« 当ブログの通算アクセス 500万を突破 | トップページ | 井の頭公園は 「いのかしら」 か 「いのがしら」 か »

2014/04/04

ウィルスを取り込むという DNA レベルでの 「ブレンド (混紡)」

デニムの生地を織るための綿糸に、ほんの 2〜3%のスパンデックス (ポリウレタン) という繊維をブレンド (混紡) すると、織り上げられたデニムはとてもいい感じの伸縮性を発揮する。綿 100%のゴワゴワで粗野なイメージだったデニムが、ちょっとしたブレンドによってスキニーなシルエットの実現性を獲得し、「ストレッチ・ジーンズ」 は今やとてもポピュラーなアイテムになった。

ナショナルジオグラフィック ニュースの 「ヒトES細胞の多能性にウイルス関与?」 というニュースを読んで、唐突に混紡や交織による繊維技術の進歩のことを想起してしまったのは、繊維業界で 30年メシを食った自分のバックグラウンドによるのだと思う。メタファーとして十分に適切かどうかはわからないが、私自身の感覚としては腑に落としやすい。

この記事は、「数千万年前、ヒトの祖先のゲノムに侵入したウイルスが、今では人体のすべての細胞の元である胚性幹細胞 (ES細胞) において重要な役割を果たしていることが、最新研究で明らかになった」 と報じている。

これまでもヒトは 「レトロウィルス」 と呼ばれるウィルスのいくつかを自身の DNA の中に取り込んで進化してきたことが明らかにされている。今、レトロウィルスの中でも一番の悪玉と考えられているのが、後天性免疫不全症候群 (AIDS) を発症させるヒト免疫不全 (HIV) ウイルスだが、ヒトは将来的に、HIV だってうまい具合に取り込んでしまわないとも限らない。

「人間とは何ぞや?」 という問いに純粋に生物的に答えるとすれば、「ヒトとしての進化の途中で、ウィルスをも取り込むなどの裏技を果敢に行った結果である」 みたいなことになるのだろう。つまり 「純粋なヒト」 というコンセプトは無意味で、かなりの夾雑物をも含むのが、今ある我々、つまり 「ヒト」 なのだ。コットン 100%のトラディショナルなジーンズじゃない。

これは我々人間の身体というものを、地球上で物理的に生き延びるためにまとっている 「衣服」 みたいなものと考えると、なんとなくしっくりくる。コットン 100%のジーンズではゴワゴワしすぎて着にくいので、スパンデックスというまったく由来の異なった化学繊維とのブレンドでストレッチ性を実現したみたいなことで、人間も 、「えいや」 とばかりに外部生命であるウィルスを、自身の DNA の中に混紡してしまったのだ。

今回のニュースの中では、このあたりのことが、次のように述べられている。(引用文中の 「ブルク氏」 とは、今回の研究の研究の共著者で、モントリオールにあるマギル大学の計算生物学者Guillaume Bourque 氏)

レトロウイルスを取り込んだ生物が、自らの生体機能をよりよく制御するのに、ウイルス由来の物質を利用している可能性を示唆している。「役に立つかもしれない機能を、突然変異のみに頼るより早く手に入れられる」 とブルク氏は述べる。

我々はスピリチュアル (精神的) あるいはメタフィジカル (形而上学的) にはピュアになることができるかもしれないが、フィジカル (肉体的) には、既に全然ピュアじゃなく、なんと、ウィルスとのブレンドによって生きながらえているのである。

|

« 当ブログの通算アクセス 500万を突破 | トップページ | 井の頭公園は 「いのかしら」 か 「いのがしら」 か »

心と体」カテゴリの記事

コメント

おはようございます~
tak-shonaiさんのこの記事にはうなりました~~~
すばらしい====!!!!!!
そうですね!
繊維業界におられたtak-shonaiさんの先進的な感覚で
人間の身体を創っている進化の元が、よりよくわかったということ、すごいと思います。
そうか、体内のいろんな菌を殺すだけでなく、いろんな菌をからだに入れて体質改善しようかな?と思えてきました。
さっそく乳酸菌でも、LG21とか、ガセリ菌とか、ビフィズス菌とか、いろいろ食べてみませう~~うふ


投稿: tokiko6565 | 2014/04/05 12:35

tokiko さん:

我々は、物質的にみれば大したことないんですね。
その背後にあるコンセプトがすごい。

投稿: tak | 2014/04/05 21:58

いい着眼でしたね。
ガン細胞も、実は役に立っているつてことになりそうですね。
して見ると、この世界にリスクなんてないのかも知れません。
精神的にも、ピュアより雑多なキャラを取り込んだ方が、例えば打たれ強いとか、メリットありそうですし・・・。

投稿: Mikio | 2014/04/05 22:19

Mikio さん:

>精神的にも、ピュアより雑多なキャラを取り込んだ方が、例えば打たれ強いとか、メリットありそうですし・・・。

なるほど。
多様性はいいことで、実は悪いことなんてなかったということなのかもしれませんね。

投稿: tak | 2014/04/06 00:43

う~ん、takの旦那の視点はもはや「神の視点」でやんすね!
そういやぁ、科学雑誌とかに、DNAの構造を絵にしたやつがありやすが、あれ見ると、DNAってのは繊維みてぇな構造になってやすよね?
もしかして、ストレッチジーンズとか発明(か?)したお方は、あの絵を見てピーンとひらめいたのかもしれねえでげすな!
いやぁ、これは深いでげすな(なんやそら)!

投稿: 江戸っ子下衆兵衛 | 2014/04/06 18:16

江戸っ子下衆兵衛 さん:

ちょっと買いかぶりが過ぎるんじゃあないですか ^^;)

ただ、あの DNA 構造ってのは、確かに繊維っぽいんですよね。神の撚糸工程まで想起させて。

投稿: tak | 2014/04/07 00:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/59412015

この記事へのトラックバック一覧です: ウィルスを取り込むという DNA レベルでの 「ブレンド (混紡)」:

« 当ブログの通算アクセス 500万を突破 | トップページ | 井の頭公園は 「いのかしら」 か 「いのがしら」 か »