« 言いたいテーマをきちんと伝えることの難しさ | トップページ | パスワード騒動 »

2013/01/28

正しく現実を知れば、失望ではなく感謝につながる

三日前の "駆け込み退職、123人が 41人だったら 「想定内」 というのか?" という記事で私は、世間で議論されているような、「駆け込み退職する教師は、無責任か否か」 というようなことを問題にしたかったわけでは、全然ない。

年度途中で退職金削減などという、ちょっと乱暴な措置を講じた以上、そうした教師が出るのは、当たり前のことである。それが現実というものであり、いいとか悪いとか言ってもしょうがない。要は、そんなことにならない措置を講ずるべきだったのである。「火事を出すのは悪いこと」 なんて言う前に、防火対策をしっかりすればいいのと同じだ。

123人の駆け込み退職者が出た埼玉県で、知事が記者会見で 「想像より 3倍多い」 と言って嘆息したという記事を読んで、私は文字通り、「41人までなら想定内で、問題なしとでも言うのか」 と、「素直にびっくり」 したということを言いたかったのである。何しろ私はアスペルガー一歩手前 (参照) だから、言葉をそのまま額面通り受け取るタイプなのだ。

駆け込み退職者の数の想定がとんでもなく見当はずれだったことと、「41人までなら OK」 と言わんばかりの安易な姿勢だったことの、二重の無責任を、行政側は非難されなければならない。これは駆け込み退職する教師よりもレベルが上の無責任である。

さらにもう一つ言えば、記者会見で 「3倍多い」 なんて軽はずみなことを口走る県知事も、かなり問題だ。これが裁判だったら、エラいことになる。

退職金の損得勘定で駆け込み退職する教師に関しては、私は多少の違和感は感じても 「びっくり」 や 「失望」 はしない。彼らだって 「ビジネス」 なのだから、ある意味では当然の決断とみることだってできる。ところが、今回の埼玉県知事の発言は、どう見ても 「当然」 の要素はない。これに 「素直にびっくり」 しないで、何にびっくりすればいいのだ。

この私のトーンをきちんと理解してコメントしてくださったのが ハマッコーさんで、彼は自身のコメントを 「子供たちには、自治体の間抜けぶりを知ってもらういい機会になりました」 と結ばれた。

まさにその通りで、マスコミが 「子供が失望する」 などと余計なことを言って煽らなければ、子どもたちは、お役所は結構お間抜けで、さらに教師といってもフツーのビジネスとそれほど変わらないという現実を、クールに理解する契機になっただろう。

最後に付け加えれば、それを知ったからといって、無闇に失望するには及ばない。世の中、そんなものだと知れば、見当違いの甘えも過剰な期待もしなくて済む。ほとんどの失望というのは、見当違いの甘えや過剰な期待の産物なのである。

辞めない教師が当然の姿で、辞めるのが無責任なのではない。逆だ。経済原則からすれば、辞めるのが当然で、辞めないのは 「見上げた心掛け」 なのである。

自分や自分の子供の担任教師が、定年に当りながら駆け込み退職しないでくれていたら、「自分の利益を棒に振って、子どもたちのことを優先してくれた」 と、感謝すべきなのである。そんなことは、フツーのビジネス社会では希有なことなのだから。

見当違いの甘えや過剰な期待が先走ると、よっぽどの厚意を示されても 「それが当然」 なんて傲慢なことを思うようになる。こっちの方がよっぽどあぶない。

|

« 言いたいテーマをきちんと伝えることの難しさ | トップページ | パスワード騒動 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ほうほう…なるほど…c(>ω<)ゞ

投稿: hiroyuki | 2013/01/28 22:51

hiroyuki さん:

一般の企業で 「定年まで勤めたら損」 というシステムが採用されたら、みんなどんどん早期退職しますよね。

「教師だけは別」 と、駆け込み退職者が無責任だと言われるのは、とても気の毒な気がします。

もし私だったら、多分駆け込み退職はしないだろうと思いますが、それは私がお人好しすぎるからです。

投稿: tak | 2013/01/28 23:46

実際、企業のリストラでは、退職金を積み増して早期退職を勧奨してるんですから、今回の話だって、教師だろうが警官だろうが人の子、当然の反応ですよね。
私がその立場だったら、年度途中だろうが何だろうが、間違いなく辞めていると思います(笑)

投稿: もりけん | 2013/01/29 00:18

この制度変更が1月末ではなく12月末とか11月末だと、実は3月末まで勤め上げるという判断に傾いた人が多かったかもしれませんね。その間の月給を考えると、総所得的にほとんど変わらなくなるので、あとは最後の数か月をご奉公したいかどうかだけの判断になります。
まあ、これは後知恵で、実際にはいろいろな成り行きでああなっちゃったという、人生の悲喜劇の一つと捉えています。

投稿: きっしー | 2013/01/29 09:27

きっしー さん:

>この制度変更が1月末ではなく12月末とか11月末だと、実は3月末まで勤め上げるという判断に傾いた人が多かったかもしれませんね。その間の月給を考えると、総所得的にほとんど変わらなくなるので、あとは最後の数か月をご奉公したいかどうかだけの判断になります。

それ、私もちらっと考えました (^o^)
多分、辞める人は少なくなるでしょうね。
「3~4ヶ月遊んでも同じ収入なら、俺は辞める」と思う人もいるでしょうが。

いずれにしても後知恵なので、今後似たような措置を講じる時の、参考資料にはなるでしょう。

投稿: tak | 2013/01/29 14:08

もりけん さん:

>実際、企業のリストラでは、退職金を積み増して早期退職を勧奨してるんですから、今回の話だって、教師だろうが警官だろうが人の子、当然の反応ですよね。

少なくとも責められないと思いますね。

投稿: tak | 2013/01/29 14:22

 この話を聞いて以来、ずっとモヤモヤしていた感情の正体に思い至れました。感謝します。

 そうですよね。「辞めない教師はとても偉い」のであって、「辞める教師が無責任」なわけではない。

投稿: kanata | 2013/01/29 18:31

kanata さん:

ご賛同、ありがとうございます。

投稿: tak | 2013/01/29 19:53

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/56642034

この記事へのトラックバック一覧です: 正しく現実を知れば、失望ではなく感謝につながる:

« 言いたいテーマをきちんと伝えることの難しさ | トップページ | パスワード騒動 »