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2015/05/18

「ユビキタス」 という言葉

年のせいか言葉を忘れることが多くなってしまった。最近も、「えぇと、あの、『いつでもどこでもインターネットとつながってる環境』 のこと、『遍在』 って意味の横文字、何て言ったっけかな?」 と、思い出せなくなっていた。

正解は 「ユビキタス (ubiquitous)」 なのだが、そこに辿り着く前に 「えぇと、omnipresent じゃないし、何だっけ?」 と、さんざん考えてしまった。思い出せないのも無理もないことで、ユビキタスなんていう言葉は、近頃ほとんど死語状態になってしまっている。

ちょっと Wikipedia で引いてみると (参照)、ユビキタスという言葉がよく使われたのは 「1990年代後半から2000年代初頭にかけて」 のことで、最近はほとんど使われない。ネット界隈でも死語扱いされている (参照) が、これは 「ユビキタス」 という言葉で表される現象が廃れてしまったからではなく、あまりにも当たり前になってしまったからだ。

目新しい言葉というのは、目新しい最近の傾向や状態、あるいはこれから目指すべき特別の状態を意味する場合は、とてもインパクトがある。しかしそれが達成されてしまい、特筆するほどの目新しさが失われてしまうと、あっという間にそれを意味する言葉の方も勢いを失ってしまう。

今どき、家の中では Wifi 接続が当たり前になり、外出してもホットスポットはあるし、スマホはネットに繋がり放題だし、インターネットにつながっていない状態の方がよほど珍しいことになってしまった。

そうなると、ユビキタスなんていうことさらな言葉なんか使う必要がなくなる。元々ユビキタスという言葉が盛んに使われていた頃も、それほど厳密な規格があったわけじゃなく、かなり 「雰囲気のもの」 として使われていた。ところが今や、雰囲気だけじゃなくて実質的につながってしまっているので、そんな曖昧な言葉を使う必要はなくなったのだろう。

ちなみに、Wikipedia には 「ラテン語で Ubique とは、「遍く」(△「いつでも、どこでも」)を表す一般的な用語であるが、英語の ubiquitous は、もともと 「神は遍在する」 という意味である」 とあるが、これ、ちょっと疑問だなあ。

ラテン語で 「一般的な用語」 というのもちょっとわからない。ラテン語自体が、今では 「一般的な言語」 じゃないしね。そして英語では 「もともと 『神は遍在する』 という意味」 というのも、ちょっとツッコみたくなる記述である。

Longman のネット辞書では、ubiquitous は "seeming to be everywhere - sometimes used humorously" (どこにでもあるように思われる - 時にはユーモラスに」 と説明されている。さらに "omnipresense" という言葉の意味としては、"present everywhere at all times" (いつでもどこにでも存在する) となっている。

iPhone で使っている LexicEN という辞書では、ubiquitous も omnipresent も "being present everywhere at once"  (どこにでも同時に存在すること) と、同じ語義となっている。どちらの辞書でも、別に 「神は遍在する」 なんていうような説明は見当たらない。

考えようによっては 「遍在するのは神しかいない」 のだから、OK なのだが、語源となったラテン語が使われていた古代ローマでは、唯一神が信仰されていたわけではないから、この言葉に 「神の遍在」 という意味があったとは思われない。英語に取り入れられて突然 「神は遍在する」 になったんだとしたら、ちょっとした飛躍だよね。

それを信じるとしたら、ヨーロッパの他の言語についても検証しなくちゃいけないだろう。

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