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2013/03/01

理系/文系 (蛇足)

emi さんが、「理系・文系 (完)」 というとても衝撃的なタイトルの記事を書いておられる。

もやもや考え、ごちゃごちゃ書いてきたことが恥ずかしい。
とっくの昔に、こんなにちゃんとした答えが出ていた。

「理系・文系」のこと。
この2つの記事を読めばよかったんだよ。

として紹介しておられるのは、"サルでも分かる人文科学/社会科学/自然科学の見分け方" と、そのレビューである "「理系」 「文系」 の区分は日本だけ  「人文科学」 「社会科学」 「自然科学」 の違い" という 2本のブログ記事である。これらはなんと、3年以上も前に書かれている。

どちらも 「人文科学」 「社会科学」 「自然科学」 という学問の 3カテゴリーを、「理系/文系」「humanities/the science (あるいは arts/sciences)」 「本質主義(essentialism) /構成主義 (constructivism)」 という 3つの軸で、わかりやすく分類している。

確かにこの分類はとても納得もので、これまでのモヤモヤがきちんと解決されている。それで emi さんは、「そう。そういうことが言いたかったの」 「『理系・文系』 の話はこれにて完結。めでたし、めでたし」 として、すっかりおしまいということにしておられる。

私としてもかなり納得して、「めでたし、めでたし」 ということにしたいところだが、これまでの行きがかり上、ちょっとだけ蛇足をくっつけておきたい。

それは、2年半ほど前に "Word 使いと Excel 使い" "「文系/理系」 と 「論理的/感覚的」" という 2日間に渡る記事で論じたことだ。私はこの 2本の記事の中で、学問のカテゴリーについてではなく、人間の傾向について論じている。いわゆる 「文系人間/理系人間」 というキャラ付けだ。

そしてこのいわゆる 「文系/理系」 という二元論キャラは、単に便宜的なもので、あまり本質的な意味はないと断じていて、それよりも、「論理的/感覚的」 という視点で見ると、人間のキャラがよく見えたりすると主張した。

これらの記事の中で私は、「一見理系に見える人」 の中にも、全然論理的じゃない人というのがかなりいて、彼らは自分の 「理系」 的仕事を、ごく感覚的、言い方を変えれば 「職人的」 にこなしていると言っている。

彼らの特徴は、自分が理解している 「科学的な知見」 を、自分の言葉で論理的に説明するのがものすごくお下手ということだ。どうやら 「そんなの、当たり前じゃん、説明なんていらないじゃん」 とでも思っているようなのである。

つまり、彼らはとても感覚的に、1枚の設計図を見て構造がぱっとわかっちゃうような、あるいは写真に撮って一瞬のうちに頭の中に画像として焼き付けるようなやり方で、数式や構造式を理解しているとしか思われない。

彼らは瞬間的に 「当たり前じゃん」 と理解しちゃうので、職人的仕事をさせるととても速い。だから有能な研究員だったりする。しかし自分の研究成果を人に説明するのが下手なので、管理職になってしまうと、はっきり言って無能だ。

一見 「理系」 と見なされている彼らがあまりにも口べただから、対照的に 「チョー文系」 と目される私が、彼らの 「理系そのもの」 のプレゼンの手助けをしてあげたことが何度もある。

私は自分の感じた疑問を、彼らが 「イエスか、ノーか」 で単純に答えられる簡単な質問にしてたたみかけていく。そのプロセスで、ようやく素人にも理解されるような論理展開が構築できる。彼らは自力ではこのプロセスは辿れない。「当たり前じゃん」 と思っているから、疑問が生じないのだ。

別の言い方をすると、私は彼らの頭の中にある画像を、言葉を使ったストーリーに翻訳してあげる。こうして私が筋道を付けてあげないと、感覚的職人派の研究員は、自分の仕事の成果をきちんとした言葉で説明できないのである。つまり、感覚的職人派の科学研究員より、「チョー文系」 と思われている私の方が、実はずっと論理的だったりする。

言葉で説明するのが苦手な感覚派は、「いわゆる文系」 の中にもいる。感覚的なことしか言えず、人を納得させるような論理展開ができない。工芸的、あるいはファッション的な仕事をしているデザイナーに、この手のキャラが多い。

つまり論理的かどうかということには、文系も理系もない。非論理的な科学研究員というのが確かに存在して、それは元々感覚的職人肌の人間が、たまたま工芸的な方向ではなく、科学の方向に向かっただけという気がする。だから、一見 「科学」 と思われている世界にも、ちょっとアブナい要素はある。確実にある。

それは案外、人文科学や社会科学の分野より、自然科学の分野の方に多い気がする。人文科学と社会科学は、言葉で人に説明するのが仕事みたいなところがあるから、単なる感覚的職人派では勤まらない。

とまあ、そんなようなことを言いたかったのである。

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コメント

んもー。おかげで「(完)」じゃなくなっちゃいましたよ。笑。

投稿: emi | 2013/03/02 09:07

emi さん:

さっそくもう一仕事やってくださってますね (^o^)

投稿: tak | 2013/03/02 19:57

頭がパンクしてて、うまくコエントできなませんけどなんかしたく、一言、三言

うまくまとまっています。
さすがです!!!私もそう思います。

投稿: BEKAO | 2013/03/07 17:34

BEKAO さん:

ありがとうございます。

投稿: tak | 2013/03/07 23:56

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» 続・理系・文系 (完) [emi's]
イヤ、完結したのだよ。 完結したんだけど、続いちゃった。日本式の「理系・文系」の区分について 自分の体験からモヤモヤ感じたことを書き記してきたが、 このたび問題の本質がどこにあるかを突き止め その根があまりにも深く、手に負えないことがわかったので 「もうやーめた」の意味で“完結編”を書いた(参照)。 そしたらtakさんが、返歌のようにして 『理系/文系 (蛇足)』(参照)を書いてくださった。 学問的なカテゴリーとしては「これにて一件落着」だとしても、 キャラとしての「理系/文系... [続きを読む]

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