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2014/01/17

「頭寒足熱」 という言葉の気持ち悪さ

唐突だが、私は 「頭寒足熱」 という言葉が嫌いである。嫌いというのは、頭を冷やして足を温めるという意味が嫌いなのではなく、この四文字熟語の言葉としての成り立ちが嫌いというか、ちょっと気持ち悪く感じるのだ。

この言葉を知ったのは、多分小学生の頃だと思う。最初に触れたのは、話し言葉ではなく文字としてだったので、私は当然にも 「トウカンソクネツ」 と読むのだと思った。そしてどこかでそう口走ったら、「お前は 『ズカンソクネツ』 という正しい読み方を知らんのか」 と、馬鹿にされた。

馬鹿にされてはみたものの、この熟語の読み方に関しては素直に 「自分が馬鹿だった」 と思うことができず、「ズカン~」 の方がおかしいではないかと、ずっとこだわってきた。この読み方がおかしいと思わないことの方が、私にはおかしく感じられる。

長ずるに及んで調べてみたところ、やはりこの言葉はテキトーな和製熟語であることがわかった。

Prof_Hiroyukiの語学・歴史談義 というブログの管理人 prof_hiroyuki という人も、やはり 「頭寒」 を 「トウカン」 と読むものと思っておられたのだそうで、2010年 4月 29日付の記事で、熟語の読み方で漢音と呉音が混在する例を挙げ、次のように書いておられる。

ズ (呉音) カン (漢音) ソク (呉音) ネツ (慣用音) と、見事にばらばらなのです。

実は私、中学生時代までは頭寒を 「トウカン」 と読むものとばかり思っており、教師と喧嘩になりかけた事がございました。
・・・頭の漢音は 「トウ」、寒の漢音は 「カン」 だからです。

この様な音の種類の齟齬は当該熟語が 「和製」 だから・・・ という事を知ったのは、ずっと後になってから。

つまり、この和製熟語を作った人が、音読みの辻褄を合わせることを怠り、そのまま広まってしまったもののようなのだ。ほぅら、やっぱりね。この言葉を最初に作った人には、「ズカン」 (昔のフリガナでは 「ヅカン」 ― 念のため) と変則的に読ませることが必要になるような、洒落か何かの都合でもあったんだろうか。

あるいは、昔は 「頭 (ず) が高い」 と言い習わし、「頭打ち」 を 「ずうち」 と読んだりしていたようだし、「頭巾 (ずきん)」 などのように 「ず」 と読む熟語に馴染んでいたので、何の気なしに 「ズカンソクネツ」 ということにしちゃったんだろうか。「手水 (ちょうず)」 を 「長頭」 と聞き違えることでドタバタになる 「手水廻し」 という落語もあるしね。

いずれにしても、「頭寒足熱」 というのは、あまりできのいい熟語じゃない。

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言葉」カテゴリの記事

コメント

たしか「頭涼足熱」といういいかたもあると記憶していますが・・・これなんかいかがですか?^0^

投稿: 図画工作 | 2014/01/18 07:15

図画工作 さん:

>たしか「頭涼足熱」といういいかたもあると記憶していますが・・・これなんかいかがですか?^0^

「涼」 は、呉音も漢音も 「リョウ」 だから、「頭寒足熱」 よりは許せるかも。
とはいえ、次に続く 「ソク」 が漢音だから、やっぱりちょっと……。

「トウリョウソクネツ」 なら、問題は解決しますけどね。
(それなら、「トウカンソクネツ」 でも同じか ^^;)

最大の問題は、一般に通じにくいことですね。

投稿: tak | 2014/01/18 22:44

私は「だい地震」派でして、「おお地震」はどうしても馴染めません。
しかし私には呉音、漢音、音読み、訓読み等の知識も意識もありません。
よって単に、「己の習慣とは違う読み方に接した故の違和感」に過ぎないのでしょう。

> ズ (呉音) カン (漢音) ソク (呉音) ネツ (慣用音) と、見事にばらばらなのです。

面白い話ではありますが、「それがどうした」というのも正直な感想です。
(漢音、呉音の時代からは遥か後世の)私達が、日本語として使うには、何ら憚ることはないと思うのですが。


p.s.
人口に膾炙する熟語には“語呂の良さ”も必要ではないでしょうか。
その点「ズカンソクネツ」はなかなかのものです。

もっとも、現代語感としては、寒の対は「熱」でなく「暖」でしょう。
私なら「頭寒足暖」とします。
「ズカンソクダン」、語呂も良いし。

投稿: McC | 2014/01/19 21:11

McC さん:

正直なところ、「知らないって気楽でいいなあ」と思いました ^^;)

投稿: tak | 2014/01/19 22:25

恥ずかしながら、漢字の音にはいろいろあることは知っていても、呉音・漢音といった区別(時代&地域性もあるのかな?)になっているとは知りませんでした。気になっていろいろ調べたら、呉音のなかには今はあまり使われていない音もけっこうあるんですね(「寒」の「ガン」とか)。

トウカンソクネツは響きがいいので普及させたい(笑)

投稿: 山辺響 | 2014/01/20 17:45

山辺響 さん:

「漢字」 というぐらいで、とくに明治以降の翻訳後はほとんど漢音ですから、一般的には漢音が優勢ですが、仏教用語には呉音がかなりあるんですよね。

そもそも 「お経」の 「きょう (きやう)」 (漢音は 「経済」 の 「けい」) がそうですし、その他にも、開眼 - かいげん、利益 - りやく、月光菩薩 - がっこうぼさつ など、かなり多いです。

仏教伝来の頃は既に大陸は呉の国ではなかったはずですが、当時の情報伝達のスローさで、タイムラグが生じたんじゃないかなと想像しています。

そんなわけで、私は 「○○に開眼した」 とかいう場合でも、「かいがん」 という発音がちょっと気持ち悪かったりしますが、それは個人的事情ですから、「かいげん」を強制したりは決していたしませんので、ご安心を。

ただ、「開眼供養」 を 「かいがんくよう」とか、「あそこのお寺は 『ごりえき』 があるよ」 とか言われたりすると、ちょっと騒ぎの虫がうずきます (^o^)

投稿: tak | 2014/01/21 11:33

誤訳からくる間違った情報らしいですよ

本来の意味は「頭は冷静に、行動力があり(足を温かい状態にして)腹にものをためない(ストレスをかかえない)」とのこと

鵜呑みにして頭を冷やすのは良くないです

投稿: オッサン | 2016/12/15 12:21

オッサン さん:

鵜呑みにしたくないので、出典をお示し下さい。

投稿: tak | 2016/12/15 23:01

なんでいちいち喧嘩腰or煽るようなレスするのか理解不明。喧嘩腰と思わないなら、それはそれで性格ひん曲がってる。

投稿: あああ | 2017/02/15 13:21

意味不明と理解不能ごっちゃになっちゃったてへぺろ☆(・ω<)

投稿: あああ | 2017/02/15 13:23

あああ さん:

ご苦労様です。

投稿: tak | 2017/02/17 08:26

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