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2012/03/22

キャッシュレス経済ということ

スウェーデンで経済のキャッシュレス化がすすむ」 という Slashdot の記事に興味をもった。スウェーデンのキャッシュレス経済への移行は今、大変なスピードなのだという。

市場での現金による請求の比率は、ユーロ経済圏の平均が 9%、米国での平均が 7%だが、スウェーデンでは平均 3%にまで減少している。スウェーデンの都市部では、例えば公共バスの支払いは前払いチケットか携帯電話の電子決済しか受け付けないんだそうだ。

日本のバスみたいに、乗降の際に運転席の横のボックスに小銭をジャラジャラっと放り込むシステムは、私なんか 「本当にこれで金額が確認できているのかなあ?」 と心配になるし、小銭がない場合の両替なんか、ものすごくうっとうしい。すべてプリペイド式か IC タグによる電子決済になれば、とても楽だろう。

キャッシュレス化は銀行強盗の防止に、ものすごく効果があるようだ。スウェーデンの銀行協会によると、2008年の銀行強盗発生件数は 110件だったが、2011年には16件までに急落しているそうだ。確かに、現金なんてあっても使い道がなければ、盗んでみてもしょうがない。

前世紀末の話だが、私の知り合いが米国に旅行し、ドラッグストアか何かで買い物をした。レジに並んだ 3人のうち、1人目はクレジット・カードで支払い、2人目はデビット・カードだった。この 2人は何の問題もなく支払いを済ませ、私の知人の番になった。

彼は現金で、しかも 100ドル紙幣で支払った。レジの店員は 100ドル紙幣を受け取ると、ためつすがめつ子細に眺め、透かしを確認し、マネジャーまで呼んで確認してもらい、やたらと時間がかかったという。

「いやはや、まいったよ。現金が一番強いと思ってたんだけど、一番疑われちゃった」 彼は嘆いていたが、前世紀末にしてそんな状況だったのだから、今世紀に入って既に 12年経過したのだから、キャッシュレス化がますます進んでいるだろう。

日本では今でも 「ピン札志向」 が強く、結婚式の祝儀袋に入れるために、わざわざ銀行に行って新品の紙幣を入手するなんて人が結構いる。それどころか、自分の使うお札には折り目を入れたくないとかで、中折れ式でない長いサイズの財布でないといけないなんて、妙なこだわりを持つ人も少なくない。

そういうタイプの人は、その長い財布にいろんな種類のゴールド・カードを並べて挿しこんでいるが、それは滅多に使わない。おもむろに長い財布からピン札を取り出して支払うのである。まあ、彼らにしても多額の決済は、銀行間の数字のやりとりだけで済ませているのだが。

彼らが米国に行ってよれよれのドル紙幣をみたら、腰を抜かすんじゃあるまいか。米国では、現金なんて新聞を買うとかチップをやるとかいう時ぐらいしか使わないし。

まあ、今でも現金志向が強い日本というのは、それだけ 「安全な国」 ということもできるんだろうが、最近はコンビニ強盗なんかが増えていて、それもだんだんおかしくなってきた。しかしキャッシュレス化が薦めば、コンビニの店員にナイフなんか突きつけても、レジから出てくるのはせいぜい数千円なんてことになって、強盗事件も減るだろう。

私はずっと前から 「お金って、持ち点制度ということでいいんじゃない?」 と思っていて、紙幣や小銭なんていうのは、「持ち点のなれの果て」 という気がしている。持ち点としての価値が同じなのだから、むしろよれよれの方がなれの果てらしい雰囲気がある。

しかしあまりそれで割り切りすぎると、国家が紙幣供給の増減で経済コントロールするなんていうのが意味をなさなくなったりするだろうし、それ以上のことは、うぅむ、よくわからん。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

「なれの果て」という解釈は正しいと思います。買い物という商取引をお金の面から見ると、我々の銀行預金残高が減って、小売店の預金残高が増える(双方手元キャッシュが長期的に一定とすると)ということに過ぎず、その媒介をするものは日銀券でもトイレットペーパーでも石ころでも良いわけです。トイレットペーパーや石ころは他にも用途があってもったいないけど、日銀券は他にあまり役に立たない(額縁に入れたり積み上げて飾ったりする人もいるかもしれませんが)ので割合しっくりくるいうことではないでしょうか。

キャッシュレス化(クレジットカードやプリペイドカードの普及)が進んでも、金融政策にはそれほど関係ありません。キャッシュと比べ、決済と便益の提供のタイミングが多少ずれるくらいなので。

ただ、この10年ほどの間に小売業やサービス業で急速に拡大した顧客サービス(というか囲い込み)としてのポイント制というのは、マクロ的に捕捉しにくく、挙動の予測も難しい上、政策的にコントロールできないのでやっかいだと聞いたことがあります。たとえば中央銀行が過剰流動性を心配して金融政策を引き締めたい時に、家電量販店が気前よくポイント付与を拡大するとどうなるのか、とか。

投稿: きっしー | 2012/03/23 13:21

通貨供給量の増減による景気のコントロールにしても、実際に物理的な紙幣を増刷するというより、けっこう数字上の出し入れなんじゃないかと思います(が、詳しくは知らない……)

投稿: 山辺響 | 2012/03/23 15:31

きっしー さん:

>キャッシュレス化(クレジットカードやプリペイドカードの普及)が進んでも、金融政策にはそれほど関係ありません。キャッシュと比べ、決済と便益の提供のタイミングが多少ずれるくらいなので。

なるほど。安心しました。

>ただ、この10年ほどの間に小売業やサービス業で急速に拡大した顧客サービス(というか囲い込み)としてのポイント制というのは、マクロ的に捕捉しにくく、挙動の予測も難しい上、政策的にコントロールできないのでやっかいだと聞いたことがあります。

ほほう、なるほど。

消費者の日常の買い物の約 30%ぐらいに、10%程度のポイントがついたら、それだけで 3%程度の影響が出てしまうわけですね。

結構大きいかも。

投稿: tak | 2012/03/23 22:07

山辺響 さん:

なるほど。実際に紙幣を印刷してばらまくってわけじゃないのですね。
そりゃそうだ。

投稿: tak | 2012/03/23 22:08

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