« 「あの節はどうも…」 で気持ち悪くならないのは、ちょっと問題 | トップページ | 子どもの金切り声 »

2011/01/23

SMAP がハモらないのは

だいぶ前のことだが、森山直太朗がラジオにゲストとして出演しておもしろいことを言っていた。「母の世代は、どうして集まるとすぐ車座になるんだろう。そして、どうして誰かの引くギターに合わせて、すぐにハモって歌い出せるんだろう」 と、子供の頃から不思議に思っていたというのである。

そして彼はずっと、「自分の世代には、車座になってハモって歌える歌がない」 と感じてきたのだそうだ。ふぅん、そうなのか。そうなのかも知れない。私の世代にとっては、集まってみんなで歌い出すのは案外自然なことで、しかも複数の人間が集まって歌うのにハモらなかったら、何だか損をしているような気さえしてしまうんだがなあ。

ビートルズとアメリカン・フォークソングの洗礼を受けた者にとっては、ハーモニーというのはごく当たり前のことで、ほっとけば自然に付いてしまうようなものなのである。複数の人間で歌うのにハモらないなんて、あまりにももったいないことのようにさえ思ってしまう。

しかしそういえば、最近はグループで歌っても全然ハモらないのが多い。SMAP なんかは交代でソロを取って、サビはユニゾンというスタイルで何年もやってきている。私なんか、「5人もいて、どうしてハモらないんだよ ?!」 と、かなりいらつく。「後ろでフラフラ踊ってる暇があったら、少しはハモれよ!」 と。

なぜハモらない」 でググってみると、「Yahoo 知恵袋」 という Q&A サイトに、「ジャニーズ系はなぜハモらない」  「AKB48 はなぜハモらない」 「PUFFY はなぜハモらない」 という質問が見つかった。なるほど、SMAP ばかりではない。

最近契約問題で話題になっている韓国の KARA というグループも、ちらっと聞いてみたら 「代わりばんこにソロ取って、サビはユニゾン」 という日本のアイドルグループと変わらないスタイルだ。これが最近の東アジアのデフォルトなのかしらん。

で、Yahoo 知恵袋に寄せられた一連の 「なぜハモらない」 系質問への解答でベスト・アンサーに選ばれているのは、例外なく 「ハモらないのではなく、ハモれない」 ということになっている。PUFFY の件では、「ハモれないって本人が言ってるの聞いたことあるよ。相手につられちゃうんだって」 だそうだ (参照)。うーん、正直でよろしい (と言っていいのか)。

私が思うに、彼らが 「ハモらない」 本当の理由は、市場がそれを求めていないからだなのだろう。いくらナチュラルでハモりが苦手でも、市場がそれを求めていれば、事務所が必死に練習させてでも身につけさせるだろう。それをしないのは、市場にハモりのニーズがないからだ。

一応プロのアイドルグループがハモりを苦手とするぐらいだから、その辺の素人のにいちゃんねえちゃんたちも多分、ハモりは苦手なのだろう。ということは、オリジナルで下手にハモられてしまうと、カラオケで歌えない。カラオケで歌えない歌は、流行らない。

日本のアイドルグループの歌は、素人にカラオケでどんどん歌ってもらうために、あまり面倒なことはしないのである。多分。必死に訓練すれば、ハモりぐらいは身につけられるだろうけれど、敢えてそれをしないのは、そのためだろうと思う。

ただ私としては、歌舞伎の割り台詞じゃあるまいし、「代わりばんこにソロ取って、サビはユニゾン」 という安易なスタイルから脱却しない限り、日本の音楽の底上げは無理だろうと思っている。Perfume あたりがクールなハモりをフィーチャーしまくってくれるといいのだが、彼女らも最近はハモりを自粛しがちに思われる。

|

« 「あの節はどうも…」 で気持ち悪くならないのは、ちょっと問題 | トップページ | 子どもの金切り声 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

私の世代では、ハモるなんて事はありませんでした
日本の音楽文化に、ハーモニーは無かったんじゃないでしょうか?
アフリカの人達は、集まると自然にハモって歌っていますね
独特のリズムと動きで踊るし

日本人の踊りは
外国育ちの私の娘が言ってましたが、「日本人が踊ると盆踊りになる」と
ジュリー(沢田研二)など、その典型ですね(笑)

スマップは、いつも音程を外している人がいるので、巧まずしてハモっているのでは?(笑)


投稿: alex99 | 2011/01/23 23:48

そうですか。ネットラジオで高石ともやが最近やっとコード進行以上に弾けるようになったと語るように、嘗てのフォーク世代に比較して最近のミュージシャンの西洋的な音楽的能力は遥かに上がっている筈です。しかし、実際には上のようであるとすると、それはやはり民族性であるのか、それともゆとり教育ゆえであるのか。

自説では、ハモルためには反響する空間がないといけないので、日本人には駄目としますが、アフリカにそんな空間がありましたっけ?まあ、ヘッドフォーンのカラオケならば同じですが。

民族性とは別に、どうしてもハーモニーは音響的な音の強さであり、音色や表現の奥行きにも通じるので、日本人のポピューラーソングですき焼ソングほど売れるものが未だに出て来ないのも、上の事情から納得です。

投稿: pfaelzerwein | 2011/01/24 03:23

alex さん:

>私の世代では、ハモるなんて事はありませんでした

おや、そうでしたか。
やはり、ビートルズとアメリカン・フォークが日本にハモりを定着させたんでしょうかね。

>日本の音楽文化に、ハーモニーは無かったんじゃないでしょうか?

基本的には、和音というコンセプトは無かったと言うことですね。
(「和音」と称しているのに ^^;)

ですから、日本人のハモり感覚が鈍いのは仕方ないところなんですが、今の日本人は小学校前から西洋音階で育っているのに、ちょっと情けないですね。

>日本人の踊りは
>外国育ちの私の娘が言ってましたが、「日本人が踊ると盆踊りになる」と
>ジュリー(沢田研二)など、その典型ですね(笑)

まさに。
ジュリーとアッコ(和田アキ子)のリズム感は、基本的に「頭打ち」から脱却してませんね ^^;)

>スマップは、いつも音程を外している人がいるので、巧まずしてハモっているのでは?

あれは、ハモってるのではなく、濁ってるだけです ^^;)

投稿: tak | 2011/01/24 10:39

pfaelzerwein さん:

>ネットラジオで高石ともやが最近やっとコード進行以上に弾けるようになったと語るように、

ともやんの演奏能力は昔からかなりのものですので、この言葉はかなり謙遜しているか、あるいはものすごく高いレベルのことを言っているのだと思います。

>嘗てのフォーク世代に比較して最近のミュージシャンの西洋的な音楽的能力は遥かに上がっている筈です。

上がっているのは、コピー能力と、細部のアレンジのし方だけかもしれませんね。

>自説では、ハモルためには反響する空間がないといけないので、日本人には駄目としますが、アフリカにそんな空間がありましたっけ?

教会の内部の作りがハーモニー感覚を育てたということはあるかも知れませんね。

ただ、反響がないとハモれないというわけでもありません。
要は耳の問題です。

>民族性とは別に、どうしてもハーモニーは音響的な音の強さであり、

音響は関係あると思いますが 「音の強さ」は関係ないと思いますがね。

投稿: tak | 2011/01/24 10:55

 わたしはいまの日本のポップスでハーモニーが重視されていないとは決して思わないのですが、昔なら山下達郎や吉田美奈子のひとり多重録音のアルバムとか、最近でもゴスペラーズとか「ハモネプ」なんて番組もありましたし。あと80年代のアイドル系だとWinkはハモりが結構多かったイメージ。「涙を見せないで」とか。
 しかしそれらは「日本中みんなが知ってる曲」とはなかなかなりにくいわけで、takさんが言うように、聞き手の需要がないというのもあるんでしょうね。
 とはいえ、グループのソロ→ユニゾンという構成は、それがテレビで歌われる曲だ、ということも考慮に入れたほうがいいかもしれません。特にジャニーズ系なんかの場合。
 各ソロパート→寄りでメンバー各人のワンショット、ユニゾン→遠景でメンバー全員のショット、という絵的な作りやすさから採用される面もあるんじゃないかな、と。
 それに、その昔、あるアイドルユニットで、いつもハモりパートを歌わされていたメンバーがディレクターに「私も主メロ歌いたい」と泣きついた、という話があったりして――タレントである彼ら(――とその贔屓筋の)の自意識という要素も、あるんじゃないかな、みたいな。

投稿: まこりん | 2011/01/25 03:52

まこりん さん:

>わたしはいまの日本のポップスでハーモニーが重視されていないとは決して思わないのですが、昔なら山下達郎や吉田美奈子のひとり多重録音のアルバムとか、最近でもゴスペラーズとか「ハモネプ」なんて番組もありましたし。

日本のポップスでは、「ハモり」 はちょっとだけマニアックな作業なのかもしれませんね。

>とはいえ、グループのソロ→ユニゾンという構成は、それがテレビで歌われる曲だ、ということも考慮に入れたほうがいいかもしれません。特にジャニーズ系なんかの場合。
>各ソロパート→寄りでメンバー各人のワンショット、ユニゾン→遠景でメンバー全員のショット、という絵的な作りやすさから採用される面もあるんじゃないかな、と。

YouTubeで、モー娘。のカメラワークをフランス人が絶賛して説明する動画がありますね。

次にソロを取るメンバーとその位置とをあらかじめ熟知して、交代で追い続けるカメラマンのチームワークがすごいと。

http://www.youtube.com/watch?v=D4EKdNs9A2s&feature=player_embedded

ということは、テレビの職人芸とコラボして築き上げられた特殊技術とみることもできます。

ここまで完成されたスタイルになってしまうと、なかなか変えられないんでしょうね。一方向への進化のベクトルは、行き過ぎても止まりません。

>それに、その昔、あるアイドルユニットで、いつもハモりパートを歌わされていたメンバーがディレクターに「私も主メロ歌いたい」と泣きついた、という話があったりして――タレントである彼ら(――とその贔屓筋の)の自意識という要素も、あるんじゃないかな、みたいな。

なるほど。一曲内平等主義ですね (^o^)

いずれにしても、平均的日本人はハモりが苦手のようで、カラオケなどで、こちらが軽い気持ちでハモってあげると、主旋律を歌ってたやつがメロメロになってしまい、「邪魔するな」 なんて言われることがあります。

「ハモり」 が 「邪魔」 にしか思えないというのは、やはり日本人のハーモニー感覚欠落によるんでしょうね。

投稿: tak | 2011/01/25 12:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/50667474

この記事へのトラックバック一覧です: SMAP がハモらないのは:

« 「あの節はどうも…」 で気持ち悪くならないのは、ちょっと問題 | トップページ | 子どもの金切り声 »