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2015/01/05

絶滅危惧言語を保存したい

Slashdot が 「2115年の世界ではどんな言語が話されているか」 という記事を載せている。記事によると、100年後の世界で使われる言語の種類は現在よりも大幅に少なくなり、単純化されていると予想されているのだそうだ。現在は世界中で およそ6,000の原語が話されているが、2115年には 600程度に減少している可能性があるという。

それと関連して、琉球新報が昨年の 12月 11日付で、「しまくとぅば、米で紹介 ワシントン・ポストが記事掲載」 と書いている。「しまくとぅば」 とは 「島言葉」 の 「しまくとぅば発音」 である。琉球の言葉では、「オ」 の発音が 「ウ」 になるようなのだ。

琉球諸語はユネスコに 「絶滅危機」 にある言語として認定されているらい。生物の世界でも 「絶滅危惧種」 というのがあるが、言葉の世界でも 「絶滅危惧言語」 があるのだ。記事は次のように伝えている。

沖縄で琉球諸語を学ぶ若者が 「若い世代がこの文化と言葉を失えば、沖縄は日本という大きな国の単なる一地方になってしまう」 といった思いを抱いていることなども紹介した。一方、琉球諸語は 「日本語の中の一方言」 と位置付ける学者の見解も伝えた。

ユネスコでははっきりと、「しまくとぅば」 を一つの独立した言語として捉えているようなのだが、日本の言語学者の間では、日本語の方言の一つという位置づけが主流であるらしい。私も大学時代に言語学の講義で、日本語の方言で最も大きな地域差があるところに線を引くとすれば、九州と沖縄の間に引かれることになると習った。

「しまくとぅば」 と内地の言葉の差は、関東と関西の言葉の違いなんてものじゃない。しかし文法的には日本語とほとんど共通していて、まるで外国語のように聞こえる単語も、上述のごとく 「オ」 の発音が 「ウ」 に変わるなどの法則を当てはめれば、日本語とそれほど変わらないため、「日本語の一方言」 とされるらしいのだ。

しかし現実にはそんなことをいっても、江戸弁としまくとぅばの違いは、少なくともスペイン語とフランス語ぐらいには大きい。私のブラジル人の知り合いはポルトガル語を母国語とするが、スペイン語ならとくに習ったわけでもないのに、聞いただけで苦もなくほとんど意味がわかるという。さらにイタリア語も、何を言っているかぐらいはわかるらしい。

しかしほとんどの内地生まれの日本人は、ネイティブなしまくとぅばをまったく理解できないだろう。しまくとぅばが日本語の一方言だというなら、フランス語もイタリア語もスペイン語もポルトガル語も、「ラテン語の一方言」 と言わなければならない。

私はしまくとぅばが日本語の一方言か否かという問題については、さほど関心がない。方言といえば方言なんだろうし、別の言語といえば、またその通りでもあるんだろう。ただ、そんなのは大分類と小分類の差に過ぎず、重要なのは 「しまくとぅばが大きなアイデンティティのよりどころになっている」 という事実だ。

だから、しまくとぅばの保存に私は大賛成である。いや、しまくとぅばだけではない。わが故郷の庄内弁だって同様だ。庄内、秋田、津軽の言葉も、「東北日本海側諸言語」 として、独立した言語としてユネスコに認めてもらいたいぐらいのものだ。関東の人間には宇宙語にしか聞こえない津軽弁が、私は結構理解できるのだから、「共通言語圏」 としてもいいだろう。

私は庄内に里帰りする度に、子供たちが庄内弁を理解できなくなりつつあることに、大きな悲しみを覚えている。今や庄内の子供たちの話す言葉は、茨城あたりの北関東アクセントなんかとは比べものにならないほど、洗練されたきれいな標準語である。それがきれいであればきれいであるほど、私の危機感は募るのである。

生物の世界で 「生物多様性」 が重要なこととされているのと同様に、人間の言葉の世界でも 「言語多様性」 は重要だと思うだ。例えば私は、標準語で思考すると 「俺って、結構論理的じゃん!」 と思う。さらに英語で思考すれば説明的になれる。一方、庄内弁で思考すると、情緒的に 「俺って、なんていい奴なんだ!」 と思う。言語が多様だと、人間の幅も広がるのだ。

できることなら、庄内人には 「庄内弁と日本語のバイリンガル」 に、うちなんちゅうには 「しまくとぅばと日本語のバイリンガル」 になってもらいたいと思っているのである。

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コメント

琉球民謡をやっているので、沖縄本島と八重山諸島ならまだ何とかなります。高齢者のネイティブスピーチでもたぶん3割くらいはたぶん聞き取れます(話せないけど)。しかし、宮古はお手上げです……。

http://youtu.be/uc0u59A16_g

投稿: 山辺響 | 2015/01/13 14:03

そういえば、以前こんな本を読みました。マイナー言語に関する学術論文をまとめた本で、読みやすいとはいいがたいものですが。

http://www.amazon.co.jp/dp/4750336467

投稿: 山辺響 | 2015/01/13 14:07

山辺響 さん:

>しかし、宮古はお手上げです……。

すげぇ! これを日本語の一方言というのは、強引すぎますね ^^;)

『言語と貧困』
なるほど。私は庄内弁という、関東地域でまともにしゃべったら絶対に通じない言葉を 「母国語」 としているので、バイリンガルってほどじゃないですが、言語的二重性を身につけて、それをある意味、隠れ蓑ではなく、防弾チョッキのようにしている自分を意識します。

投稿: tak | 2015/01/13 22:52

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