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2011/04/16

「なゐふる」 の国

今日の昼前にも、大きな地震があった。震源は茨城県南部というから、私の地元そのものである。そして、気象庁によるとこれは例の大地震の余震ではないらしい。そして、余震ではないが、「東日本大震災によって誘発された地震の可能性」 というのが指摘されている。

「余震ではないが、誘発された地震」 というのは、震源が直接関係しているわけではないが、間接的に影響されて、遠く離れたところだけれども起きてしまった地震ということなんだろうか。よくわからないが、まあ、そんなところなのだろうということで納得しておこう。もちろん、喜んで受け入れているわけじゃないが。

というわけで我々は、今後 「余震ではないが、誘発された地震」 という形で、日本のあちこち、思いがけないところを震源として、結構大きいのが来る可能性があると、気象庁から宣言されたようなものだ。今後しばらくは余震ばかりでなく、そんなのまで覚悟しなければならないとは、やれやれ、やっかいなことである。

思えば、日本列島は太古の昔からこうした地震に付き合ってきたのである。古代には地震のことを 「なゐふる」 と言った。「な (土地、地面の意)」 と 「ゐ (居)」 の合成で 「なゐ (大地)」 という語になり、それが震えるので 「なゐふる」 という語になったのである。公益社団法人日本地震学会の広報紙名が 「なゐふる」 というのもここから来ている。

れっきとした大和言葉なのだが、なんだか "knighful" なんてつづってみたくなるほど、現在の日常からはかけ離れた言葉になっている。

そしていつの頃からか、「なゐ」 単独でも 「地震」 という意味になった。「地震る」 と書いて 「なゐふる」 という動詞にも読ませたので、自然そのようになったのだろう。そして、さらにいつの頃からか、「なゐふる」 に当てていた 「地震」 という漢語をそのまま音読みするのが一般的となり、大和言葉の方は滅多に使われなくなったもののようだ。

まあ、地震のことを何と呼ぶかは別として、日本人はずっとそれとともに生きてきたのである。よくもまあ、そんな危ない列島から逃げ出しもせず暮らしてきたものだと驚くが、そのおかげで豊かな温泉に恵まれ、豊かさと繊細さの両立した類い希なる自然を満喫してもいるのである。

そして、四方を海に囲まれているので、地震が危ないからと言って無闇に遠くまで逃げ出すわけにも行かず、これまた類い希なる無常観と諦観の合わせ技による文化を育みながら、独特の民族性をもつに至っているわけだ。

地震が危なかろうが、税金が高かろうが、首相が頼りなかろうが、この国から脱出しようなんていう日本人はあまりお目にかからない。私も、他の国に数年間暮らしてみるのもいいなと思いながら、外国に永住しようという気にはなれない。何だかんだ言っても、この国は住み心地が悪くないのである。

これって、かなり不思議な感覚なのだが、一体どういうことなんだろう。

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コメント

住んだ都がなかなか栄えてしまったので、余計に離れるに離れられないですよね。

逃げ出さない精神は、海に包まれた立地からDNAレベルで叩き込まれていそうです。
今日に至るまで船や旅客機など、日常的でない乗り物に乗るという手続きを取らねば逃亡できない点は確実にハードルの要因でしょうね。

投稿: 抹茶 | 2011/04/16 22:59

私も用事が済んだらすぐに日本へ帰るつもりでいます。理由はわかりませんが最初からそう決めています。国際結婚してアメリカに住んでいる友人の日本人女性たちはみんな日本国籍を保持しています(ルイトモなんでしょうね)。「ダンナがいなくなったら日本へ帰る」のだそうです。

投稿: emi | 2011/04/17 01:42

私は例外かも知れません
人生の半分近くは外国で住みました、行く先々で、ここで住んでもいいと思いました
その土地と人達とも問題なく馴染めたし、むしろ日本人同士の様に、はじめからお互いがわかりすぎないところがよかった
日本の女性もその意味で苦手(笑)
最近は日本滞在が長引きすぎたので(笑)外国で住むことはさすがに半ばあきらめていますが、それでもまだ、東南アジアか米国・欧州なら永住してもいいと思っています
住もうと思わなかったのはアラブ圏だけですね さすがにあそこは無理(笑)

私には日本は人も文化もホモジニアスすぎて、食傷してしまいます
それに、たまりたまった積ん読の蔵書を持って移住すれば、一生、読書には困りません(笑)
ただ、外国にいると、日本の新聞がやたらに読みたくなる(笑)


投稿: alex99 | 2011/04/17 04:46

抹茶 さん:

>逃げ出さない精神は、海に包まれた立地からDNAレベルで叩き込まれていそうです。

これがヨーロッパの EU 圏内なら、車に積めるだけの荷物を積んで、ダーっと行けばかなり遠くまで逃げて、なんとかなるんですがね。

日本だと、北海道や沖縄に移住するのも一大決心が要ります。

投稿: tak | 2011/04/17 09:18

emi さん:

>私も用事が済んだらすぐに日本へ帰るつもりでいます。理由はわかりませんが最初からそう決めています。国際結婚してアメリカに住んでいる友人の日本人女性たちはみんな日本国籍を保持しています(ルイトモなんでしょうね)。

不思議といえば不思議ですね。

私も日本に住みたいし、とくに、最後は自分の生まれた庄内に戻りたいと思っています。

投稿: tak | 2011/04/17 09:20

alex さん:

>私は例外かも知れません
>人生の半分近くは外国で住みました、行く先々で、ここで住んでもいいと思いました

きっと前世がヨーロッパ人なんでしょう。
アレクサンダー大王だったとか (^o^)

西欧的メンタリティからすると、日本は確かにホモジニアスすぎるというところはありますね。

投稿: tak | 2011/04/17 09:22

私もalexさんと同様です。
日本人の女性は、というところだけ違うかな(笑)。

仕事は外国の方がし易かったです。

投稿: きっしー | 2011/04/17 15:06

きっしー さん:

>仕事は外国の方がし易かったです。

この件に関しては、私も同感です。
日本では単純に論理で進めばいいだけのところにまでエモーショナルな要素が入りすぎで、かなりうっとうしいところがありますね。

投稿: tak | 2011/04/17 16:37

「なゐふる」だなんて
何てすてきなひびきのある言葉でしょう。
かっこいい~~~~


日本。地震列島
こわいですね。う~~~ん

投稿: tokiko68 | 2011/04/18 15:57

tokiko68 さん:

「なゐ」 というのは、今でも三十一文字などでは使われますが、「なゐふる」 というのは、死語ですね。

投稿: tak | 2011/04/18 18:27

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