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2011/08/02

ちょっとしたことで 5000文字も書きたくなんかない

内田樹氏がご自身のブログに 「140字の修辞学」 という記事を書いておられる。Twitter 的な短い文章は、それはそれでいいが、そればかりが得意になりすぎるのも問題だとおっしゃっているのである。そしてその理由を、次のように挙げておられる。

「寸鉄人を刺す」 という俚諺から知られるように、「寸鉄」 的コメントは破壊においてその威力を発するからである(「寸鉄人をして手の舞い足の踏むところをしらざらしめる」 というような言葉は存在しない)。
何より、一刀両断的コメントは、書いている人間を現物よりも 150%ほど賢そうに見せる効能がある。

うぅん、そうかなあ。私は内田氏のおっしゃることの 8割以上は共感してしまうのだが、こればかりは首を捻ってしまったのだよ。だって、短い文章の全てが 「人を刺す寸鉄」 というわけじゃない。そして、Twitter や 2ch の短いコメントは、「現物より 150%ほど賢そうに見せる」 とは限らない。かえってお馬鹿に見えることも多い。

ということは、内田氏は 「人を刺す寸鉄」 のみを指しているのであって、短い文章全般を問題としているわけではないのかもしれない。などとも思ったが、いやいや、そういうわけでもないらしい。だって彼の記事の最後はこんなふうに締めくくられている。

というようなことを書くと、「ふざけたことを言うな」 というご批判が早速あると思うが、如上の理由により、私宛のご批判は 「5000字以下のものは自動的にリジェクト」 させて頂くので、皆さまの貴重なプライベートタイムはそういうことに浪費されぬ方がよろしいであろう。

5000字以下の短い文章での批判は、「自動的に」 リジェクトするというのだから、内容を問わず 「文章の長さだけ」 を問題にしておいでのようなのである。で、私としては内田氏に 「自動的にリジェクト」 されるんじゃつまらないから、先方に伝わる、伝わらないは度外視して、ここでこんな風なことを書いているのである。

私は一時期、業界新聞の記者をしていたこともあり、文章は短く簡潔に書くべしという大原則をたたき込まれた。ただ、単に短く簡潔なだけではおもしろくも何ともないということは、いくらなんでも重々承知していて、「一筆啓上火の用心。おせん泣かすな、馬肥やせ」 なんていう手紙を至上のように言う都市伝説には、以前に疑問を呈している (参照)。

私が 「一筆啓上火の用心。おせん泣かすな、馬肥やせ」 という手紙を 「つまらん」 というのは、そんなこと、別に手紙で言う必要もない当たり前のことだからだ。つまり、究極的に短く簡潔な文章のように見えて、実は内容的には 「くどい」 のである。「簡潔さ/くどさ」 というのは、文章の長さとは別の問題である。

そして、こう言っちゃなんだけど、でもまあ、思い切って言っちゃうけど、内田先生のブログの御文章だって、結構 「くどい」 じゃん。恐縮だけど、私はいつも流し読み、飛ばし読みしちゃうよ。

以上、ちょっとしたことで 5000文字も書かされるのはたまらんというお話なのであった。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

5000文字、原稿用紙12枚半。
 せめて、5200文字にされた方が、原稿用紙の有効活用ができて、よかったんじゃなかろうか。

 なるほど。短編小説なら…。いえ、ケータイ小説なら約5話分の文字数ですが…。

投稿: 乙痴庵 | 2011/08/02 22:17

私がツイッターをキライなのは、短文で表現できるものには限界があると思うからです
おっしゃる通り、内田氏の文章は冗漫で、読むに耐えません

投稿: alex99 | 2011/08/02 22:38

乙痴庵 さん:

>なるほど。短編小説なら…。いえ、ケータイ小説なら約5話分の文字数ですが…。

へえ、ケータイ小説って、そんな短いんですか。
ほほう。
(まだ読んだことないので、ビックリ)

投稿: tak | 2011/08/02 23:29

alex さん:

>私がツイッターをキライなのは、短文で表現できるものには限界があると思うからです

あれは、限界芸術ならぬ、限界メディアなのです。
とはいえ、俳句や短歌よりはずっと余裕がありますから、モノは使いようです。

>おっしゃる通り、内田氏の文章は冗漫で、読むに耐えません

斜め読みすると、時々なかなかおもしろいことをおっしゃってますけどね。

投稿: tak | 2011/08/02 23:33

同じことを言うなら、簡潔な方が良いのは論を待ちません。しかし、人を説得するのに十分な情報やロジックがない文章は単なる欠陥品です。さらに、2ちゃんねるなどでよく見られるような、反論をあらかじめ回避している短い定型的な揶揄は卑怯です。

おそらく内田氏はこの三つ目のような文章について語っているのでしょうが、多くの字数を使ってもそういうことが今ひとつ明確でないというのは、文章が下手、あるいは頭が整理されていないということでしょう。

一方、冗長さが芸風になっていると言う意味では、最近では小田島隆氏が出色ですね。

投稿: きっしー | 2011/08/03 09:47

斜め読みだと文章の趣旨は伝わらないと思います(普通は)。

内田氏が書いているのは、ちょっとしたこと(「身辺雑記(とくに身体的不調の泣訴や、パーソナルな伝言のやりとり)」)なら140字でも書けるけど、「ある程度まとまりのある「オピニオン」を書くには」それなりの字数が必要だ(そしてさらに、読者を飽きさせないためには長さだけでは足りない)ということであって、「ちょっとしたことで5000字」書けと言っているわけではありません。

ところで、内田氏はかつてケータイ小説についてかなり否定的な見解を書いていて、その彼がTwitterを始めるというので、このメディアについてはどのように評価するのだろうと関心を持っていたのですが、意外に愛用しているな、という印象があります。

投稿: 山辺響 | 2011/08/03 10:12

乙痴庵さんの「5200文字にされた方が原稿用紙の有効活用ができて」……今は原稿用紙を使う人なんてほとんどいないと思いますけど、私の業界では依然として「原稿用紙換算」が単位としてまかり通っています。Wordで作った原稿なら「文字数カウント」の機能を使って(テキストベースならエディタの字数カウントマクロとか使って)、400で割るんですよ。妙なもんです。

投稿: 山辺響 | 2011/08/03 10:18

きっしー さん:

>おそらく内田氏はこの三つ目のような文章について語っているのでしょうが、多くの字数を使ってもそういうことが今ひとつ明確でないというのは、文章が下手、あるいは頭が整理されていないということでしょう。

おそらく頭の中を十分に整理しないで、ちょっと軽い気持ちで書いちゃったんでしょうね。
(その証拠に、今回の記事は比較的短い ^^;)

>一方、冗長さが芸風になっていると言う意味では、最近では小田島隆氏が出色ですね。

私もそう思います (^o^)

投稿: tak | 2011/08/03 18:14

山辺響 さん:

>斜め読みだと文章の趣旨は伝わらないと思います(普通は)。

内田氏のブログは、今回のエントリーは内田氏にしてはやや短めで、斜め読みの必要はなかったわけですが、長い場合は、3分の1 ぐらい読んだ時点で、言いたいことはたいてい分かっちゃうことが多いと思いませんか?

そこから後は斜め読みでいけたりします。
「はいはい、そうね、そうね」って感じで。

導入は上手なんでしょうけど、恐縮ながら、そこから先がちょっと苦痛だったりすることがあります。

>「ちょっとしたことで5000字」書けと言っているわけではありません。

私としては、今回のようなことで 5000文字も書く気はしないと思っています。

重要性の認識が甘いのかもしれませんが。

Twitter に関しては、私は内田氏をフォローしていないので、コメントを避けます。
(今回のエントリーをみても、内田氏自身も愛用はしていても重用している風には見受けられないし)

内田氏の tweet で意味のあるものがあれば、誰かが RT してくれるので、それで OK と、他人のふんどしを決め込んでます (^o^)

原稿用紙換算というのは、便利なところもあります (「原稿用紙○○枚で」 と指定されれば、大体の長さをイメージできて、原稿の構成もすぐに計算できたりするので) が、実際に原稿用紙を使うわけじゃないので、仕上げ段階の細かいところになると不便ですね。

1行あたりの字数が決められていると、単に 400で割っただけではおかしくなるので、私は O's Editor というテキスト・エディタで、1行あたりの字数を設定して (テンプレを設定しておいて)、書きながら行数を調整しています。

もちろん、縦書きです。
Word の縦書き表示よりずっとサクサクいけます。

新聞記者上がりだから、このやり方がいいのかもしれません。

投稿: tak | 2011/08/03 18:39

私は斜め読みというのができないので、なんでも一語一句バカ丁寧に読んでしまいます。電車の吊り広告でもレストランのメニューでも、隅々までじっくり読みます。もちろん内田氏の文章も。

私にとっていちばん読みやすいのは英語調の日本語文です(それがtakさんのブログを愛読させていただいている理由のひとつだと思います)。なじみのある展開+母語の組み合わせだからでしょう。その観点で言うと、内田氏の文章はフランス語調なのではないでしょうか。読んでいて「…長いな」と感じたときは自分がフランス語を知らないせいだろうと思うようにしています。

投稿: emi | 2011/08/04 01:53

>長い場合は、3分の1 ぐらい読んだ時点で、言いたいことはたいてい分かっちゃうことが多いと思いませんか?

ありますあります(笑)

たぶんそれは、彼が「いつも同じことを繰り返し書いている」という要因も大きいのではないかと思います。まぁそれはそれで悪いことではないのかもしれませんが……。

彼の著書(ブログコンピ本も多いですが)もそれなりに持っていますが、「あの話はどの本に書いてあったかな」と探す場合でも、適当にどれかを開けば、たいてい見つかったりします。つまり、どの本でもどこかで「それ」に触れている。

投稿: 山辺響 | 2011/08/04 10:10

emi さん:

>私は斜め読みというのができないので、なんでも一語一句バカ丁寧に読んでしまいます。

私は初めにざっと斜め読みして、じっくり読む価値があると判断してから本格的に読み始めます。
(二度手間になりますが、まあ、じっくり読む価値のある文章はそんなに多くないので、結局は時間の節約になっていると信じます)

>その観点で言うと、内田氏の文章はフランス語調なのではないでしょうか。読んでいて「…長いな」と感じたときは自分がフランス語を知らないせいだろうと思うようにしています。

なるほど、あの 「くどさ」 は、フランス語的ファクターでありましたか。
つい納得しちゃいそうです。
(というか、ほとんどしちゃってます ^^;)

投稿: tak | 2011/08/04 11:09

山辺響 さん:

>たぶんそれは、彼が「いつも同じことを繰り返し書いている」という要因も大きいのではないかと思います。まぁそれはそれで悪いことではないのかもしれませんが……。

その点に関しては、今は亡き山本夏彦翁に肉薄しているかもしれませんね。

ただ、翁の文章があれだけいつも同じことを書きながらくどくないのは、彼が江戸っ子だからだと思っていましたが、内田氏も東京生まれなんですね。

投稿: tak | 2011/08/04 11:21

おはようございます~
絶対にコメントなんかいらないっていう
変人もいらっしゃるんですねぇ~
不思議だな。

私など、中身よりも、
おしゃべりしたくてたまらないから、
何か書かなくっちゃ!
てなもんですが・・人のこころの交流こその
人生だと思うんですが・・
ただひたすら書きっぱなしだなんて
寂しいんですけどね。

う~~む。

投稿: tokiko68 | 2011/08/09 10:29

tokiko68 さん:

ひたすら書きっぱなしが寂しいのは、私も同様に思います。

音楽もライブが好きですから。

投稿: tak | 2011/08/09 15:24

有名人には、コメント欄を閉鎖している人も多いように思います。たぶん非有名人とは読者の数も桁違いで、コメント欄が荒れがちになるから、ということだろうと思いますが(内田氏のブログも以前はコメント欄生きていましたけど)。

あと、そういう人は、何もブログのコメント欄でコミュニケーションしなくても、いくらでも「生」で人と交流する機会に恵まれているという状況もあるでしょうし。

投稿: 山辺響 | 2011/08/09 17:16

>あと、そういう人は、
>何もブログのコメント欄でコミュニケーション
>しなくても、いくらでも「生」で人と
>交流する機会に恵まれているという状況もあるでしょうし

なああ~るほど!
と、一旦納得したものの、
私なんか、
毎日、死にたくなるほどのコミュニケーションの場が
あるのに、
私の本心でしゃべることができるのは
ネットだけ、みたいな感覚がありますね。

投稿: tokiko68 | 2011/08/09 19:14

山辺響 さん:

内田氏のブログでコメント欄閉鎖になっているのは、気付いていませんでした。

ふぅん。

私は、コメント欄がなかったらブログの体をなしていないと思いますけどね。
でも、まあ、趣味の問題だから、別にいいです。

投稿: tak | 2011/08/09 21:50

tokiko68 さん:

>私なんか、
>毎日、死にたくなるほどのコミュニケーションの場があるのに、
>私の本心でしゃべることができるのは
>ネットだけ、みたいな感覚がありますね。

そりゃまた、ずいぶんなネットオタク的発言ではありませんか。

投稿: tak | 2011/08/09 21:51

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