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2012/10/14

読売は森口氏の嘘を 3年以上信じ続けていたらしい

どうやら読売新聞は iPS 治療で虚言垂れ流しの森口尚史氏と、ずっと前からの付き合いだったようで、2010年 5月 1日付の 「iPS で C型肝炎治療法発見、副作用検査に活用」 という記事は、Chopin - Archives によると、こんな具合の書き出しである。(参照

ヒトの iPS 細胞 (新型万能細胞) などを使って、C型肝炎を治療する効果的で副作用も少ない薬の組み合わせを見つけ出すことに、森口尚史・米ハーバード大学研究員らと東京医科歯科大学のグループが成功した。

これに関して東京医科歯科大は 12日の記者会見で、「東京医科歯科大で (森口氏の iPS 関連の) 実験及び研究が行われた事実はない」 と完全否定している。

さらに読売新聞はこれに先立つ同年 2月 24日付でも、「肝臓がん細胞から iPS 成功、再生医療へ一歩」 という見出しで、こんな書き出しの記事を書いている。(参照

肝臓がんの細胞に低分子化合物を加えるだけで、人間の iPS 細胞(新型万能細胞) を作り出すことに成功したと、米ハーバード大の森口尚史研究員らが23日、東京で開かれた国際会議で発表した。

この記事には、「東京で開かれた国際会議」 が何という会議なのかすら言及がない。それに森口氏がハーバードに在籍したのは、1999年 11月から 2000年初めにかけての約 1ヶ月とされているので、2010年の時点で 「森口尚史・米ハーバード大学研究員」 と記述しているのは、お笑い草だ。

ためしにもうちょっと検索してみたら、2009年 9月 2日付でも、「肝臓がん細胞、9割が正常変化…マウスで成功」 という記事がある。(参照) こんな内容だ。

肝臓のがん細胞のほとんどを、正常な細胞に変化させることに、米ハーバード大の森口尚史研究員 (肝臓医学) らが、マウスの実験で成功した。

   (中略)

森口研究員は 「今後は iPS 細胞から作った肝臓の細胞を使って、より副作用が少なく治療効果の高い化学物質の投与量を探りたい」 としている。

私は昨日、今月 11日付の例の記事について、読売は 「スクープを取りたい一心で、『えいや!』 とばかりに載っけてしまったんだろう」 と書いたが、実はそんなもんじゃないようだ。昨日や今日の付き合いではなく、少なくとも 3年前からの関係だったのである。

この間、フツーのジャーナリストの感覚なら、過去に書いた 2本の記事の内容の信憑性に、「なんだか、ちょっとヤバかったかも」 と疑問を感じて、わなわなしてしまうところである。

「あのおっさんの言うこと、もし本当だったら、山中教授も裸足で逃げ出すほどの画期的なことのはずなのに、他ではまるで話題にすらなってないというのは、一体どういうことなんだ?」 「こりゃ、そのまま信じたら危なすぎるかも」 と気付くのに、3年間というのは十分な時間ではないか。

その意味で、読売新聞のリテラシーって、ちょっとまともじゃないみたいなのである。信じられないことだが、事実が証明している。おじさんはもう、びっくりである。

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コメント

こんにちは、
読売は購読したことがないから過去のことは分かりませんが、こういうことはどこの組織にでも起こりうることと思いますね。メディアという社会に対する影響力が大きい職種だけに事によっては致命的になりかねないから慎重さは一層必要なのでしょうけど。
どうせフツ-の人間が仕事しているのだから、自分の回りを見渡せば、色んな意味でマネジメントが機能していない似たようなことあるわなんて思ってしまいます。忙しくて個別に職制で検証してなかったんでしょうが、逆に組織として、または個人としてこれまで問題を起こしてなかったか、どうでも良い仕事しかしていなかったからかも知れませんね。
ま、当事者・関係者はこっぴどくしかられてるでしょうから、その部署に限っては数年はマシになるかな?
言われるように「マスコミの言うことは、とりあえず、まともに信じちゃダメ」は教訓にしたいと思いますが、同時に、私はマスコミ関係者ではありませんが、人ごとではないというころは感じます。

投稿: 亀之助 | 2012/10/14 13:22

亀之助 さん:

>言われるように「マスコミの言うことは、とりあえず、まともに信じちゃダメ」は教訓にしたいと思いますが、同時に、私はマスコミ関係者ではありませんが、人ごとではないというころは感じます。

「人ごとではない」 どころか、10年以上も前の話ですが、私も仕事上で、虚言癖男のもっともらしい話に乗ってしまいそうになったことがあります。

進行中の某プロジェクトで、本来の目的とは直接的に関連のない部分で一定の基準を満たす要素を付け加えれば、政府から多額の補助金をもらうことができるので、それについてのコンサルをさせてくれというような話でした。

比較的初期の段階で 「こりゃ、話がおかしい」 と気付き、官庁にも確認した上で、そいつを外して、元の形でプロジェクトを進行させたので、実害がなかったどころか、ちょっとした成果まで収めたのですが、口車に乗っていたらヤバいところでした。

というような個人的経験からも、「こりゃ、おかしいぞ」 と疑うことのできるチャンスというのは、初期の段階で結構あるものだということができます。
(金銭欲や名誉欲に目がくらみさえしなければ)

この虚言癖男は、前の会社の同僚だったことがあり、昔はマジメな男だったので、初めはつい信じてしまいそうになったのでした。
(こういうケースは、始末が悪いですね ^^;)

この男はその後も虚言をまき散らしているようで、あちこちで 「出入り禁止」 になっています。

読売は慎重さが足りなかったと思います。

投稿: tak | 2012/10/14 16:05

新聞も信じられないとは…

投稿: hiroyuki | 2012/10/14 20:29

hiroyuki さん:

新聞、各紙の記事を読み比べてみると、案外基本的な部分で、ビミョーに解釈の相違では済まない食い違いがあったりしますよ。

ということは、些細な間違い記事は結構多いということなんでしょうね。

投稿: tak | 2012/10/14 21:32

マスメディアは一斉に森口某に襲い掛かっている。
いやな物を見てしまった思いでいっぱい。

もう虚言癖男だとわかったんだからいいじゃないのさ。
マスメディアの習性にびっくり。

投稿: ハマッコー | 2012/10/14 22:30

ハマッコー さん:

>いやな物を見てしまった思いでいっぱい。

もう、食傷ですね ^^;)

それにしても、読売は検証が甘いと思っていましたが、他の媒体も似たり寄ったりだったと知って、ますますびっくりです ^^;)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121013-OYT1T01325.htm?from=ylist

投稿: tak | 2012/10/15 00:24

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