« 日本は 「わびさび」 の世界でやっていく方がいい | トップページ | 最新のコンデジはすごいらしい »

2012/04/03

エイプリル・フール・ジョークと 「笑いのツボ」

emi さんが 「カレンダー上イベント不足の時期に/ちょうどいい立地の 4/1 でありながら/エイプリルフールは日本に根付かない」 と指摘しておられる (参照)。「エイプリル・フールが日本に根付かない」 なんて言われると、多くの日本人は 「日本でも根付いてるんじゃないの?」 と思いそうだが、根付き方のニュアンスがずいぶん違うようなのである。

emi さんは前にもこの件で書かれているのだが、再び書くことになった直接のきっかけは、NHK がエイプリルフールの件で謝罪したというニュースのようだ。こんなことである (参照)。この際だから、全文引用しちゃう。

 NHK 広報局が公式ツイッター上で、エープリルフールのジョークとして書き込んだ内容が不適切だったとして、削除し謝罪していたことが 2日、分かった。

 NHK によると、広報局の担当者が 1日午前 0時すぎ、「本日、NHK と民放局が合併して国営放送となりました。着物を着たアナウンサーが、やや絶叫気味にニュースをお伝えする予定です #エープリルフール」 などと書き込んだ。

 その後 「内容が不愉快だ」 などの批判が数件寄せられた。そのため同 10時 40分ごろ、「一部の方に不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」 と書き込んだ上で、問題となった部分を削除した。

とまあ、こういうお話である。わざわざハッシュタグで 「#エープリルフール」 と断ってある tweet に、いちいち 「不愉快」 なんて反応するのは、たとえ本当にそう思ったとしても、私なんか無茶苦茶面倒だと思うのだが、面倒を厭わない人がこの国にはいるようなのである。

emi さんはこの件で次のようにコメントしておられる。

2年前、日本におけるエイプリルフールは
「『嘘をついてもいい日』 と伝わっている」 と書いたが
昨今は 『気合の入ったオフザケをしてもいい日』 になっている印象。
でも、エイプリルフールの真髄である 『ジョーク』 というものについては
あいかわらず理解されていないと思う。

うぅむ、「嘘をついてもいい日」 という伝わり方も、いかにも日本らしくて、大分ニュアンスが違うなあと思う。単に 「嘘をついてもいい」 というだけでは、ちっともおもしろくない。やっぱり 「ジョーク」 を楽しむ日ということでないとね。で、日本では 「ジョーク」 というものが理解されていないというのは、確かなことのようだ。

そういえば、このことについては大分前に書いたことがある。"日本では受けない 「世界一おもしろいジョーク」" という記事だ。英国科学振興協会が実施したオンライン投票で、トップに輝いた 「世界一おもしろいジョーク」 が、日本では今イチ受けなかったのである。

どうやら、西欧と日本では、笑いのツボが違うようなのである。そのことについて私は、次のように書いた。

西欧のジョークはなんで面白いのかを、とても論理的に説明できる (実際には説明しないからいいのだが)。一方、最近の日本のギャグは 「単に奇異で滑稽であること」 によって笑わそうとするものが多い。「考えオチ」 というのは流行らないようだ。

これだけで西欧のジョークと日本の 「滑稽」 を十分に比較したことにはならないのだけれど、比較のきっかけぐらいにはなるかもしれない。極端に言ってしまうと、西欧風のジョークはインテリジェンスから生まれて、日本流の 「滑稽」 は馬鹿を装うことから生まれる。

馬鹿を装いきれなくて、本当に馬鹿っぽいことが露見すると、それは 「スベった」 ということになる。それだけに、日本流の 「滑稽」 にインテリジェンスがないとは言えないのだが、それがあまり表面に出ると笑ってはもらえない。

上述の 「世界一おもしろいジョーク」 は英国科学振興協会選定だけに、インテリっぽさが強調されすぎているというところもあるのかもしれないが、それにしても、日本人の笑いのツボに全然はまらなかったというのは、なかなかおもしろい現象である。

私自身、ここ 8年間というもの、毎年 4月 1日にはエイプリル・フール・ジョークをかましているので、ジョークの難しさは身に浸みている。大抵は半年がかりぐらいでネタを仕込むのだが、すかっとするほどおもしろいネタがなかなかできないのが悲しいぐらいのものである。

とくにこのところはあまり満足できるようなできになく、「サラ金 CM のサブリミナル効果」 (H 18年) と 「地方空港とハエ取りリボン」 (H 19年) を越えるネタを生み出せていないのが痛恨だ。私のジョークのセンスは、5~6年前にピークを越えてしまったのかしらん。

|

« 日本は 「わびさび」 の世界でやっていく方がいい | トップページ | 最新のコンデジはすごいらしい »

比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

そういえばハエ取りリボンにはやられたなぁ(笑) ちゃんとコメントが残っていました。「世界一面白いジョーク」は、翻訳という仕事柄、原文のままで笑えました(^^;

投稿: 山辺響 | 2012/04/03 15:28

そうですよ。

「大日本蝿取…」などという、いとおかしな団体は出てくるし、地方空港という閉鎖的空間を見事に使って場面設定するし…。

4月に蝿が飛びそうな雰囲気…、やられました。

投稿: 乙痴庵 | 2012/04/03 18:24

山辺響 さん:

>そういえばハエ取りリボンにはやられたなぁ(笑) 

あの時は、「してやったり!」と思いました (^o^)

>「世界一面白いジョーク」は、翻訳という仕事柄、原文のままで笑えました(^^;

原文のままの方が笑えますね。

投稿: tak | 2012/04/04 20:32

乙痴庵 さん:

確かに、地方空港っていいネタ元かもしれませんね。

また考えてみようかな (^o^)

投稿: tak | 2012/04/04 20:33

ふと思い出したんですが、iPhoneだかiPod touchだかをテーブルの上でくるくる回すと……みたいなネタがありませんでしたっけ。騙されなかったけど、あれは面白かったなぁ。

投稿: 山辺響 | 2012/04/13 16:19

山辺響 さん:

えぇと、それは一昨年のネタですね。

http://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2010/04/iphone-4753.html

記憶にとどめて頂いて幸いです。

投稿: tak | 2012/04/13 17:07

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/54379985

この記事へのトラックバック一覧です: エイプリル・フール・ジョークと 「笑いのツボ」:

« 日本は 「わびさび」 の世界でやっていく方がいい | トップページ | 最新のコンデジはすごいらしい »