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2011/07/20

節電の必要はないなんて言ってるけど (エアコンを使わない夏 5)

zakzak が、東京電力のやっていることを 「節電強要詐欺」 だと言っている (参照)。ちょっと引用してみよう。

政府と東京電力がこの夏、盛んに訴える 「電力不足」 の “信憑性” が問われている。東電が公開しているピーク時供給力は最近、不自然なまでに急増。だが、多くの自治体は無意味な 「夜間節電」 を続け、治安の悪化が深刻さを増している。

確かに、私のこのブログの右側サイドバーの一番下辺りに設置している 「東京電力の電力使用状況」 というガジェットも、近頃なんだか余裕ある数字を示し続けている。このガジェットを貼り付けたのは 4月 5日で、この日の記事は 「いやでも節電が意識されるガジェット」 というタイトルだ。この中で、私は次のように書いている。

気になるのはこのガジェットの数値が、ほとんど常に 85%内外を示していることだ。供給能力の 85%が消費されているということである。今日などは暖かかったのでエアコンの暖房のスイッチはあまり入っていなかったのではないかと思うのだが、それでも 86%とかの数値になっている。常にレッド・ゾーンなのである。

穏やかな天気でエアコンがあまり使われていなかった 4月 5日に、常に 86%ぐらいのレッド・ゾーンだったのに、エアコン使いまくり (私は使ってないが) の 一昨日も、大体そんな程度だったのである。今日なんかちょっと涼しいから、75%程度だ。まったくもう、人を馬鹿にしてるなあ。

東電の関係者のコメントというのを、以下に引用しておく。

「震災直後には、7月末時点で 4650万キロワット程度の供給能力しかないとされていましたが、実際には 7月末に 5730万キロワットに達する見込みです。それだけで今夏の最大需要と予想される 5500万キロワットを上回る。送電時のさまざまなマイナス要素を勘案しても、一般家庭や地方自治体に節電を要請する状況ではありません」

なんだ、節電なんてしなくていいんじゃないか。これまで稼働していなかった休眠火力発電所を整備して動かし始めたら、ちゃんと大丈夫だというのである。東電の設備稼働率の低さはこれまでもいろいろと指摘されていたが、要するに過剰投資で、ずいぶんたくさん眠らせたままの設備を持っていたわけね。フツーの民間企業だったら、潰れるわ。

まあ、おかげで原発がダウンしてもなんとかなるのだから、結果オーライみたいだが、だったら、あれだけ鳴り物入りであちこちに作った原発って、一体何だったのだ。老朽化して、10年以上前から危険性を指摘されながらも、それをひた隠しにして漫然と動かし続けていた福島第一原発は、一体何だったのだ。

しかも電力の余る夜間にまで節電を強要するので、街灯を消しちゃう自治体も多く、そのせいで夜間の犯罪が増加しているという。夜間の犯罪は街灯で明るくすればかなり防げるというのは、多くの都市の例で実証されているから、私は当初から街灯だけはあまり節電して欲しくないと思っていたが、現状は意味のない節電をしているのである。

というわけで、節電はあまり必要ないんだそうだが、私はこれまで通り 「エアコンを使わない夏」 (参照 1参照 2参照 3参照 4) を継続するつもりである。いくら節電の必要がないとはいえ、電力を使えばそれだけ CO2 が出るのだ。今は火力の比率が大きいから、その側面からは、節電の意義が大きい。

当初は 「意地でもエアコンのスイッチは入れない」 なんて粋がっていたのだが、今では体が熱さに慣れてしまって、エアコンを使おうという発想すらなくなってきた。決して強がりではなく、暑いときは汗を流している方が気持ちがいい。全然無理していない。

この感覚がわかるには、最低でも 1週間以上はかかる。1日や 2日の我慢では、体の感覚が追いつかない。夏の初めから徐々に体を慣らしてきたからこそ、35度以上の猛暑日でも 「暑いねえ」 なんて言いながら、エアコンを忘れていることができるのだ。

もちろん、体力のない老人や病人にまでこのライフスタイルを強制しようなんて思わない。ただ私としては、暑いときにはほぼ自動的にエアコンのスイッチを入れてしまうという、これまでの 「異常な」 生活感覚を見直すための、とてもいい機会になったと思っている。

そしてこれは、25歳の時の 「禁煙」 体験とも似ているという気がしている。それまでヘビースモーカーだった私は、あの時禁煙に成功して本当によかったと思っている。そして今では他人の煙草の煙が嫌でたまらないように、出先の過剰なエアコンの風が不愉快にまでなってきた。

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コメント

「ピーク時以外の節電は無意味か」と題したブログ記事を書いて、「エアコンを使わない夏」シリーズのどれかにトラックバックしようかと思っているうちに、書きたいことはすべて書かれてしまいました(笑) 「電気は貯められない(今のところ貯めにくい)」という現実が、「ピーク時以外の節電は無意味」論のベースにあるわけですが、その一方で、貯められるものもあるし、総量での削減が有意義であるものもある、と。

まぁ実際、再生可能エネルギーが普及して原発なしで今と同じ程度の電力が安定的に供給できる時代が来るとしても(そう遠くないと思いますが)、それでも、これだけの電力を使う必要があるのか、という問いは常にあってよい。そもそも、風力発電の風車だって、1000基建てるよりは500基で済んだ方がよほどいい、と思いますし。

投稿: 山辺響 | 2011/07/20 17:51

震災直後には夏までに稼働できるかどうかわからない発電所がある為、
供給能力の見積もりは低めに出てしまうのは仕方ないじゃないですか。
(特に広野火力発電所)

4ヶ月の間に東電は安定供給の為に頑張ったと思いますよ。
・福島、茨城、千葉等、被災地で停止した臨海の火力発電所を再稼働
・半世紀前のポンコツ・非効率の火力発電所を短期間で再稼働させる
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E9%A0%88%E8%B3%80%E7%81%AB%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
・急遽発生した原油のロジスティックス確保
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110708/bsd1107080710001-n1.htm
短期間に東電が行った大規模なプロジェクトの成果なのですが、
電力の安定供給は「当たり前」で評価せず、
逆に「余っているじゃないか」と批判するzakzakはいかがなものかなと思います。

また、老朽化した発電所を休眠するには理由があります。
熱効率、コストの問題もありますし、煤煙の問題もあります。
老朽化した物は更新すべきなのです。

後出し意見ですが、福島第一も早めに休眠すべきだった。
女川や福島第二だけだったら・・
京都議定書で火力の新設が難しくなり、原発は反対運動で新設が難しく。
温暖化で夏の電力逼迫があり、
福島第一はその狭間で稼働を続けざるを得なかったのではないでしょうかね。

投稿: リュウT | 2011/07/21 13:05

リュウT さん:

>震災直後には夏までに稼働できるかどうかわからない発電所がある為、
>供給能力の見積もりは低めに出てしまうのは仕方ないじゃないですか。

まあ、それは理解しましょう。
それでも、「サバ読みすぎ」との批判があるのも事実です。
一部では「原発なしには電力供給は無理」との世論誘導のためという見方までありますね。

>4ヶ月の間に東電は安定供給の為に頑張ったと思いますよ

それは認めましょう。

老朽化したものは更新すべきというのは、もっともなことです。
その意味でも、日本の電力事情は袋小路ですね。

反対運動で原発の新設が難しいというのはわかります。
ただ、それなら福島第一を更新することがなぜできなかったのか、理解に苦しんでいます。

いずれにしても後出しじゃんけんで、起きてしまったことは仕方ないのですが。

投稿: tak | 2011/07/21 21:32

山辺響 さん:

>まぁ実際、再生可能エネルギーが普及して原発なしで今と同じ程度の電力が安定的に供給できる時代が来るとしても(そう遠くないと思いますが)、それでも、これだけの電力を使う必要があるのか、という問いは常にあってよい。

まさに同感です。

ここに至っては、文明論の領域ですね。

投稿: tak | 2011/07/21 21:35

被災し、故障した発電所を直す為に、
この悪条件の下、どれくらいのコスト、労力、時間がかかるか。

実際に直すのは業者で、
業者も震災直後は材料、機械、人、下請けが皆、調達が全く見込めない上、
電力会社以外のプラントの修理も山程ある中、
安全を維持しつつ、4ヶ月で稼働にこぎつけたのは結果であって、
先が見えない状況で「4ヶ月でできます」とは言えないでしょう?
後出しじゃんけんによる批判は簡単でweb上で誰でもできますし、
穿った見方もweb上で誰でもできますよね。
批判する方が声が大きいのは世の常とはいえ。
この人達は坊主憎ければ袈裟まで憎いを地で行ってます。

>これだけの電力を使う必要があるのか、という問いは常にあってよい。
ここは私も同感です。
takさんのおっしゃる通り、文明論の領域。
「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません、いつまでも」。
幸い、日本は水が豊富なので、我が家も暑い日は「行水」です。
使った水は洗濯機と庭木の水やりと「打ち水」です。

投稿: リュウT | 2011/07/23 06:36

リュウT さん:

>被災し、故障した発電所を直す為に、
>この悪条件の下、どれくらいのコスト、労力、時間がかかるか。

それは理解しているつもりです。現場の苦労には頭が下がる思いがしています。

それでも、東電が当初に発表した悲観的 (すぎる?) 電力需給見通しと実際のプロセスのギャップが大きすぎると思っているのは、私だけではないようです。

福島原発収束の工程表が案外楽観的に作られていることと比べても、ちょっと違和感があります。

「もしかしたら、東電首脳って、現場をあまりよくわかっていない?」 あるいは 「あの需給見通しって、かなり恣意的な部分があった?」 はたまた 「最初は保身に走って、とりあえす悲観的に言っといた?」 などなどの疑問が生じる余地はあったと思います。

まあ、確かに後出しじゃんけんであることは確かで、それをもって東電を過剰に責めようとは思いません。

これは、「天気予報では台風が上陸するといわれていたのに、それていったので結果オーライ」 という感覚に似ているような気がします。

「大騒ぎして対策してたのに、何だったんだよ」 という拍子抜け感。

「きちんと予報してくれよ」 とは思うけれど、気象庁をことさらに責めようとは思わないという感じですかね。

福島原発の震災に至るまでのずさんな運営が明るみに出ていることをのぞけば、細かい点での批判はかなりありますが、全体としては辛うじて結果オーライという気はしています。

>「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません、いつまでも」。

うぅん、これは、私の感覚とかなり違います。

「ぜいたくはカッコ悪い」 「あんまり欲しいとも思わないし」

というのが、近頃の私の実感です。

投稿: tak | 2011/07/23 11:02

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