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2014/03/23

鶴竜が横綱になるというので

大相撲は鶴竜が優勝して、横綱昇進が確実になったらしい。これで、貴乃花と若乃花が横綱になって以後、武蔵丸、朝青龍、白鳳、日馬富士と、4代連続しての外国人横綱である。その前も曙がいたから、最近の横綱は 7人のうち 5人が外国人で、そのうち 4人がモンゴル人。残る 2人は日本人の兄弟という、ちょっと極端な傾向である。

日本人横綱の誕生が望まれて久しいが、遠藤が成長するにももう少し時間がかかるだろうし、最短距離にあるといわれた稀勢の里があんな具合 (参照) では、どうしようもない。まだまだ外国人力士上位の様相が続くだろう。

そもそも、どうしてこんなにまで外国人力士ばかりが上位にいるのかといえば、日本人に有望な人材がいないからだ。どうして有望な人材がいないかといえば、相撲取りになるためのインセンティブが不足しているから、身体能力に優れた有望な新人が入門しないからである。

昔は、貧乏人の息子で人並みはずれた体力があれば、相撲取りになるのがとても魅力的な選択肢だった。あの大横綱の大鵬だって、当人の知らないうちに親方と話がついていて、気付いてみたら相撲部屋に連れてこられていたらしい。そして相撲部屋にいる限りは腹一杯メシが食えるので、なんとか辛い稽古に耐えて出世してきたのである。

ところが今となっては、腹一杯メシが食えるという理由で相撲取りになる若者なんていないだろう。別に相撲部屋に入門なんかしなくても、腹一杯食うことぐらいはできる。大部屋に詰め込まれて、竹刀でしばき上げられながらへとへとになるまで稽古をさせられ、挙げ句の果てにちょんまげなんていう妙ちくりんなヘアスタイルにさせられるような、ちょっと特殊な社会に身を置くなんて、たかが腹一杯メシを食うための代償としては割に合わなすぎるだろう。

しかし同じ待遇でも、外国出身の力士にとってはそれなりに納得できるインセンティブになる。真面目に努力すれば、得られる報酬は自分の国でフツーの仕事に就くよりずっと大きい。そうなれば、才能のある人材が外国から豊富に供給される。彼らにとっては、日本に来るというだけでも 「かなり異質な社会に飛び込む」 ことなのだから、大相撲の社会に飛び込むのもそう変わりはない。

それに元々、大相撲にはウェイト制がないから、体格の大きい者が有利である。そして体格で言えば、太平洋地域、ヨーロッパ、アフリカの人間の方が圧倒的に有利だ。つまり、外国人力士優位の傾向は、今後ますます顕著になるはずだ。

大相撲は勝手に 「国技」 を名乗っているが、もはやその名にはほとんど値しないものになっている。現在の大相撲は、「場」 である。世界中から一攫千金を夢見て集まってくる力士たちの、かなり変わったビジネスの場なのだ。

外国人力士がますます増えていくに連れて、大相撲は必然的に質的変貌を遂げて行くだろう。目に見える形としての変化はそれほど大きなものではないかもしれないが、意識としてはどんどんインターナショナルなものになって行かざるを得ないだろう。

そのうち、幕内力士の半分以上が外国人力士となり、とくに三役なんてほとんどが外国人になってしまうに違いない。そうなったら、相撲協会というものが今の形のままで存続するとも思われない。もしかしたら、国際化してしまった柔道みたいなことになるのかもしれない。

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コメント

tak-shonaiさんこんにちは!
ほんとうに、知らない間に
国際的な競技になって行くのでしょうね~
日本の子供達は、甘やかされていますから。
でも、
私は相撲の世界は大嫌い。人をなぐったり、
たたいたり、死にいたることもありました。
最近でも、女子レスリングの世界で訴えがありましたが、
誰もお詫びしないみたいですね。
日本は、スポーツの世界では改めなくては
ならないことがあると思います。
外人さんが三役になったら変化すると思いますので、
良いかもしれません。

投稿: tokiko6565 | 2014/03/24 14:45

そういえば先日、小川直也の息子が高校選手権で優勝しましたね。柔道はオリンピックもあるし、まだ人材がいるのかなぁ。189cmの135kgって、ラグビーに来てくれればなぁと思いましたが、まぁそれはないですね(笑)

投稿: 山辺響 | 2014/03/24 15:11

tokiko さん:

まあ、今どき、自分の子を積極的に相撲界に送り込もうとする親は少ないでしょうね。

あの世界、ちょっと特殊すぎる気がします ^^;)

私は 3年前に「相撲の将来 試論」という記事を書いて、ウェイト制の純粋格闘技にして、ちょんまげみたいな前時代的なことは止めるべきだと書いています。

その代わり、祭祀性の高い伝統的な相撲の部分は、伝統芸能に徹するべきだと思っています。

横綱は強さにはこだわらず、精進潔斎してひたすら 「神格」 と 「見た目の見事さ」 を磨く。そして、「型」 と 「土俵入り」 の完成度のみを追求します。

http://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2011/02/post-fd85.html

投稿: tak | 2014/03/25 00:54

山辺響 さん:

大相撲は力士供給は国際化しつつも、興行システムとしては非常にドメスティックなものとして継続するんでしょうね。

このギャップが弾ける時は、大相撲が崩壊する時でしょう。

柔道は基本的にアマチュア・スポーツだから、このギャップが生じなかったんでしょうね。

投稿: tak | 2014/03/25 00:58

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