« 個人情報は漏れるものである | トップページ | 「顎関節症」 というもの »

2014/07/18

「PC の時代」 の 「終わりの始まり」

今月 8日に ”「PC の時代」 は来年終わる" という刺激的なタイトルの記事を書いたが、その 「終わりの始まり」 は既に顕在化しているらしい。日本経済新聞は昨年 6月3日付で 「誤算のウィンドウズ 8 マイクロソフトに迫る落日」 という記事を載せている。

この記事には、「ある大手情報機器販売会社の場合、企業向けの販売台数に占める (Windows) 8 はわずか 5%。実に95%が (Windows 7に) ダウングレードされている」 と書かれている。そりゃそうだろう。個人向けでも 「Windows 7 機が欲しい」 というユーザーが多いのだから。

ましてや企業では、「XP はもう使い続けられないから PC を更新しなければならないが、OS は Windows 8 ではなく 7 にするのが常識」 と言われているほどだ。「XP で、ようやくほとんどの従業員が PC 操作に慣れたのに、8 にしてしまったら、仕事の効率が一時的にせよガクンと落ちるのが目に見えている」 というのである。

効率が落ちるのは 「一時的」 とはいえ、それが 1週間続いたら、年間の業績にそれなりの悪影響が出る。同じ人件費で、従業員が激減してしまったのと同じようなものだからだ。もしそれが 1ヶ月続いたら、まともな仕事にならない。影響は深刻だ。

問題は、Windows 8 という新 OS のマーケティング失敗だけに止まらない。日経の記事はさらにこう続く。

米調査会社 IDC が 4月にまとめた今年 1~3月のパソコン世界出荷台数は前年同期比 13.9%減の 7629万 4000台。IDC のプログラムバイスプレジデントのボブ・オドンネルは、「8 はパソコン市場の活性化に失敗した。むしろ、足を引っ張っている」 と嘆く。

従来は、マイクロソフトが新 OS を発表したら、それが牽引役となって PC 市場は確実に活性化した。しかし今回に限っては、それが足を引っ張っているというのである。これはもはや、1つの OS の失敗というストーリーではなく、PC というデバイスにとって、時代の区切りが来ているとみていいのではなかろうか。

先月の記事で私は 「『PC の時代の終わり』 とはいえ、PC がまったく不必要になるわけじゃない。私だって、業務で使っているのだから、今後も PC は使い続けるだろう」 と書いている。ただ、「従来型の Windows PC」 には、もう伸びしろはない。

そしてその 「従来型の Windows PC」 を牽引してきたマイクロソフトは、既にその使命を果たし終えてしまいつつあるようなのである。使命を終えた人間や企業は、やることなすことがピンぼけになりがちだ。

今月に入り、マイクロソフトのサティア・ナデラ CEO は、従業員に 「それぞれが変わる勇気を持たなければならない」 という内容のメールを送ったという。そのために、今後半年間で新たなトレーニングや試験を実施すると説明している。

これは同社が相当な危機感を持ち始めたことを意味している。「今までのやり方ではダメだ」 と言っているのだから。ただし、これほどの巨大企業が迅速で大きな舵取りをするのは、なかなか大変なことになるだろう。

「古い皮袋に新しい葡萄酒を入れてはいけない」 と、イエス・キリストは言った。市場全体の視点からすれば、新しいプレイヤーに新しい市場を牽引させる方が、利益は大きいだろう。

|

« 個人情報は漏れるものである | トップページ | 「顎関節症」 というもの »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

随分昔に、貴殿の「Windows8はダメだ」という内容の記事にコメントした者です。
今日発売されたSurface3、かなり良いですよ。もし機会があれば、家電量販店で触れてみて下さい。
 
Microsoftが目指しているWindowsの方向性は、おそらく過去のWindowsとは違います。良くも悪くも。だからユーザがついてこれない部分があるのだと思います。しかし時間が経過して、新しいスタイルのハードとソフトが普及すれば、Windows7は8(あるいは次のバージョン)に置き換わるのだと思います。
 
過渡期に使いにくいデバイス/ソフトウェアが出る事は多々ありますが、Windows8はそろそろ成熟期に入り始めたように感じます。

投稿: トモタカ | 2014/07/18 11:31

トモタカ さん:

>今日発売されたSurface3、かなり良いですよ。もし機会があれば、家電量販店で触れてみて下さい。

まだ触れてはいませんが、レビュー記事を読む限りにおいては、「驚異的に薄くて軽いラップトップ」という気がします。

Surface を純然たるタブレットとして使いたいという人はごく少数派で、購入動機は 「MS Office をどこででも使いたい」 というのがほとんどでしょうから、MS としてはそのニーズに最大限応えていると思います。

というわけで、その結果は 「驚異的に薄くて軽いラップトップ」なのだろうと。

>Microsoftが目指しているWindowsの方向性は、おそらく過去のWindowsとは違います。

「おそらく」というより、「確実に」でしょうね。

ただ、今のところは、「過去の Windows からの継続性が阻害されている (つまり、これまでの操作に慣れた人には、使いにくくなっている、少なくとも、改めてのトレーニングの必要が生じている)のに、それを補って余りあるほどのアドバンテージが見当たらないのです。

>時間が経過して、新しいスタイルのハードとソフトが普及すれば、Windows7は8(あるいは次のバージョン)に置き換わるのだと思います。

というより、正確には 「時間が経過するうちに、他の OS に流れるユーザーが多くなり、一部の Windows 好きと、企業ユーザーが、主力ユーザーとして残る」 ということになりそうな気がします。

そうなると、MS としても、保守的な企業ユーザーの要望を無視できず、自社の理想型との間で板挟みになることが予想されます。これは辛いところでしょうね。

もうお気づきでしょうが、私は 「デバイスとしての完成度」 よりも、マーケティング的な視点で Windows 8 を見ています。そこがあなたとの大きなな違いで、議論のすれ違いを生む要因です。

Windows ほどの市場規模をもってしまうと、マーケティング的にもきちんと成功しないと、継続的開発に支障をきたしてしまいます。そして既に、その域に足を踏み入れつつあるのではないかと、私はみています。

Windows が Mac を凌駕した時には、まさに 「デバイスとしてのできそのもの」 は別として、マーケティング的に圧倒的な勝利を得ました。

しかしそれから 10年以上経過して、MS はマーケティングの下手な企業になってしまったように思われるのです。

MS ほどの企業規模があれば、保守的な企業ユーザーに対応するための従来型 Windows と、先進的なタブレット対応の新 OS の開発を並行的に進めながら、将来的に合体させる方向性をもつこともできたでしょうが、なぜかそれを避けたために、総合的評価を落としてしまいました。

今、それをやっているのは、はからずも Apple と Google ですね。

投稿: tak | 2014/07/18 14:01

いつも楽しく拝見させて頂いております。
Sennaと申します。

SEという仕事上、基本的に使用しているOSはWindowsなのですが、
8は現場でも嫌われてますね。
導入する気配すら無いです。

UI変わりすぎて、慣れるまで無駄な時間が掛かります。そもそも職場のディスプレイにタッチパネルなんて付いてないですし、付いてたとしても、一々画面に手を伸ばすよりマウスやキーボード使った方が速い。
OSのアップデートは構いませんが、現場で使ってる身としては・・・。

どれだけ一般企業に売れてるか疑問ですね。
役所とかは言われるがままに買ってそうですが(苦笑)

まぁ、軽いので、iOSみたいに、ライトユーザー向けに特化して、「これがMS版iPadだ!凄いだろ!」って売りだせばもう少し頑張れたのかなと思います。

因みに、次の「Windows9(仮)」は7ベースらしいです。
ネット上の噂なので、信ぴょう性は五分五分ですが、本当に7に戻るなら仕事上は大歓迎です。


長文失礼しました。

投稿: Senna | 2014/07/19 07:58

Senna さん:

>因みに、次の「Windows9(仮)」は7ベースらしいです。
>ネット上の噂なので、信ぴょう性は五分五分ですが、本当に7に戻るなら仕事上は大歓迎です。

そうなってくれれば、業務ベースで使っている人は本当に嬉しいでしょうね。

Windows 7 のサポートが切れる頃に、9 に移行すればいいので、8 はすっ飛ばせますね。

投稿: tak | 2014/07/19 23:48

日本経済新聞が「誤算のウィンドウズ 8 マイクロソフトに迫る落日」 という記事を載せているのは、先月3日ではなく、2013年6月3日ではありませんか?

投稿: とも | 2014/07/20 17:38

とも さん:

うわ! 本当だ。
うっかりしてました。早速本文を訂正しました。

ご指摘ありがとうございます。

投稿: tak | 2014/07/20 22:28

私も 今月になってから Windows7を導入してしまいました。 (これまでは OS/2と Win2K だったので 世の中からは 3周位の遅れが 1周遅れになったかも。)

Windows 8 が出たとき 「なんでこんな風に」と思ったクチですが、世の中が タブレット スマホ方向に流れているのを見ると ある意味 MSの読みは 当たっていたのかもと思い始めています。 確かに 7の発展形のようなものを作っていては 先は短そうです。
ただし 8の評判が イマイチなところを見ると、終わりゆくものは読めても 始まりつつあるものが読めていなかったかな。
今の8と中身は同じで 7みたいな UIのものを先に 「こちらが本命」として リリースしておいて 8の UIのものを イロモノ として後からリリース。 (当たっていれば)そのうち 8のUIが 主流になるので(それがPCかどうかは 微妙だけど) 7的 UIはじわじわ終焉。 とするのが よかったのじゃないですかね。
Windows9 を 7の延長にしたとすると それは大失敗で 本当にMSは 終わるんじゃないですか?
Sennaさんや 私のような人間はうれしいかもしれませんが(笑), もうその時点では 今のPCは 残ってはいるでしょうが 成長市場ではないので MSとしては 捨てなきゃいけないニッチな市場で ここに戻るということは 新しい場所で失敗したということですから。

>Windows 7 のサポートが切れる頃に、9 に移行すればいいので、8 はすっ飛ばせますね。

XPの サポート切れではっきりしたように 移行理由が サポート切れしかないという時点で この分野の成長は 終わっています。

投稿: Sam_Y | 2014/07/21 21:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/60001433

この記事へのトラックバック一覧です: 「PC の時代」 の 「終わりの始まり」:

« 個人情報は漏れるものである | トップページ | 「顎関節症」 というもの »