と報道される。どんどん少子化しているんだから当たり前で、要するに若者人口が年ごとに縮小していることになる。増えるのは年寄りばかりだ。

若者は数が少ない上に金もない。ということは、若者文化は確実にマイナー化しつつあるということだ。駅や電車の広告でテレビドラマの広告を見ても、若者向けドラマに出ているタレントのほとんどは、顔ぐらいは知っていても名前は知らない。私だけがこの方面に疎いというわけじゃなく、同年代の誰に聞いても似たようなものだ。

高校の同期の集まりに出かけて、二次会でカラオケなんかに行っても、最近の歌は誰も歌えない。どれを聞いても皆同じに聞こえるという。それは、若い連中が演歌を聞いても反応としてはまったく同じなのだが。

エンタテインメントの世界では、市場が細分化されて久しいと言われる。年齢層が違うと、聞く曲が全然違う。若い連中なら誰でも知っている曲を、年配は誰も知らない。だから 「ヒット曲」 と言ってもたかが知れていて、CD の売上げも伸びない。人口が少なくて金を持っていない層でちょっとぐらいヒットしても、どうせ大したことにはならない。

ところが、テレビなどのメジャーな世界でフィーチャーされるのは、そうした若者向けが多い。メジャーなメディアに、加速度的にマイナー度を増している要素が居残っているのだ。テレビにちょっと出て、ちょっと売れてすぐに消えていくタレントが多くなるのも道理である。

その程度のマイナー化しつつある若者文化にメジャーのレベルのコストをかけてプロモーションしたら、フツーは儲かるはずがない。今、何とか儲かってるのは、若者が驚くほど画一的だからだ。

若者市場というのは、人口は少ないものの画一性が相対的に高いので、プロモーション効率がかなりいいんじゃないかと思う。中年以上になってしまうと、画一的には違いないが、いろいろ面倒なことをいって、そのまま素直になびく比率が下がる。その点、若者市場ではちょっとプロモーションすれば、あまり疑いもせずになびいてくれるのが多い。

若者市場は効率がいいのだ。市場が多様化しているなんていうのは幻想で、中身のものすごく画一的なセグメントが、複数存在するだけだ。ビジネス的には若者には思いっきり画一的でいてもらう方が都合がいいので、どんどん画一的に持ち上げて、軽薄にいい気分にさせる。

こうして、規模的にはマイナーな若者市場に、メジャーのコストをかけてガンガンプロモーションするから、画一性のみがどんどん拡大再生産される。「個性的な人材」 とやらを求める就職試験の面接の受け答えまで、「望ましい答え」 が準備されている。

その結果、異質な要素を認めない空気が生じる。ちょっと異質な人間は疎外感を抱く。いじめが生じる。失敗してもやり直しがきかない。引きこもる。

生物多様性の重要性が言われるが、多様性というのは人間社会の中でも重要なことだ。これを認めないと、生きづらくてしょうがないのだが、若い連中がどんどん画一化して内向きになっているのは、かなり心配なことだ。

|

« よく学びよく遊べ | トップページ | たいやきくんは、幸いなのか、不憫なのか »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

「その年代の人口は減少しているが、文化が画一的だから、ハンドルしやすい」とは、卓見ですね
若者文化の特徴であるヲタク文化も、ある意味で画一的ですね
まあ、我々世代は、働くばかりでしたから、文化について、偉そうなことは言え無いんですが

投稿: alex99 | 2011/01/13 17:32

alex さん:

>若者文化の特徴であるヲタク文化も、ある意味で画一的ですね

いわゆる 「萌え絵」 なんかも、私にはどれも同じに見えます。
わずかな違いが大きな違いのようですが。

あの分野は、著作権を主張しにくいですね。
ある意味、「入会地」 みたいなところがあります。

投稿: tak | 2011/01/13 23:39

職業柄反応してしまいました ^^

実際彼らは思ったほど画一的ではなく、若いがゆえの画一的な部分だけが画一的ゆえに悪目立ちしているので、内向きに画一性が拡大再生産されている、といった印象は杞憂かと思いますよ。
若い連中は人生経験が少ないので、ある方向からスポットを当てると画一的に見える、というのは当然なわけですし。

ちなみにPOPEYE創刊が1977年で、この手の雑誌文化を支えた所謂マニュアル世代もそろそろ50に手が届く勢いです。
彼らも若い頃は十分に画一的だったわけで「今のマイナーな若者文化」だけではなく、若者文化というものは、そもそも画一的な側面を孕んでいるのだと解釈するのが妥当ではないでしょうか。

萌え絵も一見同じように見えますが、それは例えば仏像に興味のない人が仏像に差異を発見しづらいのと似たようなものかと。逆に微細な違いを鑑賞するマインドには、掘り下げればなかなか面白いインサイトが眠っているように感じますね。

プロモーションの視点で考えるならば「若者文化は若者だけが消費している」と判断するのは早計で、ある生活指向性を併せ持ったクラスターが若者の中では多数派を形成している、というあたりが実際ではないかと思っています。

とりとめなく長文になってしまいました。
失礼しましたです。

投稿: S太郎 | 2011/01/14 12:34

S太郎 さん:

コメントありがとうございます。

>実際彼らは思ったほど画一的ではなく、若いがゆえの画一的な部分だけが画一的ゆえに悪目立ちしているので、内向きに画一性が拡大再生産されている、といった印象は杞憂かと思いますよ。

ご指摘はわかります。よくみれば、違いはあるものです。

ただ私には、「若いがゆえの画一的な部分」 を持ち続ける時期が長期化しているという印象があります。

「ばらけ方」 があまり目立たないなと。

>若い連中は人生経験が少ないので、ある方向からスポットを当てると画一的に見える、というのは当然なわけですし。

言ってみれば私のこの記事は、まさに 「ある方向からスポットを当て」 ることによって見える部分を強調しています。

>「今のマイナーな若者文化」だけではなく、若者文化というものは、そもそも画一的な側面を孕んでいるのだと解釈するのが妥当ではないでしょうか。

それはもとより同感です。若者文化は画一的な側面をはらみがちだと思います。

そして今の若者文化が、人口面でも消費力でもマイナー化しつつあるというのは、それとは別の問題です。

マイナーになりつつある市場にメジャーのプロモーションコストをかけて回収できるのは、ひとえに、画一性故の投資効率のよさによるものというのが、私の主張です。

この効率の良さがなければ、言い換えれば、もし若者の画一性が低かったら、日本のビジネスはこれほどまでに若者を画一的に持ち上げていないはずです。

「拡大再生産」 という言葉を使ったのは、こうした意味もこめています。

>萌え絵も一見同じように見えますが、それは例えば仏像に興味のない人が仏像に差異を発見しづらいのと似たようなものかと。逆に微細な違いを鑑賞するマインドには、掘り下げればなかなか面白いインサイトが眠っているように感じますね。

その指摘はよく理解できます。

ただ私は、この分野の微細な違いを掘り下げることよりも、「入会地的」 な、ある意味、緩いムーブメントといってもいいかもしれない現象の方に、より興味を抱いています。

「画一的であることのパワー」 というのがあり、そしてこのパワーは、もろさの裏返しでもあるのではないかと。

まあ、言ってみれば、古今東西、「もろさ」 は 「画一性」 の属性みたいなものではありますが。

>プロモーションの視点で考えるならば「若者文化は若者だけが消費している」と判断するのは早計で、ある生活指向性を併せ持ったクラスターが若者の中では多数派を形成している、というあたりが実際ではないかと思っています。

それは否定できない事実ですね。

私の記事は、その点は大雑把にばっくりと言いすぎているきらいはあると思います。

それは半ば意識的なものでもあるのですが、こうした指摘は当然必要なことであり、感謝致します。

投稿: tak | 2011/01/14 13:50

とりとめもないコメントに丁寧なレスを頂きありがとうございます。
庄内さんのお考えも十分理解できました。
入会地的、という視点も、なるほどなぁと思いました。
例えばオタク文化で言うと、初音ミクのムーブメントなど、彼らの文化はクリエイティブコモンズなんかと親和性がありそうですが、独特な文脈がバリアになっているというか、参加者がセグメントされているという点、コモンというより入会地なのかもしれませんね。
消費力でマイナーな若者文化が別のなにかを手に入れるとしたら、案外このあたりがキーになるような気がします。

投稿: S太郎 | 2011/01/15 17:24

S太郎 さん:

>消費力でマイナーな若者文化が別のなにかを手に入れるとしたら、案外このあたりがキーになるような気がします。

なるほど。
うまくいけば何かの起爆剤になりそうですよね。

投稿: tak | 2011/01/16 00:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/50573120

この記事へのトラックバック一覧です: 若者文化って、画一性が高い:

« よく学びよく遊べ | トップページ | たいやきくんは、幸いなのか、不憫なのか »