« Tシャツのロゴ、酷いのは和訳じゃなくて、元の英文なのだが | トップページ | オリンピックの東京誘致成功を巡る冒険 »

2013/09/07

日本の人混みが苦手

私は人混みが苦手である。ラッシュアワーの新宿駅とか、人気ブランドのセールとか、休日の原宿竹下通りとか、花火大会とか、とにかく人と体をすり合わせなければ移動できないような空間には、恐れをなしてしまう。

ところがこれが、外国に行くと違うのである。結構な人混みにでも平気で入っていける。自分でもそれが不思議だったが、若い頃は外国旅行をしている間は気持ちがハイになっているので、いつもの感覚とは違うのだと解釈していた。

しかし、気持ちがハイになっているばかりではないのではないかということに、だんだん気付いてきた。それは多分、「パーソナル・エリア」 の問題なのだろうと思うに至ったのである。

パーソナル・エリアとは、心理学の概念的空間で、それ以上近づかれると圧迫感を感じてしまうという、自分の 「縄張り」 みたいな感覚空間だ。それが私は、他の日本人より広いらしいのである。一つには、私がかなり大柄の日本人であるということもあるかもしれない。とにかく、他の日本人なら平気で入り込む隙間に、もぐり込む勇気がないのだ。

これについては、4年前に "「謝るツボ」 と 「パーソナルエリア」" という記事でも触れているが、私は人混みの狭い隙間に平気で突進して、人とぶつかっても謝りもしない日本人の態度に、同じ日本人ながら、かなりの違和感を覚えている。私には到底できない芸当だ。

これも多分、私の体が大きいからだと思う。狭い隙間に突進なんかしたら、周りの人を突き飛ばしてしまうので、危なくてできない。

ところが、外国に行くとそれができてしまうというのは、一つには、欧米のパーソナル・エリアが、日本よりかなり広いということがあると思う。欧米では、例えばエレベーターが混んできてもさらに乗り込んでぎゅうぎゅう詰めにしようとすることは、あまりない。ちょっと余裕があるぐらいの状態でも、遠慮して次を待とうとする。

これが日本だと、「ブーって鳴ったら、最後に乗った人が降りればいい」 みたいな感覚で、遠慮も何もなく、押しくらまんじゅう的な状態になっても構わず乗ってこようとする。体の大きな私なんか、ものすごく居心地悪くなってしまう。

欧米人は一般に、恋人同士や夫婦、家族などの親しい者同士ならかなりベタベタするが、他人とは無闇に接触したがらない。これは、たとえ夫婦でもあまりベタベタしないのに、混んだところでなら他人とでも平気で体を接触させる日本人とは対照的である。

そんなわけで、欧米の人混みは日本の人混みほどの押しくらまんじゅう状態にはならず、恐れをなすに当たらないのである。だから、日本では人混み嫌いの私でも、向こうに行ってしまうと、案外平気でいられるのだ。

一方、アジアではちょっと様子が違う。私は実は、アジアでは日本以外に香港しか知らないのだが、あの日本以上にものすごい香港の人混みでも、日本よりはかなり歩きやすい。それは彼の地の人たちの身のこなしが上手だからである。

上述の記事に、ヒロさんという方が 「香港人は、ぎりぎりまで避けないで、最後の最後で避ける傾向があります」 とコメントしてくれている。お互いに、ぎりぎりのところでひょいと体を回転させて肩がぶつかるのを避ける。これがとても自然な動作になっている。

それに慣れない日本人は、「香港人はぶつかりそうになってもよけない」 と感じるが、それは日本人の方で、ぎりぎりのところでお互いにひょいと身をかわす振舞いに慣れていないだけのことだ。

そんなわけで、日本人は香港の人混みの中でぶつかりまくってしまう。香港人が身に付いた習慣で、「相手も少し身をかわすだろう」 との想定の上で必要最小限の避け方をすると、日本人はそれに対応できず、結果的にぶつかってしまうのである。

私は幸いなことに、合気道の黒帯をもっているので、ぎりぎりのところで身をかわす動作が得意というか、香港人以上に身に付いている。だから香港の人混みは全然怖れずに済む。普通に身をかわせばいい。

ところが日本の人混みでは、お互いに必要最小限の身のかわし方をするという習慣がない。それでこちらは、瞬間的に合気道でいうところの 「入り身」 (相手の後ろ三角の位置) に入らざるを得ない。そうしないと平気でぶつかられるか、「お見合い状態」 になってしまう。日本人はぶつかっても謝らないから不愉快だし。

それで私なんか娘に 「お父さん、その忍者みたいな動き、何とかならないの?」 なんて言われてしまうのだが、なにぶん、身に付きすぎてしまって条件反射で出てしまうので、しょうがない。

というわけで、私は今でも、日本の人混みがとても苦手なのである。

|

« Tシャツのロゴ、酷いのは和訳じゃなくて、元の英文なのだが | トップページ | オリンピックの東京誘致成功を巡る冒険 »

比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

これ、一時帰国あるあるです。夏休みを日本で過ごした学生がアメリカへ戻ってくると「日本人はやたらくっついてくる」と言います。そしてそれが「親密」など、良い印象をもって語られることはありません。パーソナルスペースはいったん広がると狭くするのは難しいということでしょうか。

投稿: emi | 2013/09/08 08:25

emi さん:

>これ、一時帰国あるあるです。

でしょう。
なにしろ、ぶつかっても平気で突っ込んできますからね。

投稿: tak | 2013/09/08 19:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/58143400

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の人混みが苦手:

« Tシャツのロゴ、酷いのは和訳じゃなくて、元の英文なのだが | トップページ | オリンピックの東京誘致成功を巡る冒険 »